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佐藤優氏が大学講義を通してまとめた佐藤流の解釈資本論。

『資本論』は多くの人々のイメージとしては、難解であったり共産主義を志向する理論と思われがちです。

が、資本主義社会や現在の新自由主義を背景とする現代社会の構造を知る上で、すべての人がわかりやすく解釈された『資本論』を学ぶ機会を意識的につくってみることも重要だろうとも思うのです。

佐藤氏は、資本主義社会は『資本論』が定義する階級「労働者」「資本家」「地主」に「官僚」を加えた四大階級であると指摘しています。

国家を担っている官僚こそが国家の実体。


国家が税で動く以上、税を徴収し配分するのが官僚である、ということで、『資本論』がはっきりと結論づけていない資本主義経済と国家との関係を加えた佐藤流の解釈資本論も現代社会を記し参考とします。

 

 

 読書メモ↓

・ピケティ氏の「21世紀の資本」はベストセラーになった。

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・ピケティ氏の考え方は構造的貧困を再分配によって解決する修正資本主義の思想

 

・マルクスの階級論を理解していれば、人間の能力と収入の関係は直接つながらない

 

・階級という考え方を正確に理解していると、競争社会の中ですり潰される危険から身を守ることができる

 

・マルクスの資本主義に対する見立てはいまだに有効。資本論の論理を身につけることで自分たちの人生を楽にできる

 

・山口真由さんの「東大主席弁護士が教える超早7回読み勉強法」は資本論の勉強には向かないがなかなか面白い

 

・デイヴィッド・リカード「経済学および課税の原理」イギリスの古典派経済学の集大成

 

 


・資本主義社会とは四大階級「労働者」「資本家」「地主」「官僚」

国家を担っている官僚こそが国家の実体。国家は税で動いており、その税を徴収し再配分するのが官僚

 

・ポランニー 経済の3つの要素「商品経済」「贈与」「相互扶助」

 

・労働者との合意の上で、労働力商品を賃金で購入することで資本家は剰余価値を得る

 

・労働力の商品化が一旦なされて、商品経済を鷲掴みにしてしまうと、社会の中で大きなシステムとして廻り始めてそのシステムからなかなか抜け出せない、というのが資本論のメッセージ

 

・人は自由に何をやってもいいが、戦争をする権利は国家が独占している

 

・国家が暴力装置を独占しているので、勝手に戦争する人は国家が許さない

 

・労働力商品は消費によって生産される特殊な商品

 

・資本主義は全て帝国主義。新帝国主義とは植民地を獲得しようとしないこと、帝国主義国同士が直接の全面戦争はしない(核兵器があるから)

 

・マルクス経済学・資本論をアカ・左翼と断じるのは講座派的姿勢

 

・資本論は国家を除外して資本主義を社会の論理として考察した

 

・今の時点において国家は必要なのだけれども、未来において国家がなくなる、ということならば、アナーキズムとマルクス主義は同じことを考えている

 

・真理というものは楕円を構成している。一つの軸だけで物事を全部読み解くことができると信じてしまうと極端な発想になりがち

 

・新自由主義の主体は多国籍化した独占資本

 

・片山杜秀氏「未完のファシズム」によれば、日本は軍は軍、外交は外務省、予算は財務省が押さえている徹底したタテ割りで、タテ割が増え続けながら、みんなで天皇を輔弼するシステムになっていた、とした。タテ割りが原因で日本人にはファシズムができない、とした

 

・安倍政権は反知性主義的なヤンキー政治だが、ファッショ化に向かう可能性はない

 

・共産党が労働者階級の前衛として労働運動を指導する立場になる、するとエリート主義が出てくる

 

・集団的自衛権の問題で、閣議決定を行った結果、自衛隊は以前よりも海外に派遣しにくくなった

 

・教育レベルは、明治維新以降初めて教育の右肩下がりが起きてしまっている。教育の新自由化は日本でも急速に進んできている

 

・教育によって生涯収入の差が開くような社会、教育の機会が生まれた瞬間から差別化されることはよくない

 

・資本主義のシステムは永続するがごとく労働力商品化がなされる限りは続く。でも戦争で変わる可能性がある。戦争になると戦争の総力体制のために社会福祉を重視するようになり、格差は戦争で是正される

 

・資本論は、「資本主義システムというのは矛盾である」と捉えている。システムを変換すれば人間の経済ができる、という考え方をしている

 

・資本論は、商品というものを徹底的に分析していけば、最終的にこの世は階級というものからできている

 

・資本主義社会は自由平等を原則にしていて、労働力を自由に売買することで成り立っているが、国家は背景において暴力があり国家と国民の関係は必ずしも自由ではない

 

・官僚は自らの生存のためにカネを社会から収奪しているがそれを正当化している

 

・資本家と労働者の違いは、労働力を搾取する立場にいいるかいないかということに過ぎない

 

・経団連は国際資本の動向を反映しており、円を下げ株価を上げる原理に熱している

 

・安倍政権はイデオロギーによって経済プロセスに影響を与えることができると本気で信じているところがある

 

・レーニンの階級論は独自のものがある。レーニン階級として知識人階級を立てた。知識人とは自分がいる場所を客観的に認識し、それを言語で表すことができる人。知識人は意識はブルジョアで、生活実態はプロレタリアート

 

・資本主義の限界にみんなが気づくいたときに、資本主義が脱構築できるのではないか。でも今はイメージが思い浮かばないことを素直に認めた方がいい

 

・ロシアやヨーロッパはエリートの棲み分けができている

 

・日本のエリートでわかりにくいのは、安倍晋三やんや菅義偉さんだから(反知性主義の)

 

・鈴木宗男さんは日本型の社会民主主義

 

・ピケティが提示している問題の最終的な解決法は強度の相続税を取れっていうこと

 

・国家対資本の闘いをしようとしても、資本はグローバルに動くので必ず抜け道が出てくる

 

・資本主義とは交換を通じて成り立っている。労働者である以上働き者でも億万長者になることはない。他人の労働を搾取しない限り豊かになることはない

 

・資本論が解明している資本主義社会の諸原則諸関係は資本主義の発展とともにますます近似したものを具体的に見ることになる

 

・産業社会には必ず国家が関与しており、国家の関与の度合いによって社会の形が変わってくる

 

・格差の是正は戦争の時に是正される

 

・教育によって均質な労働力を作らないといけない。このコストを負担するのは国家しかない(ゲルナー)

 

・この世の中どういうふうにしていくのかはその人それぞれの趣味の問題

 

・子どものために何ができるのか、から始めることは革命を語るよりもずっと意味がある

 

・マルクス「資本論」

 

 

・宇野弘蔵の方法に従ってマルクスの資本論を読み解くこと