序:宅建試験と権利関係
例年4択の50問で行われる宅建試験。
このうち権利関係は14問出題。
例年
問1~問10:民法からの出題
問11~問12:借地借家法(借地1題、借家1題)
問13:建物区分所有法
問14:不動産登記法
という構成で出題されている。
令和5年度の権利関係では、
- 改正のあった相隣関係
- 不在者財産管理
- 取得時効のマイナーな判例
- 配偶者居住権
- 抵当権の処分
- 賃借物の修繕に関する細かい条文知識
などが出題され、かなりの難易度に戸惑う受験生も多かった。
では今後、宅建試験における「権利関係の扱い」をどのようにしたらよいか。
1:宅建試験における権利関係の立ち位置
近年の出題傾向からは下記のことが言える。
1)民法分野はもはや「定番だけ勉強すればいい」という時代が終焉している。
2)条文知識をかなり聞いている。
3)確かに条文を読んでおけば得点できるが、かなりマイナーな分野も扱う。
4)いわゆる過去問演習だけでは太刀打ちできない問題も散見される。
時代の需要ともいえるが、宅地建物取引士が不動産取引の専門家である以上、民法分野において広範な知識を有していることを要求されるのは仕方がないところである。
2:有名ブロガーの提言にみる宅建試験の民法攻略法
宅建史上初の小学生合格を配した「パパリン宅建士」のX記事を引用している。
氏の発言にある、
いつも不思議に思うのは、権利関係が〜と嘆いている受験生に限って、業法や法令、税その他で十分な得点に届いていないというのが実情です。 権利関係云々より、他にやるべきことがあるだろ?って話です。 もう一つお伝えしておきます。 権利関係で半分の7点をとるだけなら、通常の宅建教材の権利関係分野だけで対応できます。 内容をきちんと理解しながらテキストを読み進め、過去問で95%以上の正答率を達成できるようにしてください。
という点に関しては充分に与する理論である。
確かに令和5年の問題に関して分析をすると、
問1 相続 70.9%
問3 請負 77.7%
問8 制限行為能力者 63.9%
問11 借地 66.6%
問12 借家 65.8%
問13 区分所有法 80.1%
問14 不動産登記法 72.5%
(LEC調べ 数字は正答率)
となっており、これらの失点が合否を分けたといえる。
この点、
✅宅建と銘打ったテキストの内容を把握し、
✅宅建の過去問集の制度を完璧にすることで
✅権利関係7点以上は確かなものになる
ということになる。
3:宅建試験の権利関係で無双する必要性
宅建の権利関係が極めて広範囲に出題
宅建のテキストや過去問で扱われない分野からの出題
という2点からすると、
- 司法試験用の勉強
- 司法書士用のテキスト
などの学習が必要な気がする。
これは特に権利関係で低位な点数に甘んじた者の悲痛な叫びといえよう。
しかしながら、その必要性はない。
やはり、ここは
✅宅建と銘打った教材を徹底的に利すること
✅マイナー論点や改正点は予備校の模試や単発講座を受講
することで合格できるという点を強調したい。
4:宅建試験の攻略法
宅建試験は、
✅権利関係で満点とっても合格できず、
✅権利関係で5点を下っても合格できない
試験である。
正しくは、
✅権利関係で満点とっても合格しにくく、
✅権利関係で5点を下っても合格しづらい
試験である。
結論:まとめ
まずは、以下の分野について、
- 条文
- 重要判例
- 宅建過去問
を徹底的に覚えるべきである。
- 制限行為能力者
- 意思表示
- 代理
- 債務不履行
- 解除
- 手付
- 物権変動
- 不動産登記法
- 建物区分所有法
- 時効
- 契約不適合責任
- 保証・連帯債務
- 抵当権
- 相続
- 賃貸借
- 不法行為
- 委任
- 請負
- 債権譲渡
- 借地借家法
これに
21.共有(所在者不明土地・建物管理制度も含めて)
22.危険負担(実務上知識が必要)
23.弁済
あたりを加えて、
✅過去問徹底演習
✅大手予備校模試や予想問題集
を繰り返し訓練するだけで権利関係7問は充分クリアできる。
また、出題者は現役の弁護士で当然、不動産取引や宅建試験に明るい方が試験委員になることになるものであるから、トータルとしての7点死守というレベルの学習が最も効率的である。
むしろ、
✅宅建業法
✅法令上の制限
での9割得点のための精度を上げた学習がとにかく重要であることは言うまでもない。