新版 決然たる政治学への道/PHP研究所

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副島氏の歴史論はメモ書きも含め、「仮説」です。でも、日本人は世界の本当のことを教えてもらっていないことも多くあり、解明していくことは必要でしょう。




読書メモ↓

・政治(politics)は古代ギリシャのアゴラ(広場)における討論が語源


・永田町の政治と、日本の政治学者たちの考えている「政治」とは似て非なるもの


・西欧とは食い違っているこの国の政治のコトバそ何とか原形に修復し、世界基準に合った日本の政治学への道を考える必要がある


・常識とは「ある時代を支配している社会通念の束」であり、それ自体が大きな政治的な力である(マイケル・オークショット)


・欧米では政治とは、政治・政策綱領に従って自分たちの意志で選び取っていく国家体制そのものの提示であり、実践であり、それがそのまま政治という科学そのものである


・孔子論語 子路第13 政治の責任者としてまず実行に移すべきなのはものごとの名称をきちんと整頓することから


・君子は言葉というものに対していい加減であってはならない


・名と実がずれるということは、世界がずれ、政治社会の秩序が乱れる。まず「名」を正すことから


・政治とは正しく言葉を使うこと 「正名」


・日本は他の植民地と違い、我が国独特の「政治のコトバ」を開発して、「統治・支配・権利・民主主義・・・」などの日本独特の政治のコトバを開発することができた


・日本人が西欧近代に立ち向かうために初めて政治のコトバとは「国体」だった


・日本の国家体制は、鎌倉時代以降、公家と武家の二つに分かれた。鎌倉以前は天皇を中心にした朝廷の時代、それ以降は武家の時代だった


・国体を革命に旋回させ新しい政治のコトバに変質させたのは吉田松陰。松陰が新国家イメージを完成させた


・明治維新の元勲による明治政府の体制は、明治寡頭政府(少数者独裁体制)


・薩長同盟の際、尊王をそのままにして、攘夷が開国になった。薩長同盟を裏で画策したのは、イギリス公使ハリー・パークスであり、その側近のアーネスト・サトウであり、武器商人トーマス・グラバーとジョン万次郎


・アメリカで経営支配人(CEO)と監査役の制度によって、アメリカでは18・19世紀から正確な産業統計数値が蓄積され、近代資本主義の精神が生まれた


・伊藤や井上は、日本の天皇制が神政政治でなけらばならないと考えた。それは幕藩体制を否定して天皇中心の体制を創設する必要があったから


・北一輝は、国体の概念の不整合性を指摘し、天皇が虚のままであり、実は官僚機構である政府が国家機関として成り立っていることを暴き出した


・正しくは、「国民が国家の支配者」ではなく、「デモクラシーにおいては選挙で選ばれた国民の代表者(議員・議会)が主権者である」



・シュミット「主権者とは、例外状況において、決断を下す者を言う」


・日本は戦後、国家としての名誉を棄てて、経済的にのみ繁栄する道を選んで生き延びてゆくそれが吉田の「吉田ドクトリン」


・日本はこれからの先もある程度はアメリカ帝国の言うことを聞いて、アメリカの意思に従って生きていくしかない。日本はアメリカの属国である


・歴史的に日本は中国と対等の国交を結ぼうとして精一杯虚勢を張っているが、東アジアの覇権国である中華帝国の皇帝からすれば、日本は自分の領土を取り巻くアジア系異民族の野蛮人の国家の一つに過ぎなかった


・推古天皇や聖徳太子が、「属国扱いされる方の、弱小国家の支配者」の無念の気持ちこそ、今の日本人は思いやり噛みしめるべき


・日本は長年にわたって、自分たちが中国の冊封体制に組み込まれているという事実を認めてこようとしなかった


・信長は天皇制に手をかけようとして打倒された。明智光秀の背後には、公家や足利幕府の御家人だけでなく秀吉も含まれていたようだ


・日米関係とはアメリカにとっては、「アメリカの東アジア戦略の一環としての対日政策」


・日本は最小限度の自衛武装のみを行い、経済的復興のみを追求して国民の生活水準の向上に努力する態度(吉田ドクトリン)をとった。それはそれなりに賢明だった


・アメリカは、冷戦終結後、日本を甘やかすことをやめた


・アメリカは世界帝国の名にかけて、日本に政治的圧力をかけてくる


・小沢一郎が提唱したのは、普通の国(ノーマルカントリー)正しくは「正常な国家」


・足利義満は日明貿易を行ったが、国書は「日本国王臣源道義」という称号を使っていた。これは、明皇帝の臣を称したことの証明


・当時の将軍たちは、国内の天皇だけでなく、もっと一段上の政治権力者である東アジア皇帝中国の皇帝からある種のお墨付きをもらっていた


・日本の法学・政治学・言語学・哲学・歴史学はおかしい。大きな真実をはっきりと言っていない


・アメリカの4つの階層

①ブルーブラッド シークレットクラブと呼ばれる秘密結社のメンバー。アメリカの隠れた貴族であり真の支配者階級 300人ほど

②ビジネスクラス 大企業経営者

③ミドルクラス 大企業管理職層および自営業者

④ワーカー 国民の90%


・現在の日本国憲法の草案は、マッカーサーがGHQ民政局のスタッフの法務将校に命じて9日間で作らせたもの。下敷きは1922年のフィリピン憲法


・欧米人にとっては、ヒトラーとヒロヒト(昭和天皇)は戦後も共に打倒すべき対象だった


・昭和天皇は世界帝国アメリカが科した象徴天皇制という座敷牢のなかに自ら終身蟄居した


・アメリカは国家安全保障の思想(先に真珠湾を襲撃したのは日本だ)原爆投下を公式謝罪しない


・日本人総体としては、ほかの政治問題を抜きにして純粋にアメリカ政府に向かって原爆投下を謝罪しろ、と公式に言えない


・日本政府(自民党政権)としては、今後も世界覇権国アメリカの軍隊の駐留を許して、自由貿易体制による経済的繁栄を重視したい考え


・日本は監視されており、自分たちの真意を外側にさらしながらでないと生きてゆけない国


・本来、戦後体制とは先勝主要国国連安全保障理事会常任理事国だけが核を持つ体制のこと


・日本が国連の安保理常任理事国入りは、外務省がこの方針で勝手に動いている。日本が世界の役人になって核兵器を持つことを許されることになれば、それと共に重い負担も強いられることになる


・国連が戦後の世界体制であることから、日本は国連の敵国条項の中に入っている


・日本は日本語という言語の壁によって二千年間外敵から守られてきた


・国連の正確な訳は「連合諸国」


・田中角栄だけが、戦後の日本の保守党政治家たちのうちで、アメリカの言いなりにならない強固な意志を持った、民衆に支持基盤を持つアジア型の民族政治家だった。だから田中は打倒された


・日中共同声明の第7条(アジア・太平洋地域でいかなる国の覇権の確立に反対する)が世界の覇権国アメリカを怒らせた。それによって、反日暴動や日本製品の不買運動が起きた。これらはアメリカのCIAが仕組んだもの


・日本の財界人というのは、東大経済学部を出て大企業に入社し、経営陣に出世しただけの大企業官僚。アメリカの財界人は本物の大企業オーナーの集まり。ソニーの盛田は彼らの仲間に入れてもらった


・本当の学問の体系

Ⅰ神学(哲学・数学)

Ⅱ学問 自然学問(物理化学生物・・・)社会学問(社会科学~経済学・政治学・社会学・心理学)

Ⅲ文学 人文・歴史学・言語学


・政治学とは、政治の科学あるいは政治の知の学


・鉄砲伝来とはヨーロッパから見れば日本発見のこと


・イエスズ会とそれの宗教上の信者であり軍事部門であったスペイン帝国が日本を征服する野望を持っていた。オランダとイギリスは貿易だけに興味があった、ということを徳川家に教えたので江戸幕府は鎖国に踏み切った


・日本は軍部の最高幹部(米内・井上・山本)らがアメリカ政府と内通することで真珠湾攻撃に踏み切った


・東アジアの覇権国である中国からの二千年来の支配に対して、日本語による共同体を守り抜くという意思が日本人の中で非常に強い。そのことによって日本は独立国家としてこれまで体を成してきた


・国民文化は言語の上に築かれれるもの


・日本が戦後アメリカに従属して、世界普遍価値に従って生きねばならない悲劇を誰よりもよく知っていたのが三島由紀夫


・日本は鎖国したまま世界と隔絶していたわけではなく、大きな意味での世界情勢の中に組み込まれていた。徳川氏は貿易相手をオランダだけに絞ったことは歴史的な視点から言うと正しい選択をした。少なくともナショナリズムの立場に立つならば、スペインとローマ法王の日本支配の野望を徳川氏が見抜いたことは賢明だった


・世界の動きの中で、現在の日本が置かれている位置