中国はその昔、
大陸とヨーロッパを繋ぐ
シルクロードの終点として、
人、モノ、情報、カネの
集散地の役割を果たして来ました。
それが隋唐の時代には極みに達し、
価値観と文化を吸収・輸出を
猛スピードで繰り返す、
一種の卸売物流センターとなります。
そして、そうしたグローバルな
文化物流網の恩恵に与ったのは、
他ならぬシルクロードの
最最末端に位置する日本でした。


二千年前の人の感覚では、
中国なんてのは崇めるほどアジアでは
超・先進国だったわけで、
日本列島にはまだ農業すらなく
石器しかなかった紀元前に
既に閏年を組み込んだ暦法を開発してますし、
やっと稲作が列島に普及したと思えば、
中国では既に初歩的な
代数計算が完成されていたのです。
もはやラピュタ並の
高度文明国家と言ってもよいでしょう。
中心から末端へ、西の大陸から
東の島、南の海へと、
昔のグローバリゼーションは
シルクロードに沿って
低きに流れる水の如く極東に注ぎこみ、
各地で文明の花を次々と咲かせていきました。


では今はどうかと言えば、
逆流し始めているのです。
文明の花は、
自身のエッセンスである花粉を、
今度は大陸に向けて
飛ばし始めているのです。
その勢いとスピードたるや
想像を絶するもので、
傍から見て頭の中が
にわかに忙しくなるばかりです。
日本を例に挙げても、
街中で目にする平仮名の広告や看板、
ラジオで耳にする日本のポップミュージック、
口にする日本料理等々切りがありません。
日本を除き
世界で一番日本人が
集まる都市はどこでしょうか?
それは上海なんですね。
流動人口も含めれば10万もの日本人が
上海の土を踏んでいるのです。
13億人のブラックホールが作り出す
この文化がぶ飲みは
しばらく止みそうな気配はありません。


東から西へ、島と海から大陸へ
今、風か吹いています。
21世紀のシルクロードはそうなっています。
私達は生きているのは、そういう時代なんです。