崖から転落し、再スタートはできましたが、この時点でヤンマは最後尾付近にいました。
あ~あ。一瞬やる気が無くなってしまいましたが、まだスタート地点からチョットしか進んでおらず、とにかくゴールまで1周はしないとな。って思いなおし再スタートを切りました。
進んでいくと、意外にも早く大きな集団に追い付きました。
そこは気が生い茂る林の坂を登るコースです。
「チャンスだ!」
とにかくアクセルを開けてバイクを抜きにかかります。
トップは遥か向こうで見えませんが、ある程度前に出る事ができました。
何時からか自分の心の中にはリタイヤの文字は消えていました。
ひたすら走る!ひたすら。
特に技術があるわけでもないし、速いわけでもない。でも走る。
もうどのくらい走ったろう。1時間は走ったよな、2時間?いやまだだ!
だんだん体力が落ちてくる。
スキーの様にバイクで坂道を下り、すぐに急坂を登る。
ジャンプをし、溝が深くなった所を走り、ゴールを目指す。
苦しい、心臓が飛び出そうだ、水が飲みたい。
自分との戦いはレースが終了するまで続きます。
そんな時レースの神様は自分にあるチャンスを与えてくれました。
ボーっと走っていると、一台のバイクが自分を抜き去ります。ゆうじゅです。
彼はトップ集団にいてみる事は無いと思っていましたが、自分が周回遅れで見る事になったのです。
疲れていた自分に再びやる気がみなぎります。
「よ~し、やるか。」
当然速さでは敵いません。でも一個のコーナーなら。
そんな思いで後を追います。とにかく前へ。
(車を走っているとわかると思いますが、カーブを曲がる前にブレーキをかけますよね。レースでも一緒です。コーナーも前では減速をします)
ゆうじゅがコーナーを曲がる為にブレーキをかけます。自分は少しでも追いつく為にブレーキを我慢します。背中が近づく、もう少し、もう少し。
並びかけたその時、ゆうじゅがコースを飛び出しました。
「抜けた!抜けた!!」興奮を抑えることが出来ませんでした。
人生で初、そして最後、ゆうじゅを抜きました。(これ書くとあいつきっと電話してきて
飲みに行くぞって言うんだろうな。悔しくて)
でもね速攻で抜き返されましたよ。当然だけどね。
レースも残りわずか、果たして3時間耐久レースの結果は?
っていうかヨッパカはどうした?確かレースに出てたろ。
続く