日本で「戦後」といえば、

関ヶ原の戦いでもなく、戊辰戦争でもなく、

もちろん、太平洋戦争の後の世界のことですね。

そして日本は「敗戦後」の世界ということです。

 

他所の国だと、対日戦勝記念日が設定されていたりします。

これは日本人として、戦争そのものの是非は別として、

非常に辛く、悔しく、悲しいことでもあります。

 

戦後というのは、どのくらいで終わるのか、

疑問に思いませんか?

 

僕の母は終戦の年生まれ。

彼女の年齢=戦後の経年と言って差し支えないでしょう。

つまり、75年経過しているということです。

 

しかしながら、敗戦後の厳しい時代の匂いが残っていた年代、

というのは、もっともっと手前なのではないか、と思います。

 

僕の父は昭和一桁生まれです。

うちの父はずっと前になくなりましたが、

生きていれば、86歳。

人生100年時代といえども、多くは亡くなってしまう年代です。

 

彼は、いわゆる戦前生まれ、ということになります。

終戦の年は11歳。尋常高等小学校の生徒だった、ということになります。

彼の父、つまり僕の祖父は、明治生まれ(何年かは忘れました)。

徴兵され、フィリピンへ出兵し、無事生きて帰りました。

祖父が亡くなったのは、8歳くらいの時だったと思います。

 

つまり、出兵経験がある世代、戦前生まれの世代、

戦中・戦後まもなく生まれの世代(団塊の世代くらい)までで、

それぞれ区切りができてくるのだと思います。

彼らが亡くなっていくにつれて、戦争の記憶は薄れていく、

と言ってしまっていいのだと思います。

 

僕は父や母から戦中戦後の話を聞くことができましたが、

僕が娘や息子に、戦中戦後の話をすることはできません。

聞伝えのことはできますが、実体験ではないわけです。

 

そう考えると、後期昭和生まれである僕ぐらいの年代が

戦後の香りを知る最後の世代なのかもしれません。

 

まだ、子供の頃は、中国残留孤児の帰還事業の話や

海外の戦没者の骨拾いの話なんかも、

結構ニュースになっていたのかな、と思います。

 

高度経済成長を経て、バブルを経て、IT革命を経て、

世界で唯一の急速な衰退を経験し、

あるいは、元号が平成、令和と変わる中で、

僕より若い世代との会話の中で、

太平洋戦争の話、なんてのは、

もう出てくることすら無いのかな、と思います。

 

だからこそ、戦中、戦後、あるいは、

よく言う戦後レジーム、冷戦構造下の国際情勢など、

そういう時代背景を含めた物語を

しっかり読んでおくことが必要なのかな、と思います。

 


 

闇に香る嘘 下村敦史

講談社文庫

 

 

闇に香る嘘 (講談社文庫)

 

 

江戸川乱歩賞受賞作だそうです。ミステリです。

自分が特別ミステリが好きというわけではないので、

実は、びるびる心震えて、というようなことはないのですが、

物語としては非常に良かったと思います。

 

中国残留孤児と引揚者を軸とした、

サスペンス調のミステリ。

重たいテーマに重たいオプションが

たくさんついている、という感じなので、

人によってはしんどいかもしれませんが、

例えば東野圭吾「手紙」のような重たさとは種類が違います。

 

もう、こういう物語は、

どんどん過去のものとなっていくのでしょうね。

 

そういう意味でも、

読んでおいたほうがいい、という作品だと思います。