- 浪費なき成長―新しい経済の起点/光文社
- ¥1,296
- Amazon.co.jp
16年前に買った本。古い本を整理しています。21世紀の経済を論じていて、「理念型経済」を提唱している内橋氏。
氏の論で、時代状況が違うのはITの進化と、中国の政治経済の著しい台頭、日本の人口減少傾向、日本の国債発行残高。
金融緩和を継続していることも、浪費あっての経済成長を目指している日本の状況は、変わっていません。むしろ悪化しているかも。
現在は凶暴な金融資本主義の荒波を受けざるを得ないとしても、社会の矛盾を解決するソーシャルビジネスで経済成長を果たす「理念型経済」にしていくことが社会のリーダーに求められていますね。
http://booklog.jp/item/1/4334972470
・節約と成長が両立するのが国民経済のあるべき姿。浪費がなければ成長の維持も難しいというような経済は持続可能ではない
・浪費なき適正な経済性成長をめざしてこその経済政策
・消費生活において人々がいかにモノを買わないか、に心を砕く新しい思想をバックボーンとした経済社会を「理念型経済」は、社会的矛盾の解決に向けて仕組みを改める経済行為そのものが、経済の適性な成長をもたらす
・一般の日本国民はお上依存ではない。貯蓄が好きなのもお上ほど頼りにならないものはない、ととっくに見抜いているから
・国内総生産が拡大しても、それが社会の安定や個人の豊かさの増大に結びつかず、国民生活水準の向上には直結しにくい日本型停滞
・日本は経済大国だが、生きる・働く・暮らすという不安は大きくなっている、その不安の構造に戦後日本社会は正面から向き合ってこなかった
・アメリカは基軸通貨国なので円高になるならないはあまり関係がない
・日銀は量的緩和でジャブジャブと市中にお金が流れ出している
・年金が危なくなっている本当の原因は、限りなくゼロに近い超低金利のために運用予定利回りが確保できなくなってしまったから
・金利が上がると国債の利率が上がり国の負担が増える
・私たちが収めた税金の多くが、国債の利息と元本の支払いに充当されている
・アメリカは日本からの資金を吸収しなければNY株式市場の高値を維持できない
・アメリカ経済を支えている力の一つが円
・マネー資本主義のもとでは、世界は混迷から抜け出せない
・アメリカの世界市場化は、資本主義・市場経済の国際ルールをアメリカ主導のものによって世界に普遍化しようとするもの
・経済行動における倫理が重要
・21世紀「理念型経済」とは節約と成長が両立する経済、社会的矛盾の解決に向けて仕組みを改める経済行為そのものが経済の適正な成長をもたらす
・浪費なき成長社会とは、経済の成長を浪費によって求めるのではなく、経済構造の矛盾の解決に向けて社会参加型経済を築くことで問題を解決する社会構造
・日本型経済の構造は膨張型の大量消費。浪費させることで経済を成長させてきた
・浪費なき、は贅沢なき、ではない。浪費とは、個人・国家が適正規模の消費の限度を超えた消費のこと
・ハードで儲けるという、ハードのモデルチェンジで浪費をさせ、経済を成長させる循環がもう途絶える
・産業革命の行きつくところが、膨張大量生産、膨張大量消費の経済構造
・価格の設定理由をはっきりさせる方法がある。安ければよいというのは略奪型の市場競争原理至上主義
・ドイツ・健康で文化的な住まいを国民に提供することは国の使命であり、義務
・デンマーク・市民が共同で資本を分担する市民資本の形成。再生可能エネルギーシステム
・日本社会は選択強制型社会。原発をとるか、電力を使わない生活をとるかという
・消費者は生活者。ステークホルダーという視点が日本には欠落している
・人々の生活基盤を足腰強く育てる方向で、社会的矛盾の解決も含めて国家はなすべきをなすあり方がほどほどの経済成長を可能にする
・適正規模の事業体、日本型自営業は世界の理念をリードする可能性さえある
・利が利を生むマネー資本主義は虚の経済。それに対抗できる実の経済を磨き上げる道を
・日本社会の21世紀像は、競争セクターと同時に共生セクターの共存する多元的社会
・浪費による成長こそ、めぐりめぐって思い巨額の国民負担を生む