【カナヤマヒコ/地母神のたぐりから生まれた男神】

@art.mochida.daisuke

カナヤマヒコ(金山彦神)は、イザナミが火の神カグツチを生んだ時に陰部を焼かれ大やけどを負って、苦しみながら吐いた嘔吐物(たぐり)から生まれた神です。

同時に生まれたカナヤマヒメは兄妹神や夫婦神ともいわれています。

製鉄の守護神としてタタラ(製鉄所)に祀られるカナヤコ(金屋子神)は、この二神の御子神とされている点をみると夫婦と考えていいでしょう。

カナヤマヒコ、カナヤマヒメの基本的な神格は鉱山の神ですが、『古事記』では、この二神につづいて糞尿から土の神ハニヤスビコ、ハニヤスビメと水の神ミツハノメ、ワクムスビが生まれた事から、鉱山で採れた鉱石や砂鉄を大量の水を使って選別し、粘土で作ったタタラに入れて、ふいごによる高熱で溶かして精錬するという、古代の製鉄の様子から連想された神だと考えられています。

こうした製鉄との関わりから、鍛冶の神や鋳物(いもの)の神としても信仰されています。

包丁(ほうちょう)の守護神として有名な岐阜県不破郡垂井町の南宮大社は、カナヤマヒコを祀る全国三千の神社の総本社であり、現代においても包丁製造業者に広く信仰されています。

南雲大社の社伝によれば、カナヤマヒコが神武東征の時に金鵄(きんし)を飛ばし、戦勝をもたらす霊威を発揮したといいます。

これは優秀な鉄製武器の製造技術を背景にもつカナヤマヒコのルーツを物語っていると考えられ、製鉄技術の高い一族を支配下に置いたことで神武天皇の東征が成されたと解釈する事も出来、古代においての製鉄技術の重要性を示すものであるといえます。

このように、カナヤマヒコは、本来の鉱山の神という枠にとどまらない領域を守護する神様です。

【祀られる神社】
南宮大社（金山彦神のみ）(岐阜県垂井町)
南宮御旅神社（金山姫神のみ）
金屋子神社(島根県安来市の)
黄金山神社(宮城県石巻市金華山)
御金神社(京都府京都市)
幡枝八幡宮末社の針神社(京都府京都市)
その他、全国の金山神社で祀られている。

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