- 税金官僚に痛めつけられた有名人たち/光文社
- ¥1,620
- Amazon.co.jp
副島氏がデヴィ夫人ら税金で国税などの税金官僚たちと闘った人たちのインタビューと通じて、日本の権力構造の本質的問題点を抽出した一冊ではないかと思いました。
お金持ち(高額納税者)が尊敬され、社会の発展のためにお金が使われる公平な(決して平等ではない)社会になるにはどうしたらいいか、税制も増税一辺倒ではない発想の転換が出てきてほしいです。私たちが賢くなってもっと税金の勉強をしないといけませんね~
私は無政府主義者ではありません。国家の徴税分配機能は、個人の幸せと社会の安定のために必要なことです。著書は高額納税者へのインタビューを対象にしており、課題を抽出するために一方的な主張になる傾向があるのは確かです。著書が貧困層への課題に直接触れているわけではありませんので。
高い税金で財政黒字であっても高福祉のリターンと余剰資金を運用することで収益を得ている北欧の例もあります。税金の課題はたくさんありますが、借金大国の日本の債務(一方では対外純資産世界一だが)をどうするか、個人資産をどう守るか、貧困や格差の問題をどう解決するのか、考える必要がありますね~
・資産は逃がし、隠すべきを隠せ
・格差社会の是正は、税金・税制ではできない。また、やってはいけない
・金持ちと貧困層の両方が、いろいろな形で存在する社会が自然な社会
・富裕層こそ国家の主人公
・何でもかんでも福祉は公務員にやらせる、役所がやるという考えは大間違い
デヴィ夫人
・(コンサート開催を開くのにかかった費用に対して贈与税を課せられた経験から)日本は、慈善活動をしたら、褒められるどころか、罰せられる国
・フランスですでに税金を払った不動産に対して、日本でも税金を払わされた
・高額納税者は人々から尊敬され勲章があっていい(日本ではない)
・高い税金のおかげで古く美しい街並みが壊されていく。お金持ちは(文化のために)いなくてはいけない存在
・日本はお金持ちを滅ぼそうとしている
(副)
・重加算税は脱税行為に対して課せられるペナルティ
・修正申告は納税者の権利
・税務署員たちは重加算税を課す悪質な事例をつねに狙っている
・税理士は税務署から脅される時代
・税務署のスパイになっている税理士もたくさんいる
・税務署員の前で聞きながら確定申告すべき
・税務署員は入ってきたお金に興味があり、経費損金はなるべく認めない
・ドイツやフランスでは、公認会計士が認めたものは経費としてすべて通る
・日本では個人→個人、法人→法人の送金は税金がかからないが、法人→個人は配当とみなす
・裁判官も国税庁とつながっていて税金を取る側の味方をする
・大企業の経営者、国会議員たちも国税庁とその親分の財務省がコワい。だから日本では官僚の方が政治家や財界人より強い
・国家の名前で、貧富の差をなくす(税制による所得の再分配機能)、というのは間違った考え
・税金の使い道を監視する機関がない
・日本の国税庁員は外国で動き回ることは簡単にできない
・日本はすでに税務調査を通じた統制社会
神内良一(プロミス創業者)
・息子が亡くなったとき相続で400億以上納税した、それでもう財産は残さないと決めた
・相続税は廃止すべき
(副)
・日本の方が官僚統制の共産主義国家で、中国の方がずっと個人の努力や活力を認めている
・日本は税金官僚が「半分は国によこせ、俺たちが使ってやる」という国
・経営者は数字に強くなければいけない
磯貝清明(FX長者・スクラップ会社経営)
・2年くらい泳がせて延滞利息がついてからやってくる
・(滞納した税金を)完済したら、国税でお待っている人を救います
(副)
・(個人では)損益通算の制度を使えなくしてしまう
与沢翼(IT企業会長)
・(税金の高い日本よりも)海外に拠点を移しても稼げる
・常に質素倹約して税金のことを第一に考えていないと日本で稼ぐのは難しい
(副)
・住民票を移してしまえば非居住者。非居住者になった方が賢い
・人が頑張って金持ちになることをこんなに邪魔する国はない。金持ちになろうとすることを国家が犯罪視している
・いまの日本に経済成長がないのは、公務員たちが、それが正義の執行だと思い込んで、イキイキとした経済活動の自由を妨害するから
八田隆(元クレディ・スイス証券部長)
・調書に署名しないのは大変。敬語を使って腹の底から怒鳴り合った
・日本に半分以上居ないこと、海外で収入があり、生計を一つにしている家族が一緒にいる条件を満たさないと日本の国税は非居住者として認めない
・国家権力と闘うのは自分のことだけを考えたら無理
(副)
・国税がガサ入れして特捜部が起訴したケースでは今まで無罪になったケースはなかった
・自白調書に指紋を押したら負け
・メディアは報道の自由を行使して、権力者を監視する役割を果たしていない。それどころか情報を自ら統制し、公権力の意思を垂れ流す下部組織に成り下がっている
・報道は国民洗脳の道具(金融・経済・思想・生活の統制のために)
・デモクラシーで最高の権限を持つのは国民の代表者=政治家、彼らを簡単に法律で処罰できるなどと考える自体が許しがたい
・官僚たちが悪いのは、自分たちの手下子分である公務員を食わせることを優先して一般国民を二の次とすること
税理士座談会
・サラリーマンが副業をして、事業所得を生じ、それで赤字が出たら、税法上は(損益通算で)還付を受けることができ、これはまったく問題無い。けれども、これを公然と認めてサラリーマン層がみなやり始めたら税務署が困ってしまう
・資産防衛のやり方として、日本の非居住者になることが、根本解決方法
渡辺喜太郎(元麻布建物社長)
・役人と政治家は、税金で食っている「特別国民」
・金持ちをいじめちゃダメ。お金を使う人がいなくなってしまう
(副)
・交際費100%課税にしたのはアメリカ
・交際費は経費
・出たお金はすべて経費として認めろ、という国民運動をやらないと日本は亡びる
・大きな宗教団体やアメリカとつながりがあって大きなネットワークに入っている個人や企業は助かる
・小沢一郎は穢い金は一切受け取っていない。それを悪人に仕立て上げた
・国民思いの立派な指導者が現れると、アメリカと対等に交渉しようとします。それはアメリカにとってものすごく嫌なこと。だから優れた人物が国民の上に立てない。そのように仕組まれている
・松下幸之助は「東大と国税庁を廃止すべき」と言っていた。内部留保を作って国民を食わせていく「無税国家論」を主張した
副島終章
・日本では500万人くらいいる自営業者や会社経営者、資産家層が、世の中を大きく支えていて残りの1億2000万人の日本国民を雇ったり食べさせている
・小中高校時代成績が良かった人たちは、勉強秀才なのだがその後そんなに裕福な人生になっていない
・理系の技術者たちは生来非常に優秀な人たちだが、その努力や業績に見合った良い暮らしはしていない
・厳しい経済環境の中、大企業・大組織に入った人ほど、理系文系を問わず苦労が絶えず、受ける苦しみが大きい
・高等数学の計算力と、ユダヤ人的な金儲けの、お金の計算は全く別もの
・人間は、社会で生きて生活する上で、(法の下での)取り扱いにおいて平等であるべきであるが、真実としては人間は平等ではない。平等であるべきだが、平等には生まれついていない。私たちは、この大きな問題について、正直に議論を始めるべき
・所得税と相続税が大増税されて金持ちたちは、狙い撃ちにされる
年間死亡者110万人のうち5%の6万人の(子どもたち)だけが相続税を払っていたが、これからは倍の10%12万人が相続税を払わなければならなくなる。それが国税庁の狙い目