【オオカムヅミ/黄泉の軍勢を退けた桃神】 | 八百万の神の浮世絵師 持田大輔

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日本最古の歴史書『古事記』を題材に絵を描き活動しています。
八百万の神々が織りなす天地創造、天岩戸伝説など神様の喜怒哀楽が記された神話を少しでも多くの方に知って頂きたいと思います。

【オオカムヅミ/黄泉の軍勢を退けた桃神】

 


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オオカムヅミ(意富加牟豆美命)は『古事記』によると、

 

黄泉の国でイザナギを黄泉の軍勢から助け出した

 

「桃の木の神霊」として登場しています。



「大いなる神のミ(霊)」という意味の神名で、

 

他にも大いなる神の実と解釈し「大神実命」と表記する場合もあり、

 

桃太郎神社(愛知県犬山市)ではオオカムヅミが生まれ変わり

 

桃太郎として鬼を退治したとされます。

 

『日本書紀』にも登場しますが、神名は明記されていません。



『古事記』では、前述の通り亡き妻を取り戻そうと、

 

イザナギが死者の国である黄泉の国に赴きますが、

 

妻イザナミとの約束を破ったために失敗して、

 

ヨモツシコメや八雷神(やくさのいかずちのかみ)、ヨモツイクサに追われてしまいます。


恐ろしい黄泉の軍勢に追われたイザナギが、

 

地上と黄泉の国の境にある黄泉比良坂(よもつひらさか)の麓まで逃げてきた時に、

 

そこに生えていた桃の木から実を3個取って投げつけると、

 

八雷神とヨモツイクサは撤退したと記されています。

この功績により桃は、イザナギから「オオカムヅミ」の神名を授けられました。

 

そして、「汝が私を助けたように、葦原の中国(あしあらのなかつくに/地上世界)の

 

あらゆる生ある人々が、苦しみに落ち、悲しみ

 

悩む時に助けてやってくれ。」と頼みました。


『日本書紀』では神産みの第九の一書に登場して、

 

『古事記』と同様に、イザナギは黄泉の国で八雷公に追われます。

 

その時、道端に桃の木があり、その木の下に隠れて桃の実を採って

 

投げつけると雷公は退走していったので、

 

これが桃を用いて鬼を避ける由縁とされています。



桃は中国では仙木とも呼ばれ、邪気を払う呪力があると考えられ、

 

疫病祓いの実ともされていました。

 

元旦に飲む桃湯は邪気を退け、桃膠(とうきょう/桃の木のヤニ)から作られる仙薬は、

 

万病に効くとされ、桃弓(とうこ)と棘矢(きょくし)が

 

除災の儀礼に古代から用いられてきました。


日本においても古くから、桃を神聖視する

 

信仰があった事が遺跡をみても分かります。

 

奈良県の纒向遺跡(まきむく)で3世紀前半と推測される土坑から、

 

2千個以上の桃の種が出土しているのが代表的な例で

 

(1ヶ所で出土したタネ数としては国内最多)

 

桃は祭祀に使われたものとされ、この時代には日本にも

 

「桃の邪を祓う信仰」が伝来していたと考えられています。

 

岡山県でも22の弥生時代から古墳時代にかけての

 

遺跡から13,000個を超える桃核が出土しています。

 

 

平安時代になると、追儺(ついな、節分の起源)で鬼を追うための

 

桃弓や桃杖が使われ、正月には桃の木片で、

 

卯槌(うづち)というお守りが作られていました。

室町中期には有名な「桃太郎」のおとぎ話がしますが、

 

これは桃が不老長寿の仙果で、邪鬼を払う呪力があったことに関係するとも、

 

オオカムヅミの生まれ変わりが桃太郎であるともされ、

 

雛祭りも「桃の節句」と呼ばれるように、桃の花を飾り、

 

桃酒を飲む風習が見られ、桃の厄災を払う力に係わる祭りとなっています。



これらのおとぎ話や行事にみられるように、

 

オオカムヅミの霊威は形を変えながらも現代に色濃く息づいています。



【お祀りする神社】

賀茂神社 (徳島県阿波市)
赤國神社(京都府綾部市)
境内社
行田八幡神社 (埼玉県行田市)
熊野神社 (東京都多摩市)
多伎藝神社(島根県出雲市)
新治神社(富山県黒部市)
桃島神社(兵庫県豊岡市)
桃太郎神社 (愛知県犬山市)

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