前回のあらすじはこちら。

(私は母のように芸能活動をしたかった。その意思を両親にも伝えていたけど、ずっと反対されていたんです。だから、思い切ってある事務所が開いた新人歌手オーディションに応募しました。その・・・親に内緒で。)

その事務所は東京にある小さな事務所だった。葵は当時、東京で活動したいという思いが強かった。一つは都会での生活に憧れを抱いていた事。二つ目は、なかなか芸能活動をする事に許可を出してくれない両親への反発からだった。特に母である菫(すみれ)とは口を聞かない日がよくあったという。

(オーディション事態は最終オーディションまで突破する事が出来ました。
後はデビューする日を決める。そこまで話が進んだ時に、マネージャーから誓約書の提出を求められました。)

誓約書を書かせる事自体は珍しい事ではない。内容もあたり前の事しか書かれていなかった。ただ、両親のサインが必要だと言われた時思わず考えこんでしまったという。


(私はあの時何も知らなかった。調べる事もしなかった。両親の同意がないと、何も出来ないという事に。その後両親に思い切って話をしたけど、やはりダメでした。結果、母と一緒に辞退の意向を伝えに事務所まで行く事になったんです・・・)