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寂聴 愛を生きる ~女の人生が輝く334の知恵~ (だいわ文庫)/大和書房
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「たいていの恋愛は錯覚の上に花開くものだから、愛し、愛されていると思う幻想に酔うのが恋愛というものの正体であるかもしれない」


「男と女の関係では、真剣につきあえば、そこにはどんな相手からでも、予期以上の精神的贈り物を受けていることに気づかされる」


「恋した瞬間から喜びより苦しみが始まる。それでも人は愛したがる。愛のない人生は荒涼として淋しいと思う。なぜなら愛する人がいた場合、たとえ片想いであっても、人は自分をよりよく鍛え成長させ、磨きたいと思うからだ」


「男女の間では憎しみは嫉妬の裏がえしです。嫉妬もまた愛のバロメーターです」


「人間は愛した相手が自分と同じ分量か、より多くの愛を返してくれないと、苦しみ、悩みます。自分ひとりが独占しているという証を常に示してもらわないと落ち着きません。そのために人は人を愛したとたん、不安と嫉妬に苦しめられます」


「いくら水をのんでもたりないような渇きに似たものが人間の愛であり、愛の渇きは、愛のあるかぎり、満たされないということを意味しているのかもしれない」


「愛はいたって単純な方程式で説明出来ます。 相手の欲するものを与え、欲しないものを与えない というだけのことです。私はそれが愛の原理だと思っています」


「無償の愛と呼ばれるが、そんなものは長続きするものではない。無償の愛は親の子に対する時だけかもしれない」


「男は女を歓ばせることで快楽を覚え、女は男に歓ばされることが快楽につながる」


「やさしさから生まれる深情けが、必ずしも男にとっては女の美徳になり得ないところに、永遠の男女のズレがあり、悲劇が起こる」


「女は子どもを産むことで、男との不安定な愛を、確固たる約束ごとにしようという本能的な無意識の打算を持っている」


「いじらしく夢を持ちつづけ、神経が痛みやすく、デリケートでやさしいのは、実は男なのです」


「人間は自分たちで自分の心に鎖をつけるため結婚制度や一夫一妻制を考え出したのだ」


「多くの、妻にやさしい夫たちは、本質的に妻を理解しようとしてはいず、自分の流儀で、自分本位に妻を愛しているような気がする」


「女の幸福は、一人でも多くの人間が自分を理解してくれたと思うこと」


「成人した男と女の間での愛で、肉体の裏付けのない愛などは、愛とも呼べない」


「人間は互いに許し許されて生きているのです。自分のことも相手がずいぶんがまんしてくれているという点を考えてみましょう」


「一人の男より二人の男、あるいは三人の男を、精神的にも肉体的にも知る方が、女にとってはより豊かな人生をのぞくことができるのは、かくしようがない事実である」


「人間が生きるということは自分の欲するものを手に入れたいということ。自分の欲望に従って自分の可能性を押し開こうとすることが、すなわち生きることだと私は思うんです」


「生きるという技術の中には、いかに美しく忘れるかということも大切な要素としてふくまれる」


「人は不幸を味わうほど、人の不幸や傷みに敏感になります。それは神仏が苦しみの代償として与えてくれるもの」


「心に傷のある人こそ、他人を愛することが出来る」


「男は相当馬鹿な男でも、自分を見る自分の目というものを持っているものだが、女は相当賢い女でも、男を鏡にしなければ自分というものが映し出せない」


「本当に男にとって恐ろしい女は、権謀術数の男たらしでも、打算と欲のかたまりの嬢王蜂でもなく、一見純情可憐、捨て身の情熱と、無償の愛を捧げて、盲目的にしがみついてくれると見える可愛い女なのである」




「女光源氏」の瀬戸内氏。自身の恋の体験が男と女、そして人間の本質を語らせているのでしょうかね。

その本質は有史以来まったく変わっていないことを。