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- 戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)/創元社
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元外務省幹部の孫崎さんが書いた今年の話題の書です。
米国からの圧力と抵抗を軸に日本の戦後史を読み解いた画期的な本です。
今までそのようなことを明確に出した人がほとんどいなかったのですから。
今までの戦後史を学んできた中で、どうも腑に落ちない点があったのですが、
表に出てきた事象の背後に米国の動きがあった場面が出てきます。
日本の戦後の発展は米国の力によるものも大きいし、その維持のために政治が国民の意思よりも米国の意向を優先させてきた側面もある戦後保守政治が読み取れる内容になっています。
・戦後の日本外交は、米国に対する「追随」路線と「自主」路線の戦いだった
・自主路線の政治家
重光葵、芦田均、鳩山一郎、石橋湛山、岸信介、田中角栄、竹下登、細川護煕、福田康夫
鳩山由紀夫などの首相は結果的に米国に排斥された
・米国に対する追随路線と自主路の対立という視点から歴史の流れを見ることによって、はじめて日本人は過去の歴史を正確に理解することができ、日本の行く先も見えるようになる
・自分に都合のよい、ありえない分析をして、望む政策を押しとおそうとしたのが日本の軍部の態度
・歴史上正確には日本の戦後は8/15ではなく、9/2の降伏文書署名から始まる
・吉田茂首相の役割は米国からの要求にすべてしたがうことにあった
・「日本が米国に従属する保護国」である状況は占領時代につくられ、現在まで間接統治は続いている
・日本国憲法は米国が作成した草案を和訳し修正したもの
・片山哲社会党政権は片山氏がクリスチャンであったことでGHQが認めたことによるもの
・米国からの圧力は一枚岩ではなく合理的長期的展望にもとづくものでもない
・日本の検察・特捜部はGHQの管理下でスタートしたためもともと米国と密接な関係を持っている
・検察が汚職などの犯罪捜査を米国からの指示で行って政治家を失脚に追い込んだ歴史も
芦田均 逮捕 昭和電工事件 在日米軍について有事駐留を主張
田中角栄 逮捕 ロッキード事件 米国に先駆けて中国との国交回復
竹下登 内閣総辞職 リクルート事件 自衛隊の軍事協力で米国と対立
橋本龍太郎 会長辞任 日歯連事件 金融政策対立、中国に接近
小沢一郎 強制起訴 西松建設・陸山会事件 中国に接近
・小沢一郎はこの事件がなければ本来民主党政権の首相になっていた
・昭和天皇は沖縄の半永久的に米国の占領を求めていた
・当初の米国の占領政策は日本が米国の脅威となる軍事大国にならないよう厳しい経済制裁を加えたものであったが、冷戦によりソ連への対抗上、日本の経済力工業力を利用する考え方に転換された
・朝鮮戦争以降、米国の対日政策は、日本に経済力をつけさせ、その軍事力も利用しようとする方向(米国の安全保障に貢献する日本)に転換された