http://booklog.jp/item/1/4062729571
上念氏はあの勝間和代氏の会社の共同経営者。データに基づく冷静な分析に定評がある一方、安倍政権の経済や安保政策に概ね賛成し、反対派を徹底的に批判する姿勢には首をかしげる部分も見受けられるのですが、本書に書かれている事実は事実として受け止めて知識の一助としたいと思います。
日本の財政については、破綻する派と破綻しない派、両方の意見を聞く必要があり、両論の本を読んで理解を深めているつもりではありますが、いずれにしても現在の超低金利のメリットを活かして、日本での投資(自分自身と事業)と、日本以外の投資(発展するアジアに目を向けることこそが本来のリスク回避)と両方が必要ではないか、ということです。
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・日本経済の状況は必ずしも悪くない。よくするための政策を自ら実行する力がある
・日本経済は危機というより、世界一の経済を実現できる大きなポテンシャルを持っている
・財務省が認める日本の政府資産は15.3末で679.8兆円。資産が前年より27.1兆円も増えているのは、政府の超優良子会社(日銀ら)の利益によるもの
・国債の償還期限が来ても政府は日銀に借り換えを要求できる
・日銀による異次元緩和はいつか終わる
・政府の有形固定資産は平成26年度179.6兆円、統合政府の資産は900兆円もある
・政府の出資金は70兆円もある
・日本の財政健全化を妨げている要因は、政府からの巨額の出資金や借入金の引き上げに既得権者が抵抗しているから
・国の財政が悪化していて資産がない、というのは都市伝説
・政府の借金は完済の必要はない
・債務の維持可能性があるなら、借金の総額はあまり問題ではない
・消費税の増税が日本経済の足を引っ張っている
・財務省は日本の格付け低下を利用して、増税の世論を盛り上げる方向に舵を切ってしまった
・日本はIMF第二位の出資国
・リーマンショック以降、急激に進んだ円高は、日銀がお金を刷る量やスピードが外国より遅かったため(日銀が他国の中央銀行に刷り負けた)
・世界各国の産業が発達して高度成長期を迎えた国は、人口爆発は終了し、その後は少子化傾向が強まる
・日本の長期経済停滞の原因はデフレ。その原因は政府と日銀による政策の失敗
・日本のエリートは仲間を庇い、責任をあいまいにする
・藻谷浩介氏の「デフレの正体」は経済学的に根拠のある話はほとんど書いていない。氏の「人口減少デフレ説」は間違い
・日本は2000年以降所得収支の黒字が急増している。多くが海外に対する債権。日本は対外債権国
・2014年末の日本の対外純資産は366兆円と世界一
・アメリカは借金が増えているのに、国債の信任が増すという不思議な現象が起こっている
・政府の借金の95%は国内で消化され、日銀が大量に国債を買っている。世界最大の対外純債権を積み上げており、日本は「世界最強の金貸し」の金持ち国家。それが財政破綻するのでしょうか?
・日銀はいくらでも紙幣を増刷できるので、国債の購入には限界がない。しかもインフレになっていない
・デフレが終われば景気が良くなる
・日本が破産することを心配する暇があったら、自分がこの時代にどう稼ぐかを真剣に考えるべき
・2015.3月末の日本政府の資産総額は679兆円。負債は1171兆円。差引国の債務は492兆円。政府子会社の日銀の純資産は290兆円を差し引くと202兆円になる
・きちんとした同盟を結ぶことによって戦争のリスクが下がる。軍事同盟によって少なくとも同盟国同士の戦争は起こらない。戦争が起こらなければ軍事費が増えることはない
・安保法制の憲法解釈を巡る議論は、現実に対処できるようにルールを改正すべき、という原則論とルールを変えずに解釈だけで十分だという現実論の対立
・日本全体で資産は7751兆円、負債は7748兆円日銀資産3兆円
・ロバートキヨサキ氏は「お金持ちはお金を出して資産を買う。貧乏人はお金を出して負債を買う」
・消費税の増税で税収は増えるが、景気が悪くなることで企業の収益が悪化し、消費税以外の所得税や法人税が減収となる
・GDPが1%増えると税収は3%以上増える
・医療費は、在宅医療の体制整備や市民の健康意識や予防意識を啓発することで減らすことができる
・マイナス金利だけで日本をデフレから脱却させることはできない
・公的年金の問題は、制度を作ったときに決めた利回りが高度成長期当時のもので高すぎた
・選挙で票を減らしかねない年金改革は政治家にとって人気のない政策だった
・年金の必要ない富裕な高齢者には年金を辞退してもらい、断った金額に応じて勲章を受け取る仕組みをつくってみては
・日本で預金封鎖が行われたのは1946年のこと
・お金をいくら刷ってもインフレが起こらなければ、政府は徴税をやめて、すべての財政支出を通貨発行で賄うことができる
・ハイパーインフレの定義は年率50%、年率13000%。第一次大戦後のドイツのハイパーインフレは生産設備の破壊、労働力の不足、高額紙幣の大量発行によって発生した
・日本はハイパーインフレになるはずがない
・日本の消費の低迷は14年の消費税増税
・アベノミクスによる円安で、政府資産の外国為替資金特別会計が30兆円の含み益がある。これを吐き出して消費税減税の財源にせよ
・中華人民共和国成立後、政策の失敗によって大東亜戦争とは比べものにならない数の犠牲者(6000万人)を出したとされている
・GDPは未だに日本が世界二位である可能性が非常に高い(上念氏の見解)
・GDPが神奈川県ほどしかないギリシャに多くの資金が集まってバブルが発生した。(住宅バブル)
・インフレ目標を達成するまで手段を選ばずに金融緩和をし続ければ、問題は解決できる