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- 続・悩む力 (集英社新書)/集英社
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・漱石とウェーバー、同時代に生きた東西の巨人はすでに100年以上前に「幸福の方程式」の限界について誰よりも鋭く見抜いていた
(漱石は明治のアッパーミドルが故の苦悩を描き、ウェーバーは米国の資本主義の現状を鋭く分析した)
・資本主義は自由競争のルールが幸福の弁神論の役割を果たすようになったが、本来的に資本主義が優勝劣敗の過酷な法則が故に敗者となったら生きる価値がないという方向に人々を追いつめていった
・私たちは苦悩や受苦に目を向け、その意味についてより深く掘り下げていくことで、はじめて新たな幸福の形が見えてくる
・「求める」ことが宗教心に通じているのではないか
・「門」に入ってしまいたい苦しみよりも「門」に入れない苦しみが深い苦悩の元であり、入れないのは自意識の肥大が原因
・漱石が描いた近代の病根「5つのタネ」は
「お金」(組織資本主義への移行に伴う矛盾)
「愛」(金と愛のある情景)-愛やエロスは単独で魅力を放つものではなく、経済的なものと背中合わせで存在する
「家族」(厳しい外界から身を守る避難所・団らんから個体同士の神経戦的なバトルへ、「社会で最小単位の修羅場」)
「自我の突出」(自己顕示欲を持ちながら自己が何者かわからない)
「世界への絶望」(実存的な虚無感)
・「直接アクセス型社会」(ポピュリズムという浮動的価値観)
・「公共領域の消失」(匿名の特定多数の個人の意思=「市場」が政治を動かす)
・明らかに誤っていても、全員がそうだと言えば正解となる、異を唱えると黙殺される「柔らかい全体主義」が社会を覆っている
・ジェイムスが「人は生死の境をさまようほど心を病み抜いたときに、境涯に達し、世界の新しい価値、異なる人生をつかむことができる」
これを健全な心で普通に一生を終える「一度生まれ」よりも「病める魂」で二度目の生を生き直す「二度生まれ」の人生の方が尊いと説いた
・市場経済というものは人類の歴史のなかではたかだか400年の歴史しかもたない新参者のシステム
・漱石の言葉には「大きさ・強さ・スピード」といったものに対する懐疑がある
・人間の価値は「創造」「体験」「態度」
・愛するということの理想的なあり方は、相手のありのままの状態を丸ごと受け入れること
・「人間がはかなく死ぬ運命であることを念頭に置いて、あくまでも謙虚に人間的なるものを肯定する」(テリー・イーグルトン)
現代人の苦悩を抽出し解説し、その解決法の道筋を示している「知の書」です!(^^)!
現代人は苦悩から逃れることはできませんが、苦悩の日々を生き、二度目の生を生きなおす「二度生まれ」の境地を体感することの大事さを説いていますね!