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財務官僚出身の著者の持ち前の主張本。数字とロジックに強い氏は、日本の財政破綻はないと主張しています。氏の左派の弱いところの指摘にはもっともなことも多い。

一方、歴史観や法律には少し弱いかな。

いずれにしても事実に基づいて、数字とロジックでもって語ることが大事なのはわかりました。


読書メモ⤵︎ 

・ニュースにコメントする大学教授・経済評論家・マスコミに情報を提供する官僚たちが総じて「左巻き」(左派)

・彼らは政治的に見て「革新系」「リベラル」政治的には「護憲」「自衛隊否定」「反原発」「経済成長不要」「労働者の雇用確保」「平等な福祉政策」民進党・共産党などを支持する人々。マスコミでは朝日・毎日・東京新聞

 

・「左巻き」の人々には蔑視する意図はない。進歩的な人々は社会に必要とされている側面もある。日本の左巻きは欧米における分配重視のリベラリズムのような確固とした政治思想ではなく、反権力だけがよりどころであるようにも見える

 

・トランプ大統領になっても大きな変化はない

 

・タックスヘイブンは合法。多額の税金に悩む資産家や企業にとってはタックスヘイブンを使っての節税は常識

 

・政治家は、自分の資産を政治団体に寄付し、子どもなどの相続人はその政治団体の資金を使う

 

・世界的な流れとして法人税が下がっているのはタックスヘイブンを使用する旨味をなくし、税金の流出を止めること

 

・イギリスのEU離脱はEUが最適な規模へと縮小していく大きな流れの一環

 

・イギリスの官僚機構はそれほど強くない。自由な競争社会がいいという風土

 

・中国はもはや経済成長しない。なぜならGDP10000ドル/人 の壁(中所得国の罠)にぶちあたっているから

 

・中国はやはすぎる脱工業化に陥っている

 

・7%成長は習近平政権の至上命令となった

 

・中国の実際のGDPは公式発表の1/3の可能性もある

 

・中国の「ハニートラップ」に引っかかった役人、学者、政治家は数多い

 

・日本のGDP成長に陰りを生じさせたのは2014年の消費税増税。今は「増税凍結」が望ましい

 

・金融政策で雇用は確保できる

 

・失業率が構造失業率に近づくタイミングで金融緩和を行えば賃上げに繋がる効果が

 

・安倍総理の持ち味は安全保障と外交。経済政策は専門分野ではなくわだかまりがないので、理論がしっかりして効果が期待できる政策を次々と採用している

 

・左巻きの人たちは、思想が先に来てしまって政策を柔軟に受け入れられない

 

・失業率を下げるのに必要なのは積極的な金融緩和。金融政策は雇用政策

 

・元々雇用を増やす政策そのものが左派政策

 

・安倍総理は金融政策を正しく理解している稀な政治家

 

・日本の自殺者・自殺率は第二次安倍政権以降も減少している

 

・経済を改善することが人の命を救うのは明らか

 

・増税すれは景気は悪化する

 

・借金1000兆円のうち、政府にある資産は500兆円、政府の関係会社を考慮して連結すると借金は200兆円になる。これは他の先進国と比較してもたいした数字ではない

 

・財務省が政策投資銀行、都市機構、などの特殊法人、独立行政法人に対して民営化して資金を回収すると、官僚の天下り先がなくなってしまう

 

・日銀も含めた連結ベースのネット国債は150兆円程度。日本の財政がすぐにでも破綻するという理屈はおかしい

 

・あと600兆円の国債を発行しても政府の財務は問題ない。政府は国債を発行して積極投資を行うべき

 

・財政危機は日本には存在せず、増税は急務とはいえない

 

・増税は凍結し、経済を加熱させることを最優先すべき

 

・安倍総理は経済について国民所得を上げればいい、と割り切って考えている

 

・生活保護の受給者増加の根本は高齢者の問題

 

・格差の本質は実は高齢者にある

 

・マスコミの既得権を考えるべき(日刊新聞紙法・放送法・再販制度)

 

・沖縄における米兵の犯罪率は沖縄県民より低い

 

・在日米軍反対を訴えても、現実的には世界一の大国アメリカと同盟を結び、米軍に駐留してもらっているおかげで防衛コストが下げられているのは確か

 

・実際には集団的自衛権を行使したほうが戦争リスクは減る

 

・安全保障は冷酷に様々な主義主張、心情、思想を抜きにして考えなければならない分野

 

・アメリカと同盟し、集団的自衛権の行使によって相互的な安全保障の枠組みを作ることが戦争のリスクを最も減少させる

 

・左巻きの人はとにかく戦争をしたくないという。それは誰も同じ。では戦争をしないためにどうするかをロジカルに考えるべきだがそこが弱い

 

・中国が拡大政策を続けていて日本の脅威になっているのは明らか

 

・相続税を下げた方が実はよりいいのでは?

 

・世界中のほとんどの国が集団的自衛権の行使に賛同している

 

・過去の歴史を見ると、謝罪を先に言ってしまったら和解にならない。先に和解を優先させるべき

 

・ドイツも実は和解してから謝罪している

 

・オバマ大統領の広島訪問で、日本は原爆投下への謝罪を求めなかった。和解が先との考えが正しい

 

・和解を遅らせると謝罪も遅れてしまう

 

・中国という厄介な隣国との付き合い方にこそ徹底したリアリズムでの思考が必要

 

・数字を正しく読んで、ロジックを整理して主張するべき

 

・今の日本の1人あたりGDPは4万ドル程度で世界で20位程度。日本は立派な先進国(一人あたりGDP1万ドル以上が目安)

 

・今の1万ドルは2050年には5万ドルになる、今のままでは日本は2050年には先進国とは言えなくなっているかも。そのためにも経済成長しないといけない

 

・里山資本主義の成功例は一般化できるものではない

 

・経済成長しなくても幸福・人口減少では貧しくても豊かな暮らしを、と言っている論者は労働貴族

 

・特段倫理を重要視しない。物事は経済的に合理的に進めないといけない。倫理あぷろーとの人は生ぬるい

 

・左巻きはデータに弱い

 

・左巻きの批判は思想の押し付けや主張ばかりが先に来て具体的なデータで議論ができない