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あなたの常識を論破する経済学 (経済界新書)
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http://booklog.jp/item/1/4766720636
・インフレ対策はデフレ促進策であり、デフレ対策はインフレ促進策になるのが真実
・デフレ不況下で民間が主体的に支出を増やすことはあり得ないので結局は政府がやるしかない
・日米などの独自通貨国には、金利を抑制しつつ、政府が支出拡大する方法が存在している。中央銀行による国債買取
・日銀が国債を買い取ると政府の実質的な負担が増えないのは日銀は日本政府の子会社だからである。日本政府は日銀の株式の55%を保有する親会社
・日銀は日本国債の3割強を保有しているがインフレ率はマイナス
・日銀は量的緩和を継続する以上、銀行から国債を買い取らざるを得ない
・現状、マネタリーベースが拡大してもマネーストックは増えていない。社会全体のお金が増えなければインフレは起きない
・社会全体のお金が増えても、財やサービスの購入が拡大しなければ物価は上昇しない
・当時(2012)正しいデフレ対策を明言したのは安倍氏一人だった
・財務省は増税されできれば国民生活などどうなってもいいので、国民に増税のコンセンサスをつくろうとしていた
・実質GDPが拡大しても名目GDPが拡大しなければ国民は所得の拡大を目で見て確認することはできない
・日本の法人企業の7割超は赤字で法人税をほとんど払っていない
・日本の場合、インフレ率が2%に上昇すると失業率も2%前半に落ちる。日本の完全雇用失業率は2%といっていい
・社会保障の財源を豊かにするために必要なのは政府の増収であって増税ではない
・消費税増税は理がないどころか国民経済に打撃を与えることだけが確実。税収はこのままでは減少に転ずる
・自国通貨建て国債がデフォルトした例はない
・デフォルトを起こせない債務が政府が発行した自国通貨建て国債
・日本の国債発行は1985年以降、外貨建て国債の発行残高は0。内国債のデフォルトを起こすことは不可能
・日本政府が発行した国債が100%日本円建てなのは日本が経常収支黒字国であるから
・経常収支黒字国の政府は、国内の過剰貯蓄を借り入れることができ、中央政府に国債を買い取らせることが可能なため、財政破綻に陥ることはない
・日本のデフレを深刻化させるのに最も手っ取り早い政策は、需要を縮小させ、デフレギャップを拡大する消費税増税や緊縮財政
・日本の財務省とマスコミは1981年以来35年以上日本は国の借金で破綻する、と主張し続けている
・日本財務省が「国の借金で破綻する」という悪質なプロパガンダは増税を実現するため
・日本国の借金である対外負債は609兆円(2015年末)だが、対外資産は948兆円もある。対外純資産は339.3兆円と世界最大。日本国は借金大国ではなく、世界一のお金持ち国家
・日本の金融機関が日本政府にお金を貸している
・デフレ継続で儲からないから銀行の貸出態度がバブル期並みに緩和されていても借りる気がない
・安倍政権は電力の発送電分離や農協改革など構造改革路線を進めているが、この改革が誰のための民営化、自由化なのかか検証することが求められる
・我が国は世界屈指の自然災害大国だが、土木建設分野供給能力の縮小を放置してはならない
・日本国民が消費を増やせないのは単に実質賃金が伸びていないため
・日本ほど自然災害に定期的に見舞われる先進国はない
・日本の公共投資は必要最低限すら満たせない規模にまで縮小し、国民の生命が危険にさらされている
・コンクリートや鋼材の劣化でインフラの寿命は50年と考えられる。日本のインフラは多くが高度成長期に造られ、2010年代の今、寿命を迎えている。したがって、日本は現時点で公共投資の拡大が必要
・安倍政権は大規模自然災害への対策を実施すると発表したが、現実は2015年の公共投資を減らしてしまった。安倍政権はプライマリーバランス黒字化というナンセンスな目標に縛られ、建設国債を発行することができない。国民の生命と安全を守るための投資を疎かにしてきた
・戦後の冷戦期、日本国民は安全保障や非常事態への備えを全く意識せずに生きてきた。1995年の阪神・淡路大震災まで大地震が発生しなかった
・脱原発を政治的に掲げるには次の4点について説明が必要
①原発に代わる電力源 再生可能エネルギーで原発の大替をすることは不可能
②原発を再稼働させないため、我が国の所得が兆円単位で中東の天然ガス産出国に渡っていることへの対処
③日本に存在する使用済み核燃料(2万トン)をどうするか
④エネルギー安全保障を考えたとき、エネルギー供給源の多様化が必要。原発を稼働させず天然ガスに偏ってはいないか
・再生可能エネルギーだけで我が国のエネルギー問題を解決することは現時点では困難
・日本の燃料調達の国際競争力が極端に落ち込んでいるのは原発を再稼働しないため
・ユーザー側が電気を使いたい瞬間に、発電所で発電し、供給しなければならないのが電力サービス
・高い再生可能エネルギーの固定買取代金を支払っているのは日本の消費者
・太陽光や風力発電は、典型的な設備産業。一度設備を据えてしまえばその後はほとんど雇用を産まない。太陽光パネルの8割は台湾・中国製。FITには反対する
・現在の日本に必要なのは、原発に代表される安定電源
・FITの負担が増える要因は、メガソーラーに代表される太陽光による発電の拡大
・一般の日本国民から再エネ賦課金として吸い上げられた所得を、国内の電力網強化などの形で還元する必要がある
・安全保障の強化は市場原理と極めて相性が悪い
・ギリシャやスペインのインフレ率はマイナスに。他の主要国もインフレ率は0前後。ユーロ諸国はデフレ化しつつある
・日本は独自通貨国かつ経常収支黒字国である
・移民問題が厄介なのは、好景気の時は国民の実質賃金上昇に問題が覆い隠されてしまう点
・イギリスのEU離脱は、外国移民を受け入れた後に経済がデフレ化し、国民の実質賃金が長期間下がり、貧困化した国民が外国移民を敵視し始め、国民が分断された結果
・EUのグローバリズムの定義は①モノ・サービスの移動②資本の移動(直接投資・証券投資)③労働者の移動 の自由を認めること
・自由貿易とは聞こえがいいが、関税や非関税障壁の撤廃は域内の国々を二分化してしまうという現実がある
・あらためてグローバリズムについて考え直す必要がある。国民を貧しくするグローバリズムならばソリューションとしての価値などない
・共通通貨ユーロは歪んだシステム。金融政策では統合しているが、財政政策はバラバラ
・国際金融のトリレンマ-固定相場制・資本移動の自由・金融政策の独立の3つを同時に達成することは不可能という経済政策上の原則
・経常収支の赤字とは対外純負債の増加を意味する
・現在のドイツはユーロ諸国に対し関税や為替レートの変動といった保護的な政策を許さず輸出攻勢をかけた。これによってユーロ・インバランスが拡大し危機を招いた
・ドイツと南欧諸国はナショナリズムを共有していないため、国家間の大々的な移転は政治的に不可能
・政府の目的は利益を上げることではなく、経世済民の実現である。国民を豊かにする政策を実現することこそが政府の目的
・ところが現在の世界の政治家・官僚の多くは、手段と目的を混同している
・営利目的の企業ならば利益を上げることが目的であるので、黒字で無ければならない、は正しい
・政府は国民の生命と財産は守るためのインフラへの支出ができていない
・ドイツは財政均衡主義をEU諸国に押し付けようとしている。日独米が財政均衡主義という魔物に襲われている。そこから決別することができた国が次の世界経済の規範となるであろう
・ドイツの財政均衡は外国の経常収支赤字により達成された。これはユーロ加盟国でない日本には不可能
・TPP加盟国のGDPは米日で3/4を超える
・工業製品の関税即時撤廃率が最も低いのがアメリカ。日本はシンガポールに次いで高い(99.1%)
・ナショナリズムは「うち向き思想」「保護主義」「孤立主義」とイコールではない。1かゼロしかない印象を与える発言は問題がある
・日本や欧州諸国のような国民国家が健全な国民国家を維持するためには、
①長期デフレーションを防ぎ、健全な民主主義を維持する
②ヒトの移動について、グローバリズムをコントロールする
・日本はデフレから脱却し、グローバリズムを制限する道を歩む必要がある