言ってはいけない―残酷すぎる真実―(新潮新書)/新潮社




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橘氏の最新本。
今までの研究やデータを挙げながら、人間社会の真実をえぐり出している本。

それは、現代の民主主義と資本主義社会と人間の遺伝子や本能との間で埋め合わせが出来ない矛盾こそが残酷な真実であるということ。



読書メモ↓




http://booklog.jp/item/1/B01E6JQBD0




・世界は本来、残酷で理不尽なもの




・ひとは幸福になるように生きているけれど、幸福になるようにデザインされているわけではない




・知識人が知らないふりをするのは正しい大人の態度




・優生学が間違っているのは、その論理が精神病者に対する差別と偏見を前提にしているから。科学的知見を精神病の予防や治療につなげ、社会の偏見をなくしていく努力が求められる




・行動遺伝学の双生児研究などで、知能が環境のみによって決まる、という仮説は否定された。一般知能の8割、論理的推論能力の7割が遺伝で説明できる




・知能の格差は差別に直結し政治的な問題となる




・現代の「知識社会」がヒトのさまざまな能力のなかで知的能力に特権的な価値を与えている




・潜在的な知能は人種にかかわらず均質でなければならない、というイデオロギー的な要請は危うい論理




・著名な科学者のなかでユダヤ人が占める割合はアメリカとヨーロッパでは人口比率より10倍高い。アメリカの人口の3%未満の彼らが企業のCEOの約1/5、20世紀のチェスチャンピオンの半数はユダヤ人




・近代国家の大原則は、国民を無差別に扱うこと(例外は障がい者など)




・アメリカを分断するのは人種ではなく別のもの、では「別のもの」とは何か。それは「階級」?




・アメリカでは富の二極化で新上流階級は庶民とはまったく異なる文化を生きている



・日本では景気の悪化で風俗業界が新規採用を抑制するようになった

・知識社会とは、知能の高い人間が知能の低い人間を搾取する社会のこと

・ひとは外見だけで、見ず知らずの人間の性格や知性を判断できる

・容姿で給与や昇進を決めるのは企業や経営者による差別。これは間違いではないが、企業がこうした差別をする理由は営業職や接客業において、美形の従業員のほうが明らかに収益性が高いから

・女の子は生まれつき人間の顔に興味を持ち、男の子は生得的に動くものに興味を持つ

・男女の志向のちがいが環境ではなく、脳の遺伝的・生理的な差から生じることを示している。男らしさ、女らしさは進化が生み出した脳のプログラム

・男と女は生まれつき幸福の優先順位が異なる。男性は競争に勝つことに満足を感じるが、女性は家庭と切り離されると満足度が大きく下がる

・男女の性差をイデオロギーで否定することではなく、両者の違いを認めたうえで、男も女も幸福な人生を送れるような制度を目指すこと

・男女でクラス分けをしたほうが、常習欠席が1/3減り、テストの点数は15%上昇し、大学進学率もほぼ倍になった。10代の妊娠の割合がいちじるしく低下した実例も

・男女の性差が生得的なものであるならば、男女平等の社会をつくるためにこそ、男女を別々に扱う必要があるかも

・人間には、幼年時代を共有した異性には性的関心を抱かない、という本性が埋め込まれている

・人間の独自の性への妄執が、知能の進化や文化の成立をもたらした?

・哺乳類では、生殖におけるオスとメスの投資額に大きな違いがある。メスは妊娠後子宮内で赤ちゃんを育て、出産後も授乳が必要になるから、、子どもに対する投資額はきわめて大きい

・一夫一妻制が広く観察されるのは、乳幼児が独り立ちするのにきわめて長期の養育が必要になるから

・一夫一妻制における、メスの最適戦略は、オスによる嫉妬の報復を避けながら、他人の子どもを自分たちの子どもだと巧みに偽って育てさせること

・日本は江戸時代までは乱婚だった

・わたしは、遺伝と環境によってわたしになった

・子どもの人格や能力・才能の形成に子育てはほとんど関係がない。遺伝率は音楽的才能の92%から言語性環境の14%までさまざま

・行動遺伝学のデータによって、
わたしは遺伝と非共有環境によってわたしになる

・親が子に望むような性格にしたり有用な能力を持つように育てることはできない。共有環境=子育てはほとんど関係がない

・現代の進化論では私たちのこころは進化適応環境に最適化されていると考える。これは遺伝的な変異がゆっくりとしか起こらないためで、現代人の遺伝子は旧石器時代の人類とほとんど変わらない

・子どもが親のいうことをきくことは絶対にない。親よりも友達の世界のルールを優先することが子どもの本性

・子育ては子どもの人格形成にほとんど影響を与えない=ハリスの集団社会化論

・ハリスの集団社会化論では、子どもは友達との関係のなかで自分の性格を決めていく

・親が無力ではなく、親が与える環境が子どもの人生に決定的な影響を及ぼす

・親の一番の役割は子どもの持っている才能の芽を摘まない環境を与えること

・現代史にとてつもない災厄をもたらしたのはみなきわめて賢いひとたちだった

・日本社会はどんどん安全になっている、昭和30年代の人口あたりの殺人件数は現在の2~3倍。近年は若者の犯罪の減少が顕著。高齢者は犯罪が増えている

・第二次世界大戦後は、国家による大量殺人が減ったことは明らか

・意識の本質は自己欺瞞

・私たちの認知=知性が進化のちからによってどのように偏向しているかをちゃんと知っておく必要がある。現代の進化論が突きつける不愉快な真実は、歪んだ理性を暴走させないための安全装置