http://booklog.jp/item/1/4822279677

 本というものは、得てして大げさもしくは非常識なタイトルで読者の気をひくものですが、内容はまあまあ納得できるものでした。

著者の沖氏は、ウイングが広く、国内外不動産や税務の専門家です。スキームを産み出し自ら実践しているのはひとつの信用だろうと思います。

 

高額所得者がより年収を上げ資産を増やしながらも税額を安くする、という一見矛盾することを成立させるには私が考える限り、ふたつの方法しかありません。

 

ひとつは海外に移住し、非居住者となって海外から事業をコントロールすること。そうすれば所得税を日本ではなく税率や物価の安い移住先で払うこととなります。これは理想ですが一般的な仕事内容からすればハードルも高い。

 

もうひとつは、不動産や売電・クルマ・機械設備など償却額の大きい固定資産を取得し、事業をすることでその収益以上の損失を計上させ、給与所得と損益通算することで所得を圧縮して節税する、というものです。この方法に気づいて、それぞれの専門家の監修を基に私は実践しているわけです。

 

沖氏は、これをさらに効率よく行うために、米国を始めとする先進国で人口が増え発展を続けるエリアの、建物4年で償却可能な築22年以上の築古木造不動産物件を会社の内部留保を借り入れて取得し、個人会社とも節税をする、というもの。

 

極めてオーソドックスではありますが、オーナーの法人がきちんと収益をあげており財務体質が良いこと、オーナーが金融機関から借り入れし易い属性であることなど、これもなかなかハードルは高いですが。

 

また、ショックだったのは徳島県の土地価格は10年で40%下がり、50年後は現在の8%になるという予測。イナカの土地は暴落するということは長期的に見て地方の優良不動産は限られるということ、お気をつけを。

 

なお、タワマンの節税策は2017年税制改正で、2018年以降に引き渡す新築物件から増税される見込みであることを付け加えておきます。

 

 

 

読書メモ⤵︎

・経営者の仕事は決断すること

 

・法人税率は下がる、所得税率の最高税率は上がった、住民税復興税を合わせて56%

 

・全国の土地価格は10年で平均17%下がった。これが現実

 

○土地価格は長期的に大幅に下がる

○不動産は収益性で価値が決まる

○法人税以外は増税される

 

・土地価格の推移予測

徳島県の土地価格は10年で40%下がり、50年後は現在の8%になるという予測

 

・50年後の2066年には日本の人口は8000万人で2110年には4300万人になる

 

・日本全体の人口が減少していく今後は、土地余りが加速する

 

・不動産の価格は「収益還元法」が主流

 

・土地評価が収益還元法に変わってきた

 

・一戸建ては、閑静な高級住宅街のほうが価格が高くなるが、賃貸物件は駅から遠ければ安くなる。マンションもアクセス重視

 

・タワーマンションを買うと、相続税評価が現金に比べて平均8割、ほとんどの都心マンションは7-9割下がる

 

・購入→運用→売却 不動産の総合利回り=インカムゲイン(賃料収入)+キャピタルゲイン(売却益) 

 

・不動産投資物件で利回りが高いのは北海道、低いのが東京、だが総合利回りは47都道府県ほぼ一緒になった 全体としてはキャピタルロスを織り込んで売られている

 

・都心のタワーマンションは需要が多く、価格は高値で安定する予測

 

・主な国税(所得税・法人税・贈与税・相続税)の4つ。法人税以外は増税される。国税庁に直接納めるので直接税。消費税は間接税。不動産にかかる固定資産税は地方税

 

・相続税率は2015年1月から増税に

基礎控除が 3000万円+(600万円×法定相続人の数)に

 

・所得税も2015年から課税所得4000万円超の人は40→45%に。住民税+復興税で56%と相続税以上に

 

・経営者の立場からはこれらの税制改正で、所有する法人に利益を残すのが最も効率が良いという発想に

 

・法人税が下がることを見越すと、利益を繰り延べして、将来課税された方が税額を減らすことができる

 

・利益の繰り延べに使うのが、減価償却資産や生命保険。儲かっているときに利益を少なくして、必要なときに資産を受け取ることができる

 

・経営者は所得税対策ができていないから年収を4000万円以上にできない

 

・資金を法人から個人に移転するときに、良く使われるのが役員報酬の退職金制度。実は同じことが不動産でできる。生命保険は良い商品だがキャッシュアウトが多いのが難点

 

・今後下がる法人税率を下限の目標として、個人所得や相続、事業継承ではこれ以下にする、タックスプラニングが経営者としての腕の見せどころ

 

・法人税率は法人所得の23.9%、中小企業は年800万円以下の所得金額について特例が適用されて、15%に

 

・不動産の原価償却をたくさん計上して、利益の繰り延べをする方が得策。法人税は今後下げる方向で進んでいるので利益を先送りすべし

 

・持っている不動産を土地からマンションに組み換え資産形成を

 

・収益を生まない、持っていても意味のない不動産は切り離すべき

 

・節税効果がない場合、純収益で4%以上なければ土地価格の目減りコストを3%と考え、その不動産は良くない物件だと判断すべき

 

・海外の人口が増えている先進国の不動産はキャピタルゲインを狙うことも可能。本業が国内の企業でも海外の成長性を会社の財務諸表に取り込むことができる

 

・不動産投資で最も重要なのは出口戦略

 

・日本の状況と連動しにくい海外不動産のほうが都合よく利益を平準化できる

 

・退職金は年収が高い人には有利な所得。税制上有利な退職金を増やすポイント①役員報酬を上げておく②原資をつくる(保険を使うのが一般的)

 

・生命保険の欠点は現金を使ってしまうこと。不動産では現金支払いを抑えながら同様に原資づくりができる

 

・日本法人の内部留保は900兆円もある

 

・内部留保から経営者への貸し付けを提案する。金利は1%未満でよい

 

・減価償却を使った節税は、「4年落ちの高級自動車」であり、「22年の耐用年数を過ぎた中古木造アパート」22年を過ぎると4年で償却できる。建物割合が60%の物件は物件価格の15%を毎年減価償却できる

 

・経営者が個人で2億円の物件を買えば、毎年3000万円が原価償却できる。ただし日本では築22年を超える木造アパートが少ないのが難点。そこで海外の不動産を投資対象とすることをお勧めする

 

・アメリカ西海岸の不動産は20年で価格は2倍のトレンドを維持

 

・海外の不動産はローンはつきにくく日本で借りるほうが金利は安く済む

 

・法人は法人税が低い利益800万円、役員報酬4000万円にしてもそれに見合う不動産を買って、税金を減らしながら年収を増やすことができる

 

・償却の多い不動産を有効に活用していけば、資産の形成と経営者お手取り年収の増額を同時に実現できる

 

・タワーマンション節税を応用すると、株価を下げることができる

 

・資産を都心のタワーマンションのような収益不動産に組み替え、賃貸にしていると相続税評価を3割ぐらいまで下げることができる。3年は取得価格でBSに計上するが、その後評価が7割減少するので株式評価も下がる

 

・タワーマンションを購入するときにローンを借り入れて、負債を大きくしておくと株価を0にすることも可能。3年後の資産価値が3割になり負債が多いと相続税評価上は債務超過になり、株価は0になる。株価が0の場合は株の贈与に贈与税は課税されない

 

・経営者が解決できる7つの課題

①経常利益を調整する 減価償却がたくさん取れる不動産で利益の繰り延べを

②利益を生まない固定資産は処分する 遊休不動産は税コストがかかるので早めに換金を

③安定収益を生む流動資産を確保する ネット利回り4%以上を。また、キャピタルゲインを狙えて国内の経済成長と相殺しやすい海外資産も検討を

④経営者の退職金を増やす

⑤会社の内部留保を有効に使う 経営者に貸付して活用

⑥役員報酬を増やす 4年償却の海外不動産を用いて手取り年収を倍に。翌年の役員報酬の改定で増額すれば手取りを4-5倍にすることも可

⑦自社株評価を下げる 

 

・不動産はローンを組んで購入できるため、資産を膨らませることができる

 

・生命保険は利益の繰り延べはできたとしても、保険料は現金で払わなければならない。現金を使わずに節税するには保険よりも不動産が向いている

 

・不動産固有の特徴

①資金のレバレッジ②多額の原価償却③安定したインカムゲイン④相続税評価減

 

・不動産の借り入れは、借入多く、金利低く、期間長くが基本

 

・3%-5%の金利の借金は早く返した方がいいが、1%切っている金利は返さないほうが得

 

・価格が下落傾向にある日本の不動産を持っているよりも、人口の増加傾向が見込める海外に資産を移転して、資産インフレに乗ったほうが利益の繰り延べ以上の効果が期待できる

 

・解約のタイミングが難しいのが生命保険の最大の欠点

 

・不動産のような減価償却資産は減価償却費はキャッシュアウトしない費用になるのでお金を使わないで利益の繰り延べが可能になる

 

・米国の西海岸の不動産が最適な減価償却資産

 

・日本は建物をリフォームしても賃料を上げるのが難しく空き室率も高い

 

・日本のマンションは10年以内で買い替えたほうがいい

 

・米国だと1000万円をかけてリノベーションすれば、賃料アップと稼働率の改善で1000万円のバリューアアップをすることができる

 

・資産移転が目的ならば利回りがいい物件よりも、資産価値が目減りしにくい物件のほうがいい

 

・長期的に見ると価格が下がることが少ない米国の物件や、先進国でも人口の集積が進んでいるエリアで不動産を持てば投資機会を広げることができる

 

・法人税が減税されるに伴って、減価償却を定率から定額にする検討が進んでいる

 

・純然たる不動産投資として利益を出すことが最大のリスクヘッジ

 

・不動産が持つ固有の解決手段4つのメリット

①レバレッジ効果がある

②多額の原価償却ができる

③相続税の評価を下げることができる

④資金効率のいい利回り収益が得られる

 

・税率の高い所得を抑えるために自宅を役員社宅として経費化すること

 

・役員の場合は、自宅を役員社宅としてマイホーム以上の優遇措置を受けられる。税務通達で市場家賃相場の8割引きができる

 

・自宅を法人所有にするためには、建物のみを簿価で売却する

 

・オフィスエリアは都心三区(千代田・中央・港区)都心五区(+新宿・渋谷区)住宅は港区+渋谷区の山手線内側が高級賃貸が成り立つ

 

・オペレーティングリースという方法も

 

・会社の経常利益を調整するのはまずは自宅の役員社宅化。持家・賃貸。戸建て・マンションでも可能

 

・親から相続した空き家や土地を売却した場合に税負担を軽くする検討に入って2016年の税制大綱に盛り込まれた

 

・金融緩和が行われているから不動産価格が高い

 

・含み損を抱える不動産は業績がいいときに売れば黒字を減らせる

 

・保有している土地建物は常に時価総額を把握しておく必要がある

 

・数億円の資産があれば、プライベートバンカーが年6%くらいで運用してくれるので利回りで生活できる

 

・日本人は上げ相場で買い、下げ相場で売ってしまう横並び意識が強い。不動産は逆に

 

・民泊の先行投資を。外国人にホテルとして不動産を貸した場合賃借人を探すよりも2-3倍の賃料を取ることができる

 

・経営者が手取り年収を増やすには①自宅投資②減価償却資産投資

 

・自宅投資 自宅を住む住居だけでなく、資産形成のツールとして利用する考え。住んで中古になっても含み益が狙え換金しやすい物件を選ぶ必要がある。自宅の住み替えをしながら、資産を形成できる

 

・減価償却資産投資 建物・自動車・機械設備など

 

・額面年収が3000万円の場合、所得税・住民税は1000万円ほどで手取り年収は1800万円ほど。年収と同額の償却できる資産を購入すれば、額面所得が0になり、税金の1000万円分と購入物件の利回り5%相当の1000万円が増え、手取りは3800万円と約2倍強になる。次の一手で額面年収を上げられる

 

・額面年収を2倍にして、その節税までやると、手取り年収を以前の4倍にすることも可能

 

・先進国の既存市場に投資するほうが向いている

 

・価格の上昇余地が高いエリア狙ったほうが投資妙味が出てくる

 

・ワケあり物件をリフォームして適正賃料で入居者を埋め直して売却する方法

 

・日本は不動産取引は新築中心、米国は8割以上が中古取引(平均築40年)空き室率7%。日本は18%

 

・NZも安定市場、経済成長率も高い、投資ローンもあり

 

・ロンドンも有力。ロンドンの居住者はすでに英国人以外が半数以上。需要過多が続いている。物件は高いが10年後値上がり必至

 

・海外の不動産を買うのは会社の内部留保を借りることが最適

 

・タワーマンションをローンで購入して、賃貸にして3年保有していればその後相続税評価を3割に下げることができる

 

・資産管理会社の財務諸表は事業会社が上場されても公開されない

 

・一般社団法人は持ち分がないので相続が発生しない