- おとなの教養―私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書 431)/NHK出版
- ¥842
- Amazon.co.jp
http://booklog.jp/item/1/4140884312
「教養」って社会人である私たちにとっては、すぐには役には立たないもの。しかし、物事の判断基準の基礎になるのが教養。その教養を学び、生かす大切さを教えてくれる基礎の基礎の本。
日本人である私たちは、確かに素晴らしい価値観を共有していてそれなりに安定している社会をつくっているのだけれど、島国であるがゆえに、島国日本のことを知ると同時に、世界基準の考え方を知っておいたほうがよさそう。中世までのキリスト教の歴史と近現代史の大枠を捉えておく必要があるなあ。
読書メモ↓
・教養とは「自分はどこから来て、どこへ行くのか。自分はいまどこにいるのか」という問いかけから
・アメリカではすぐに役に立つものを教えるのは専門学校、エリート大学はすぐに役に立たないことを教える
・すぐに役に立つことは、世の中に出て、すぐ役に立たなくなる。すぐには役に立たないことが、実は長い目で見ると役に立つ(慶応義塾 小泉塾長)
・自分自身を知ることが現代の教養
・ユダヤ教徒に神の言葉を伝えたのが聖書、イエスに神の言葉を新たに伝えたものが新約聖書、神がムハンマドに神の言葉を伝えたものがコーラン
・ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は世界を創造した唯一絶対の神が存在するが、仏教では宇宙も世界もすでに存在していることになっている
・人間はどこか宗教によって心の安らぎを得るところがある
・宇宙は138億年前にビッグバンにとって生まれたが、地球は46億年前に生まれた
・人間は進化する過程でさまざまな病気も取り込むことになってしまった
・がんの予防法は規則正しい生活をして夜ちゃんと寝ること
・スペイン風邪が第一次大戦を終わらせた
・人間自身の営みの中にある法則を考えて生まれてきた学問が経済学
・近代経済学の父アダム・スミスは「富とはそもそも何なのか」「富とは国民の労働で生産される必需品と便益品である」
・アダム・スミスの神の見えざる手は市場経済が持つ自動調整機能のこと
・マルクスは資本家自身が資本に操られ、資本と増やし続けることに囚われている、これこそが資本主義の法則だ、と考えた
・マルクスは、資本主義が持っている法則を読み解いた上で、その法則に従えば最終的には資本主義は限界に達して社会主義が樹立される、と考えた
・不景気になる、とは需要と供給が合わなくなること
・フリードマンは、政府の規制はできる限り撤廃したほうが、経済はうまくいく、という新自由主義という考え方をした
・人間は決して論理的な計算にもとづいて、冷静に行動しているわけではない
・世界史という科目は、ヨーロッパ中心の歴史としてつくられてきた経緯がある
・ユダヤ教・キリスト教・イスラム教という一神教の宗教は、世界に始まりと終わりがあると考える、これが「終末論」人間が関わる出来事を、すべて神の意図が実現する過程として描くのがキリスト教的な歴史の記述
・古事記や日本書紀が編纂されたのは天皇中心の中央集権体制を確立する時期だった
・歴史とは常に勝者によって描かれてきた勝者の物語
・キリスト教的価値観から科学的な知識にとって世界を認識することで、歴史は進歩する、進歩史観という考え方ができた。ヘーゲルの歴史観や哲学を批判的に受け継いだマルクスも唯物史観というものを考えた
・唯物史観とは、世界は進歩して資本主義にたどりつき、その資本主義は社会主義革命によって終わりを迎えるとまったく新しい歴史が始まる、という考え方
・李承晩も金日成も他国に連れて来られる形で国のトップになった(これがコンプレックスを持った歴史観になっている)
・国共合作といっても実際に日本軍と戦ったのは国民党が中心
・日本の現代史にも勝者の歴史が強く反映されている「東京裁判史観」という言葉からも
・江戸時代に水戸藩がつくった「大日本史」は江戸時代までの歴史が天皇の歴史が正統である、という視点から日本史を書き直した
・日本の二通りの読みは、ジャパンの語源はポルトガルの辞書からのニッポンという言葉から。
日常的な場ではニホンと言い、あらたまった場所ではニッポンと発音されていた、と辞書には記述されていた
・2009年の閣議決定では、ニホンとニッポン統一する必要はない、という決定をした
・お国自慢で47都道府県それぞれ「よそはと違うんだ」という意識がある。が、「日本民族」という一つのレッテルに納得するのは、日本がかつて戦争に向かって進む過程でつくられた、さまざまなプロパガンダや制度がいまだに根強く残っている面も
・健全な愛国心というのは、上から押し付けられるものではなくて、みんなが自然に持つもの。愛国心を政治的に利用してはいけない
・日本の製品は第一次大戦から第二次大戦まで、安かろう悪かろうの代名詞だったが、第二次大戦後に日本人が努力をした結果がメイド・イン・ジャパンになった
・東南アジアは反日ではない。たしかに日本はアジアを侵略したが、戦後深く謝罪し、戦時賠償金を払ったことでアジアの基礎ができたこと、独立を勝ち取った歴史がある。中国は戦時賠償金の代わりにODAを韓国は日韓基本条約締結時に、賠償金ではなく経済協力、お祝い金として渡した。また中韓の反日教育の面も大きい
・過去を見直すことによって学問は発展成長する
・知識とは、単に受け取るだけではなく、現代に生かし、より良い社会、より良い人生をつくっていく。これがリベラルアーツというものの価値