これからの日本、経済より大切なこと/飛鳥新社
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ダライ・ラマ法王と池上氏との対談を通じて、日本のこと日本人の生き方を考える本。


資本主義社会の行きつく果てしなき欲望や格差拡大による、富める者貧しいものにも降りかかる不幸の連鎖、経済の成り立ちと同様心の平安が大事であることを説くダライ・ラマ法王は世界レベルの宗教指導者にして、現実主義者でもあることがよくわかります。


ダライ・ラマ氏この4つの言葉を金言として受け止めておきたいと思います。


「この世の幸福を楽しむために、一番に優先すべきことは、精神と心の平安を得ることです。二番目が健康、三番目が真実の友人、そして最後に富、の順番です。」


「本質的なのは、内面の充足。内面的幸福は、物質的状況とか、感性の満足に支配されません。その源は私たちの心にあります。その幸福の大切さを認識することが重要です」


物とお金は60%にとどめて、40%は内なる価値を高め、心によい変容をもたらすことを考えてほしい


「単なる競争、富への欲望ではない利他性が、企業活動の原動力となるべき」






読書メモ↓無印はダライ・ラマ氏、(I)は池上氏

・経済成長には限界がある。経済はそれ以上の成長が望めないところに達する


・全体的なものの考え方をすることができないため、その場限りの利益を追求することしか考えず、長い目で見るとどういう結果になるのかということを考えていない


・日本はアジアで最も経済発展や産業発展が進み、非常に裕福で進歩的な生活を送り、民主主義や自由な言論が保証されている国家。しかし、精神や心の豊かさは、経済や産業ほど重視されてこなかった


・お金があれば欲望は何でも満たされる、より深い幸福感が待っている、そんな呪縛がある。欲望に駆り立てられた社会の腐敗、人間の堕落の象徴


・経済的成功は自分にとって他人にとって社会にとってよいこと。しかし経済は、人間の価値を犠牲にして繁栄すべきではない。利益のために内面の平和を犠牲にしてはならない


・快適さや経済的な成長はひたすら欲求不満を生み出すばかり。諸悪の真の根源とは、実は私たちのあくなき欲望


・お金が最も重要になったがゆえに、私たちは弱い存在であり、現在の経済システムの深刻な欠点がある


・経済を「人間らしく」することこそ重要だ


・世界全体の幸福のために思考していかなければならない


・ソ連の崩壊はマルクス主義の崩壊ではなく、マルクス主義的全体主義体制の崩壊


・(I)経済格差への不条理感が経済学に興味を持つきっかけ。経済学とは、経済の仕組みを学ぶことによって、よりよい社会をつくり、人々を幸せにする学問


・(I)資本主義が抱えている矛盾や問題点を、マルクス経済学はかなりの程度説明できる


・(I)経済活動には人の心理という予測しづらい要素が加わる


・(I)チャーチルの言葉から、民主主義は欠陥は多いけれども、今のところ人類が到達した最善の政治形態。資本主義も欠陥は多いが、同じく現時点では最善の経済形態であり、改善されながら発展していく


・(I)国民が幸せを感じている国の代表は、ブータンとデンマーク。


・持ちすぎる者と何も持たない者との間に、深淵が広がりつつある


・発展途上国そのものが、西洋をまねる少数の富裕族と貧しい人々に分離するという自国内の大きな格差に苦しんでいる


・貧富の格差は道徳的に誤っているだけでなく、社会不安ともめ事の原因になっている。いずれ私たちの身に降りかかってくる


・一人ひとりは自分しか見えない


・高貴な考えのほうが、富よりずっと大切


・人間はどんな環境にいようと、幸福を望み、苦しみを避ける


・豊かな人が豊かでいられるのは、貧しい人をなおざりにしているから


・(I)エコノミーの日本語訳は中国の古典に登場する「経世済民」世を治め民を救う。資源の最適配分を考えることが経済学の使命


・(I)格差の大きい社会では、貧しい人もお金持ちも安心して暮らせない


・(I)日本はもともと格差社会。日本人が格差を感じなくなったのは、高度成長期のわずかの間にすぎない


・(I)社会主義の思想は立派だったが、実際はうまくいかず、けっして幸せな社会ではなかった


・(I)アメリカは格差の連鎖が起こっている


・「この世の幸福を楽しむために、一番に優先すべきことは、精神と心の平安を得ることです。二番目が健康、三番目が真実の友人、そして最後に富、の順番です。」


・貧困から解放されてもお金の奴隷になる。決して満足するこのない。


・金持ちである唯一の利点は、他人をより助けることができること。社会的には、より重要な役割を果たし、より影響力がある


・豊かな人のほとんどが、財産の賢い使い方である貧しい人に分け与えるといったことを知らない。財産を増やすことで頭がいっぱいになり、他のことを考える余地がない。自分のことに気を取られるあまり、豊かな人は幸せな世界をつくれるはずなのに、その夢を忘れてしまう


・富より大切なものは心の平安


・(I)時間が切実に欲しい。大好きな本を読むための豊かな時間が。


・(I)お金が好き、お金が欲しい、これが経済学者の共通した考え方。人としての営みを実現し、幸せになる手段として私たちはお金を必要としている。が手段であるお金が目的にすり替わってしまっている。お金のためにすべてを犠牲にしてしまっている


・(I)お金に振り回されるのではなく、幸せな人生につながる道具としてお金を味方につける知恵を多くの人が手にしてほしい


・「本質的なのは、内面の充足。内面的幸福は、物質的状況とか、感性の満足に支配されません。その源は私たちの心にあります。その幸福の大切さを認識することが重要です」


・物とお金は60%にとどめて、40%は内なる価値を高め、心によい変容をもたらすことを考えてほしい


・幸福とは精神的要素


・金銭欲は獲得すればするほど、ますます満たされなくなっていく


・(I)ダライ・ラマ法王は4割くらいは心のことを考えよう、という現実的な態度


・(I)より幸せな家族のあり方を求めて、日本人は核家族化を選んでいる


・(I)ダライ・ラマ法王が提言しているのは、信仰を超えた普遍的な倫理観。人間なら誰でも持っているモラルを世界標準にしていく


・企業にとって人件費があまりにも高くなったため、雇用システムが不条理なものになってしまった


・ビジネスに必要な法則とは、経済界で働く人たちが慈悲心や利他心を育まねばならないこと


・ビジネスには競争が重要な意味を持っており、精神面の大切さをどう取り入れたらよいのか実際的な提案ができていない


・先進国の消費をあおるためだけに、貧しい国の重要な資源を吸い上げることは壊滅的。そのままでは私たち全てが苦しむことになる


・「単なる競争、富への欲望ではない利他性が、企業活動の原動力となるべき」


・(I)江戸時代は細分化された専門職があり、みんなで仕事を分け合っていた。ワーキングシェアが実現できていた。つつましく生活し、社会の中にみんなの居場所があった


・(I)企業戦士とは、戦争のためにつくられた日本型の企業の中で、会社のために家族をないがしろにして頑張ってしまう日本のサラリーマン


・(I)殺人件数は減り続けている。殺人事件が珍しいから全国ニュースになる。教育勅語は、親殺し子殺しが目に余るほど起こっていて天皇が勅語を示した背景も


・(I)治安がよく、外国と戦争せず、内戦もテロもない。乳児死亡率が非常に低く、女性は長寿世界一。こんな(日本のような)幸せな国がほかにあるでしょうか?


・(I)その国の民主主義のレベルは報道からわかる。政府に批判的なニュースが報道されていればその国には民主主義が浸透している


・(I)世界的に考えれば、日本人はもっと幸せだと感じてもいいのに感じられない人が多いのは、日本人の向上心にも理由があるかも知れない。現状に満足せず、常に改善・改良を目指してどこまでも上を目指そうとする精神性が常に満足できないストレスを招いている


・(I)成功している人を羨ましいと感じて自分も頑張ろうと思う向上心を原動力に日本の発展の実現があった・日本人に足りないものがあるとすれば「足るを知る」という能力


・(I)ダライ・ラマ法王は、日本の若者は外に目を向けるべきと発言している


・(I)事実を正しく知る力、正しく伝える力を自分の中に培うことが必要