高校三年生の三学期。 
卒業式以外は殆ど学校に行く必要はなかった。
僕はこの学校を学年一番で卒業するので、
生徒を代表して優等賞が授与される。
今日は その練習のためだけに午前中に学校へ行った。


午後からはいつもどおり、自動車学校だ。
この期間を利用して普通免許を取得する。

自動車学校は、市内 様々な高校の、
やはり卒業式を待つばかりの三年生たちが集まっていた。


同じ中学校に通い、違う高校に進学した女子たちも沢山。
3年ぶりに会ったけど、気づかないフリをする。
そして、参考書なんかを手に取り気取ってみせた。


僕は、本当はもう。こんなものを見る必要もないのだ。

この春、女手ひとつで育ててくれた母親が再婚して家を出ていく。
兄も同じく一人暮らしをする為の物件を探している最中だ。

つまり、春になったら。この雪が溶けたら。
僕は、育った古いアパートで一人暮らし。
自分一人の力で生活していかなければならない。
当然、大学に進学している余裕なんてないのだ。

働かなければならない。社会と対峙していかなければならない。

自動車学校の帰りのスクールバス。猛吹雪の暗闇の中を進む。
僕の将来と同じ。まったく先が見通せない景色が続いた。
寂しさと不安で押しつぶされそうな心。

そんな時に ふと。 カーラジオから、
今 流行っているドラマの主題歌が流れてきた。

♪ 春のこもれ陽の中で 君の優しさに うもれていた僕は…

優しい歌声が、僕の青春の終わりを
優しく彩ってくれているようでした。

周りには強がって見せていたけど。あの頃の 本当の僕は。。。

 


弱虫だったんだヨネ