【アメノオシヒ/天孫降臨で活躍した護衛の神】
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アメノオシヒ（天忍日命）は、記紀神話以外の『先代旧事本紀』「神代本紀」では「カムサヒ（神狭日命）」とも表記されている神様で、古代豪族の大伴氏（おおともし、大伴連/大伴宿禰）の祖神です。
天皇の身を守り抜くという、皇室の護衛としての大伴氏の役割を象徴する神がアメノオシヒであり、『日本書紀』によると、孝徳天皇の即位(645年)の際、大伴長徳（おおともの ながとこ）は犬上建部君(いぬかみたけべのきみ)と共に、金の靭(ゆき)を負って壇の左右を固めて、神話における天孫を守護したアメノオシヒの役割を再現しています。
アマツクメとアメノオシヒは共に天孫ニニギに随伴した警護神で、天の石靫（あめのいわゆき・矢を入れる堅い筒）を負い、頭椎の大刀（くぶつちのたち・柄の大きな太刀）を身につけ、天の波士弓（あめのはじゆみ）を持ち、天の真鹿児矢（あめのまかごや）を手に持ち、ニニギの前に立って仕え先払いをしました。
アメノオシヒの系譜について『古事記』・『日本書紀』に記載はありませんが、『古語拾遺』や『先代旧事本紀』「神代本紀」では、造化三神のタカミムスビの子とあります。
また『新撰姓氏録』でも、タカミムスビの五代目、六代目とも記載があり、ニニギの母ヨロズハタトヨアキツシヒメがタカミムスビの娘とされるので、アメノオシヒとニニギは近しい関係といえます。
『古語拾遺』や『先代旧事本紀』によると、ニニギの叔父にあたる神がアメノオシヒであり、大伴氏と皇室との密接な関係を現しているといえます。
それを裏付けるのが神武東征の逸話で、初代神武天皇（じんむてんのう）の側近であったミチノオミ（道臣命）はアメノオシヒの末裔で、アマツクメの末裔とされるオオクメと共に神武天皇の東征に多大な功績があったとされています。
また、神武天皇の即位の際は、ミチノオミが宮門の警護を務めているように、皇統守護の筆頭がアメノオシヒとその一族で、後裔の大伴氏もその重要な役割を担っていました。
大伴氏は物部氏（もののべ）と共に朝廷の軍事を管掌していたと考えられていて、この二大氏族には親衛隊的な大伴氏と、国軍的な物部氏という違いがあり、大伴氏は宮廷を警護する皇宮警察や近衛兵のような立場だったとされます。
「アメノオシヒ」の名称の意味は、「大し（おし）霊（ひ）」とする説や、「オホシヒ」と見て「勇壮な意」とする説、「霊威と生命力に満ちた神」であるという説があります。
『古事記』の伝承ではアメノオシヒ、アマツクメが同格で東征の先導を行いますが、『日本書紀』・『古語拾遺』の伝承ではアメノオシヒがオオクメを従えています。
【お祀りする神社】
伴林氏神社 (大阪府藤井寺市)
降幡神社（大阪府南河内郡河南町） - 大伴氏支族の居住地といわれる。
油日神社（滋賀県甲賀市）
矢保佐神社（長崎県壱岐市）
上社（三重県伊勢市） - アメノオシヒを「天忍漁人命（あめのおしあまのみこと）」として祀る。
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