車いすに乗って少し移動ができるようになってすぐのこと。
知らないおばさんがよろよろとやってきて、
私の前で泣き崩れた。
なんとなくわかったのは、
私と同じ脊髄損傷で、部位は頸椎。
隣の県から搬送搬送でやってきた息子さん。
まだ全然寝たきりだということ。
おばさんは、泣いて泣いて
最後に涙を拭いて、それでも涙は拭ききれなくて言った。
「私、自信がないんです。あの子を家に迎え入れても世話をしてあげられるか。」
それでも、また会えたらいいですね、ごめんなさいね、と
バスに乗って帰っていった。
おばさん、私だって帰って今まで通りに生活できるのかわかんないし、
世話してもらうってどういう気持ちになるかわかんないよ。
あとから芋からきいて知ったのは。
私よりちょっと早くにいた人らしい姿。
屋上までかな、ストレッチャーにのせて、技師さんや助手さんたちが一生懸命連れて行っている姿を
見たとか。
おばさん、うちのおかんもきっとおんなじ不安を抱えているんだと思う。
聞くことができてよかった。