最近読んだ本

=人事破壊= 日下 公人
 日下公人、どっかで聞いたような名前でちょっと興味があったのですが、最近カンブリア宮殿で出てたメガネ21で行われている人事破壊のネタ本を書いた人であることが分かったので読んでみた。
 
日本の労働形態の歴史を解説し、これからの人事制度はどうなるか、どうあるべきかを予想している。
 1996年の本だから、今見たら、その予想が大方正しいことが分かる。
 日本式雇用形態というが、年功序列は徴兵制に始まり、終身雇用などは戦後始まった新しい雇用形態であるという。

 それより昔は、能力主義、日雇いが大部分を占めていた。
 松下幸之助や本田宗一郎を見ると分かるが、戦前は丁稚奉公から始まっても若くして実力でのし上がっていったことは珍しいことではない。

 何故、今に続く日本式経営となったのかは、戦後生産性を上げて欧米に追いつくには安い賃金で皆に頑張ってもらわなければいけなかったからだそうだ。
 つまり、賃金を抑えるために、働きの良い若い時分に安い賃金に押さえ、その代わり、年をとって働きが落ちても給料が上がる仕組み(給与後払い制)を作ったのである。
 ちなみに今の月給制も労働者のモチベーションを上げる仕組みらしく、戦前は月給取りと言えば高級官僚くらいで、庶民の憧れだったことから月給制が労働意欲を高めることに寄与したらしい。(その過渡期に日給月給という制度もあったそうだ)

 上記の雇用形態はとにかく会社内で一致団結して生産性を上げようというやり方であり、物を作れば売れる時代の名残である。
 今のように、物があふれて売れない時代では崩壊しかかっているのは当然の流れとなる。

 では、どうすべきか?ここからは少々過激な意見であるので、読んでもらった方が良いと思う。


=バカの壁をぶち壊せ!正しい頭の使い方=日下公人×養老孟司

 日下公人と、バカの壁で有名な養老先生の対談集。
 なんか馬が合う二人のようであったが、タイトルは中身と全然合ってない。
 日本の共同体社会をテーマに挙げて語り合っている内容。
 
 まぁ、ありていに言えば、米国のやり方ばかり追っかけていては駄目だよといった内容。

日下公人さんは言っていることは結構過激で、日本も核を持てば良いとか、安保を止めて軍隊を持てなどといっている。
国粋主義者にも見えるが、要は日本も大人になれといっているようである。
日本の官僚主義は戦前から全く変わらず、融通が利かない、制度疲労を起こした組織の最たるものだが、そろそろ柔軟にやり方を変えないと手遅れですよ、と、言いたいのだろう。