【オオワダツミ/海の宮殿に住まう海神】
@art.mochida.daisuke
海の神オオワダツミ（大綿津見神）は、夫婦の創造神イザナギとイザナミによる
「国産み神産み」によって生まれたと記載される神で、山幸彦を助けた逸話で有名です。
「神産み」の時に生まれた神様は数多くいますが、
最初に生まれたのがオオコトオシヲで、
続いて「家宅六神（かたくろくしん）」とよばれる家を形成、守護する神々と
海の神オオワダツミが生まれました。続いて水の神ハヤアキツヒコ、ハヤアキツヒメ、
風の神シナツヒコ、木の神ククノチ、山の神オオヤマヅミ、野の神カヤノヒメ、
火の神ヒノカグツチなどの自然神が誕生します。
『古事記』の「山幸彦と海幸彦兄弟の伝承」でオオワダツミは、
兄(海幸彦/ホデリ)の釣針を無くしたことを責められて落胆していた
山幸彦（ホオリ）を手助けする神として登場し、
オオワダツミの娘のトヨタマヒメが山幸彦と結婚することになります。
その後、オオワダツミは山幸彦の失くした釣針探しを手伝い、
兄の海幸彦をこらしめる「塩満珠（しおみつたま）」と
「塩乾珠（しおふるたま）」を授けました。
オオワダツミは、トヨタマヒメの父であるので、別名をトヨタマヒコとされ、
もう一人の娘タマヨリヒメも山幸彦とトヨタマヒメの子ウガヤフキアエズと結ばれ、
初代神武天皇（カムヤマトイワレヒコ）を産みました。
こうして、山幸彦、ウガヤフキアエズと二代に渡り皇祖に娘を嫁がせたオオワダツミは、
皇統に深い関係を持つ神様でもあります。
また、イザナキが黄泉から帰って禊（みそぎ）をした際に産まれた
ソコツワダツミ、ナカツワダツミ、ウワツワダツミの三柱もワダツミ三神と呼ばれますが、
オオワダツミとは別の海神ともされます。
しかし、名前も神格も似ている事から近しい関係の神だと考えられます。
ワダツミ三神は、九州北部の海人族であったとされる阿曇連（あずみのむらじ）（阿曇氏）の祖神で、
信濃にも安曇氏が進出しています。
現在も阿曇氏の末裔が宮司を務める志賀海神社（福岡県福岡市）は阿曇氏伝承の地です。
オオワダツミは水の神、海の神として海上交通の守護や大漁祈願はもちろん、
農事や狩猟も守護して富をもたらすとされ、全国各地で広く崇敬されてきました。
また、オオワダツミの「ワタ」は「海」の古語とも言われる他に「渡る」という意味もあるとされ、
オオワダツミの名は「大きく渡る津を見守る神」ともいわれます。
これは「海原のはるか沖に続く航路を守護する神」という意味とされ、
広大な海そのものを守護する偉大な神格を表現しています。
昔から海に囲まれていた日本において、海の幸、海上交通の守護を司る
オオワダツミは偉大な自然の恵みの象徴ともいえ、
その神霊は篤く崇敬される存在でしたが、それだけではなく皇室と
切っても切れない関係にある重要な神様である点も、
オオワダツミの広い信仰に影響してきたことでしょう。
・オオワダツミ、ワダツミを祀る神社
志賀海神社 福岡県福岡市東区志賀島 総本社
大海神社 （住吉大社摂社）大阪市住吉区
龍王神社 奈良市中山西町
海神社 和歌山県紀の川市
綿津見神社・海神社 全国各地
志賀神社 福岡県糟屋郡粕屋町
風浪宮 福岡県大川市酒見
渡海神社 千葉県銚子市
穂高神社 長野県安曇野市穂高
二見興玉神社 三重県伊勢市二見町
林神社 兵庫県明石市
小江神社 兵庫県豊岡市
海神社 兵庫県豊岡市
田土浦坐神社 岡山県倉敷市下津井田之浦
由加神社本宮 岡山県倉敷市児島由加
沼名前神社 広島県福山市鞆町後地
水上神社 島根県大田市温泉津町
浜殿神社 長崎県対馬市豊玉町仁位
高千穂神社 宮崎県西臼杵郡高千穂町
鹿児島神社 鹿児島県鹿児島市草牟田
飯倉神社 鹿児島県南九州市
永尾神社 熊本県宇城市不知火町永尾615
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