ポリアモリー 複数の愛を生きる (平凡社新書)/平凡社
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・なぜ子どもの頃は同時に好きな人がたくさんいてもおかしくないのに、大人になると一人の人だけを愛するようになるのか


・知らない間に身につけた愛に関する「常識」=一人の人を愛すること=正しくホンモノの愛

・1対1を性愛倫理とするモノガミー社会では、既婚者の浮気・不倫はあってはならない、とされている


・一人の人を愛し、貞操を貫くことこそが誠実な愛の証→複数の人を本気で愛しているという気持ちに嘘をつく必要はないのではないか?と考える人々がいる


1対1の愛だけが正しいわけではない

愛は社会規範が保証するわけではない

愛する人数は自分の意志で決めるべきだ


複数のパートナーと誠実に愛の関係を築くという道


・複数愛という愛のかたちを「ポリアモリー」と名付けた


・隠れて行われる二股や浮気不倫は悪いというわけではなくそれも愛のかたち、他人の愛について善悪を判断する権利はない


・オープンマリッジはポリアモリーの一形態


・「きらきらひかる」江國香織

恋愛小説で、三角関係を維持しようとお互いに思いやる三人の姿が描かれているポリアモリーの世界

きらきらひかる (新潮文庫)/新潮社
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・ポリアモリーとは あくまで自分の愛する複数の人と親密で持続的な関係をきづくこと

①合意に基づくオープンな関係

②身体的・感情的に深くかかわり合う持続的な関係

③所有しない愛  モノガノミー社会では排他的な愛を前提とする

④結婚制度に囚われない自らの意志と選択による愛 ただし一夫一妻制に対峙するものではない

   社会規範や婚姻制度を漫然と受け入れるのではなく、自分の意思で付き合う相手の人数を決めることが大切

・日本において一夫一妻制が確立したのは1898年の民法によって

・岡本太郎の両親はポリアモリーだった

・ポリアモリーの

第一パートナー 長期的に深く関わり合うパートナー

第二パートナー 長期的に深く関わり合うが、住居金銭はどは別にするパートナー

第三パートナー デートする間柄だが、日常生活で頼りあう仲ではないパートナー

Aオープンマリッジ 夫婦以外で性的関係を持つことに対し、両者が合意している結婚のかたち

Bオープンリレイションシップ 性愛パートナーを互いに限定しない、と両者で合意ができているカップル

Cグループマリッジ 3人以上の者たちが結婚と似た形式で暮らすスタイル

Dポリフィデリティ 性的関係をグループ内に限定することを約束した三人以上の第一パートナーからなる性愛スタイル 新しく誰かが加わる際にはグループ全員の同意が必要

Eトライアッド Fヴィー  3人からなる性愛スタイル

Gクワッド 4人からなる性愛スタイル

・アメリカには性の抑圧と性の解放ふたつの側面がある 性を現実を直視する伝統

・アメリカのポリアモリスト 白人・中産階級・高学歴の傾向

・ポリアモリーは束縛しない愛、所有しない愛 合意のある複数愛を実践すること

・ポリアモリー倫理

①意思決定は合意の上で

②正直であれ

③相手をおもいやる

④本気でかかわる

⑤誠実であれ

⑥個性を尊重する

・「嫉妬はエゴイズムを倫理として意識している」真木悠介

・怒りや嫉妬などの感情は社会によってつくられている

・ポリアモリー本では必ず嫉妬対策に項が割かれている

①独占欲からの嫉妬

②疎外感からの嫉妬

③ライバル意識からの嫉妬

④エゴからの嫉妬

⑤不安からの嫉妬

・嫉妬は自分のため、参加している大切な関係のために活用する

・パートナーになることと所有することは異なる/所有することと愛することは異なる/そもそも愛は持つものでもない

・人は愛を持つことができるという誤解のために愛することをやめてしまう

・ポリアモリーはセ○クスは肯定されるものであるが、快楽を追求するフリーセ○クス主義とは異なる


・性革命で自由をいかに実践することができるのか、という倫理的な問題が残されたまま


・ポリファミリーは一対の男女の性愛や血縁を基盤とする従来の家族像に当てはまらない

子育てのシェア、家族内の他者を受け入れる、血や法の絆から


・ポリアモリーはステキな愛のかたちであり魅力的で人生を豊かにする


・ポリアモリーはかなり挑戦的な性的実験と思っていたが、一人の人と関係を継続するモノガノミーこそ大変な挑戦と考えるようになった


・血縁関係に拘らない生き方の一つ


・パートナーの数ではなく、誰をどのように愛するか


・ポリアモリーを日本に紹介したかった理由


①ポリアモリーを自分の都合よく解釈し理念を理解しないまま借用する状況を回避するため

②愛の関係に悩んでいる方々に新しい選択肢の一つとしてポリアモリーを紹介したかった

③自分とは異なる愛を生きる人を自分の常識だけで判断してほしくない


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私はポリアモリストになるには想定はしても実践は難しいと思います(笑)むろん多様な価値観の共存する自由ある社会はどうあるべきかを模索していて、同志のコミュニティの同意と人間倫理の範囲内において自由にすべき、同性愛も夫婦別姓も認めるべき、という立場です。


国は残念ながら、家族という概念をことさら強調して多様な家族観や人間関係における価値観を制限したまま少子化対策を推進しようとしているように見えます。日本人の社会倫理や常識もありますが、それらは明治以降に取り入れたものであったりするわけでして、もう少し柔軟に考える余地が欲しいものです。


このポリアモリーの概念は個人にも言えまして、オープンマリッジ、複数愛を推奨するというよりも、嫉妬から無縁な生き方をしたいこと、より多様な人間関係が社会を発展させるためにも必要ではないか、という国家や個人、社会のあり方をわかりやすく示すことができるひとつの象徴としてとらえています。

固定概念から自由でいるための頭の体操の範囲ではありますが、社会は変わっていくでしょうかね。