高等教育が労働市場のニーズにどれだけこたえているかということは、常に政治家や官僚ら政策立案者にとっての懸案事項でした。常に変化する経済に対して、はたして高等教育がどこまで対応しているのかどうかということは、しばしば政治家の間で議論をされてきた議題であり、メディアの中でも高い関心を集めてきました。

しかし、それほど高い関心を集める分野であるにもかかわらず、労働市場の需要と供給のバランスを明らかにしたデータというのは実は存在していません。その理由としては、労働市場というのは様々な要因が絡み合っている市場であり、その複雑な現実をそもそも需要と供給といった2つの変数で説明しようとすること自体に無理があるからといえます。

しかしそんな中、画期的なウェブサイトが立ち上げられました。Georgia State Universityの研究者達が立ち上げたサイトで、その名もOccupational Supply Demand System (OSDS)。このウェブサイトは、職種別の需要に対して、アメリカ50州の各大学がどれだけの卒業生を輩出しているかというデータを提供しています。

http://www.occsupplydemand.org/

このウェブサイトの一番の貢献は、業界用語を使いますが、何百とある大学の学部のコード(Classification of Instructional Program - CIP Code)と千を越える職種別コード(Standard Occupation Code - SOC Code)の橋渡しを行ったことといえます。これによって、供給(大学)と需要(雇用主)を組み合わせることが可能になりました。また、需要の側からも供給の側からも分析ができるというのがかなりあついです。

ただ、この需要供給モデルは、いくつかの前提に基づいているので、データの正確度には多少疑問符がつくことも否定できない事実です。しかし、こういったものを実際に使う側の自分としては、それで十分、よくぞやってここまでやってくれた、と喝采を送りたいです。