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長時間座ることの「静かな脅威」
私達の生活は便利になるほど「座る時間」が長くなっています。
通勤、デスクワーク、会議、食事、スマホやテレビ
──気づけば、1日の大半を座って過ごしていませんか?
世界保健機関(WHO)は、長時間座位を
「運動不足とは別の独立した健康リスク」として警告しています。
これは、週に何度かジムで運動していても、
日常生活で長く座っていればリスクが残るということです。
■ 最新研究が示す、座りすぎの害
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高齢女性の場合
2024年の米国研究(JAHA誌)では、63〜99歳の女性を8年間追跡。
1日11.5時間以上座る人は、9時間未満の人に比べて
全死亡リスクが57%高く、心血管死亡は78%高いことがわかりました。
驚くべきは、運動習慣があってもこのリスクを完全には消せなかったこと。
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若い世代も例外ではない
同年のPLOS Oneの研究で、平均年齢33歳・1,000人超の男女を分析。
1日8時間以上の座位は、BMI(体格指数)やコレステロール比の悪化と関連し、
将来的な心疾患や肥満リスクを高めると報告されました。
活発な人でも「座っている時間」が長いと影響は避けられません。
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心臓への負担
イギリスUK Biobankデータ(約9万人)解析では
1日10.6時間以上座る人は、心不全や心血管死のリスクが40〜60%高いと判明しました。
こちらも、推奨運動量を満たしていてもリスクは残っていました。
■ なぜ座っているだけで危険なのか?
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血流の停滞
長時間動かないと、ふくらはぎの筋肉ポンプが働かず、
血液やリンパの流れが悪化。
これがむくみや冷え、血栓リスクにつながります。
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代謝の低下
座位が続くと筋肉のエネルギー消費が激減し、インスリン感受性が低下。
血糖値が上がりやすくなり、糖尿病や動脈硬化の原因となります。
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筋力と姿勢の衰え
股関節周りや背中の筋肉が使われず、柔軟性や体幹が低下。
猫背や腰痛、肩こりの慢性化を招きます。
■ 「ジムに行ってるから大丈夫」ではない
ここで強調したいのは、「運動は無意味」という話ではないこと!
むしろ運動は健康維持に不可欠です。
ただし1日24時間のうち、1時間の運動よりも
残りの23時間の過ごし方のほうが、
健康に与える影響は大きいということです。
たとえば、平日はデスクワークでほとんど動かず、
通勤中も座りっぱなし──こうした生活だと、
週末のジム通いだけで座りすぎの害を相殺できません。
■ 次回予告:座りっぱなしから抜け出す方法
長時間座位は、「静かな生活習慣病」です。
しかし、対策は存在します。
ポイントは
NEAT(Non-Exercise Activity Thermogenesis)
─つまり「運動以外の活動」によるエネルギー消費を日常に増やすこと。
次回は、このNEATをどう生活に組み込み、
習慣化していくかを具体的に解説します。
椅子から立ち上がる、小さな一歩から始めてみましょう。