地元九州大学の移転は、
私が現役の時に工学部を皮切りに始まりました。
何年かぶりに今宿を行きましたが、
聞くところ街中で見かける若者が以前よりも多くなったとのことです。
帰りの電車でもお洒落に着飾った大学生が乗っており、
それどころか金髪碧眼の留学生までいたのには驚きました。
都心から離れた今宿や伊都なんてまだまだ
田舎だという失礼な先入観を改めなくてはと反省したものです。 

移転がまだ始まったばかりにも関わらず
町に変化が表れていますから、
後10年もすればこの地方がどれほど変貌するか、
心躍るものがあります。
喫茶店や食事屋は出来てくでしょうが、
周囲はほとんど一戸建ての民家で
恐らく子どももいる家庭も多いでしょうから、
大挙してやってきた知的資源を活用して
学習塾と家庭教師の派遣も増えることになるかと思います。

同じキャンパスでも箱崎と違うのは
都会から離れた郊外の田園地区にある点です。
これから国内外の学生が
集まる総合大学の近くで将来農地を借り
事務所を構えるのも悪くないなと考えています。
農業という本来魅力あるビジネスが
どうして若者にはそっぽを向かれるかと言えば、
そもそも農業が手を伸ばせば届く距離にないからです。
よほど熱意ある人でなければわざわざ遠く離れた
農村に足を伸ばしたりしません。
若者と距離が近いという要素は
農業ビジネスの発信には大変な強みに成り得ます。 

体験農園、アルバイト、技術研修、大学の講義、
インターンを接点すれば、
農業も若者にとってぐっと近い存在になります。
農業が就職の選択肢の一つとなり、
実践的で高度な技術と商売センス、
そして外国語を身につけた若者が
アジア各地で活躍するようになれば
閉鎖的な日本の農業に一陣の清風を吹かせることもできましょう。
それかいっそのこと付加価値の付けやすく、
途上国で今後消費増が見込まれる品種を
二、三品目に絞って「イチゴ研修学院」
「キウイ専門学校」「ぶどう短期大学」という具合に
海外派遣を前提に生産と販売のスペシャリストを集中的に
育成する学び場を創るのも挑戦性ある試みです。
農水省も自給率プロパガンダなど
間違った努力をお止めになって、
経済的な実益をもたらしてくれる
若手人材の教育に予算を振り分けるべきですね。
本気で日本の農業を持ち直したいのであれば、ですが。