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日本人のためのピケティ入門: 60分でわかる『21世紀の資本』のポイント/東洋経済新報社
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「ピケティ解説本」のひとつ。



・ピケティの本はマルクスの資本論とはほとんど関係がない


r>g とは資本主義の根本的矛盾 「資本収益率が成長を上回ること」

 資本ストックが増えると、資本収益の額が増えるので格差が拡大する


・ピケティはフランス与党社会党の経済顧問を務めていて左翼であるが、実現可能な政策提言をし、フランスやEUの政策にも反映されている

・ピケティは資本主義より効率の高い経済システムはない、と言っている

・ピケティの提案はグローバルな資本課税

・日本の所得格差はフランスとほぼ同じ

・資本主義は不平等化の傾向

・第二次大戦後、ヨーロッパ・日本が高い成長率を示したのは、戦争で破壊された資本を再建したからであって資本主義の根本的矛盾が克服されたわけではなかった

・この傾向を是正するためにはrとgの差を縮めるグローバルな資本課税が必要、とピケティは説く

・日本で年収3300万円以上は最上位0.1%の大富豪

・日本での問題はアメリカのように上位1%と残り99%の格差ではなく、正社員と非正社員の格差

・日銀の異次元緩和で名目賃金は上がったが実質賃金は下がった

・2000年代以降日本の交易条件は、為替レートの低下とエネルギー価格の上昇で40%以上下がった→日本からはエネルギー多消費型の製造業は消えるかも

・グローバル資本主義にとって重要なのは、配当利益がいくらになるかなので、生産コストと税金の安い国で生産するのが当然

・教育とテクノロジーの競争で賃金が決まる、教育投資が賃金格差を減らす最善の手段

・r>g は過去の資産の収益が労働所得より大きいことを示している

・多くの資産をもつ人は高いリターンを得ることができる、資産は最上位の大富豪に集中する

・新興国の成長は、所得が先進国と同じ水準に達したら止まる

・先進国の対外純資産はタックス・ヘイブンなどでかなりの部分が課税されていないことで大富豪に資産が集中

・アメリカでは、下位50%の低所得層の子どもが大学に進学する比率は1970年以降 20%まで、上位1/4の階層の子どもの進学率は40%→80%に倍増 親の所得で子どもの学歴はほぼ予測できるようになった

・累進課税は20世紀の現象、1980年ごろから弱まり、高額所得者の所得が増えた

・資本収益率があれば遊んで暮らせるといいう問題は、多くの文明で問題を引き起こした

キリスト教やイスラム教はかつては金利を禁止した時期も、マルクスや社会主義は金利や搾取をなくすために私的所有権そのものをなくそうとした。これによって r>gは解決するが、価格も機能しなくなった

市場経済と所有権は、資本家が労働者を支配する道具ではなく、人々を命令なしに協調させるすぐれたシステム

・ピケティの資本課税論は21世紀のグローバル資本主義をコントロールするための新しい制度。

資本主義と所有権を守りながら r>gの生み出す危険な結果を防ごうとする。その目的は所有権を尊重して個人の権利を守ることであって、所得の再分配ではない