ナスカの地上絵
2005年
南米のペルーにあるナスカの地上絵の撮影向かいました。
ロス経由で南下し、リマに到着
そこから一路ナスカへと車にゆられて・・・
距離的にはそんなに離れた印象はない為、心の準備は「未知との遭遇」
を受け入れるように、風景に吸い込まれていきました。
リマの町は海の近くにあるので、
海からの湿った風が低い雲のような霧になって立ち込め
途中の砂漠のような丘も、その低い雲に覆われていて
乾燥しているのに不思議な感じでした。
雨がほとんど降らないため、民家の屋根は日よけだけにあるようなのものでした。
実際、ナスカにある空港の施設の壁は、なかなか雰囲気のあるものでしたが、
屋根はシュロの葉みたいなもので覆われていて、隙間から空が見えていました。
撮影場所から車で40分程度のホテルを、まだ暗いうちにスタートして
外灯も無い真っ暗な道を走っていると
目の錯覚からかまるで映画の「未知との遭遇」のように
両側の暗いところが平原なのに、真っ黒い山のように感じて・・・
ヘッドライトに照らされた道がどこまでも真っ直ぐに続き・・・・・
永遠にこのまま時間も・・・・・という感じでした。
その時の空は、月も星もない真っ暗なものでした。
夜明けを待ち飛び立つと
広大な平原にある地上絵を目指しましたが
これがまた大変で、どこにあるのか全く見えません。
現地のガイドさんが「探すのが難しい」と言っていたのを思い出しました。
それと、砂漠のような平原は、あっという間に強風になるので時間がありません。
航空監視員に「100M以上は飛行機が飛ぶから、それ以下で飛ぶように」と言われ
低空で地上絵を目指している時に
ふと、なんの道しるべも無いこの平原に
『なんで絵なんか描いたのかなぁ~』と思っていました。
昼は灼熱で、夜は真っ暗!
何の為に?何人で?どのくらいの時間をかけて?
水は?・・・・なぁ~んもない・・・・
よぉーし!と高度をと20Mぐらい一気に上げると
わぁ!!なんだー!!これは!!!
目の前に無数に交差する直線ラインの幾何学模様!!!
これほど緻密に、広大に、描かれたというよりは
ひかれたラインは、人の手によるもので圧巻でした!
中には一直線に・・・その先は崖だったり、
幅が100Mくらいのものも
先が狭くなって線に見えるものなども
すごいのは、このラインに費やした人の英知や労力で
「絵」に隠れていますが
このラインがなかったら
「絵」は必要なかったでしょうね・・・・。
今日から約1週間、小学館「NHK世界遺産100」のCMで
その時撮影した「ハチドリの絵」が流れますが
ご覧いただいた時に、宇宙からでも見ることの出来る
世界最大の遺跡「ナスカライン」を想像してご覧いただければと願っています。