http://booklog.jp/item/1/4121505735

 

元国税調査官の本。

副島氏とは逆に当局の立場から日本の税制やお金持ちの税回避策について論じた本。

この本には特に目新しい税回避策について書かれているわけではありませんが税制と税回避の構造については現状を分かりやすく説明されており、サラリーマンとしても知っておいて損はない内容だと思います。

 

副島氏は「大村氏の本の言うとおりにしたおかげで税務調査で多額の追徴課税を受けた」話を出していまして、税務のことは自己判断・責任と専門家のお墨付きがあるに越したことはありません。

 

税回避が悪であるかのようなイメージでも問題があります。脱税は、日本国憲法30条にある「納税の義務」に違反する重大な罪ですから厳しいわけですが、税回避は合法だからです。

 

それも氏が言うように、「お金持ちが所得や資産に応じた税金を払ってない」のか、「税の構造が限界に達しいびつになっている」のか解決するには、消費を活性化して、税制の構造を変え、資産家が日本に住んで長く資産に応じた税金をきちんと払ってくれること(ピケティが主張している富裕層への資産課税にも言及)国の財政構造を改革していくこと、らが必要になってくるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

読書メモ↓

 

・日本の高所得者・資産家の税金は世界的にとても高いが、実質税負担は先進諸国よりもかなり低い

 

・財団法人にぶちこんだお金は相続税の対象からはずされる

 

・金持ちはズルいことをして税金を逃れ、そのしわよせが庶民に?

 

・金持ちと貧乏人を分けているのは税金

 

・年間110万円までの贈与には税金がかからない。贈与税はもらう側にかかる

 

・小分けにした金の延べ棒は隠しやすい

 

・金持ちはあまり脱税はしない。節税はする

 

・高級マンションは相続税対策、固定資産税対策になる

 

・都心の一等地に200㎡のマンション用地を10億で買えば相続税評価は半分の5億円になる。ローンを組んでアパートなどを購入すればその分相続税の対象となる資産が減額される

 

・孫正義は東日本大震災のときに寄付したお金の最大の寄付先は自らつくった公益財団法人

 

・財団法人はお金持ちの節税アイテム(贈与税・相続税がかからない)資産を寄付し財団法人を設立し親族知人などに給与や車家などで資産を移せる

 

・公益財団法人は固定資産税がかからない、収益事業を行わなければ税務署が財務をチェックすることはない

 

・医療法人は固定資産税・相続税がかからない

 

・投資事業組合は収益を上げても税金はかからない(投資組合は中小企業が資金を調達しやすくするために設けられた制度)

 

・タックスシェルター(租税回避商品)保険商品

 

・保険商品は、保険部分と貯蓄部分がある

 

・被相続人が死亡する前に生命保険を贈与する裏技も

 

・レバレッジドリースで税を回避する(船舶・航空機リースなど)これらは、開始当初はリース収入よりも減価償却費が上回り赤字になることが多いので税金が安くなる

 

・不動産業が赤字になった場合、その赤字を他の所得から差し引くことができる

 

・プライベートカンパニーは個人の資産を管理するためにつくった会社

 

・会社の経費の範囲は広い。家・マンション・社用車・交際費・給与所得控除・福利厚生費

 

・クルーザーは耐用年数が4(モーターボート)~5年(ヨット)と償却が短いので節税になる

 

・日本の会社の9割は経営者とその家族で運営されている個人会社、日本の会社の7割は赤字

 

・タックスヘイブンに住居地を置けば個人の税金はほとんどかからない

 

・タックスヘイブンに本社を置いて、各国に子会社を置くと法人税の節税もできる

 

・海外に移住している人でも日本からの収入には所得税がかかる

 

・シンガポールや香港は贈与税や相続税がない

 

・海外移住を使った贈与税の節税は今でも可能(現状5年だがこれは規制が強化される)

 

・先進諸国のタックスヘイブン対策としては、会社の実体が本国にあれば本国で課税する取り決めがある

 

・タックスヘイブンのペーパーカンパニーにある資金を必要な時にお金を引き出すと

①カンパニーに自分が欲しいものを買わせる(ロンドンの高級住宅街の家など)

②ペーパーカンパニーからお金を借りる(借金なら税はかからない)

 

・5000万円以上の海外資産を持っている人の申告は現在8000人だけ(2017)

 

・日本にはミリオネアが280万人以上いる

 

・タックスヘイブンの被害に一番遭っているのはアメリカ

 

・タックスヘイブンだけで18兆ドルの資金が集められている

 

・タックスヘイブンは大英帝国の存在があり、英国の元植民地が多いので規制は難しい。イギリスは金融の国国際取引において最大のシェアと持っている

 

・自社ビルを子ども名義で相続税節税に、子ども名義でローンを組み、親が家賃を払う

 

・相続税、贈与税の裏ワザは偽装離婚

 

・相続税の税収は1~2兆円。消費税の10%程度。1700兆円の日本人の個人資産を考えると遺産のうち徴収されるのが実質2%なのは少なすぎる

 

・消費税の増税は、お金持ちがまともに税金を払わないから

 

・日本は巨額の財政赤字を抱えている一方で個人金融資産は1700兆円ある(1990年では1017兆円、2006年は1500兆円)その原因はお金持ちから税金を取りっぱぐれていること

 

・先進主要国の国民所得に対する個人所得税負担率は日本が断トツで低い。アメリカ12.2%イギリス13.5%ドイツ12.6%フランス10.2%で日本は7.2%

 

・アメリカの個人所得税と日本の個人所得税は人口比GDP比を考慮しても日本はアメリカの半分以下

 

・資産2~3億程度では普通の節税策を施せば相続税はかかってこない

 

・配偶者が遺産を受け取った場合1億6000万円までは相続税がかからない

 

・マイナンバー制の最大の目的は富裕層に対する課税強化

 

・100万円以上の国外送金は報告義務がある

 

・国税庁は全国で50人規模の調査チームをつくって海外脱税の監視を強化している

 

・日本人のミリオネアは280万人以上

 

・そもそも国税職員で英語を話せる人は非常に少ない

 

・どうにかして金持ちから税金を取るスキームをつくるべき

 

・富裕層の資産に対し、毎年1%の税をかけると大きな税収が見込める。日本人の金融資産1700兆円と不動産課税するだけで税収が増える

 

・消費税よりも富裕税を

 

・現在の税制は金属疲労を起こしており、大改革が必要な時期に来ていることは間違いない