私は多くの趣味をもっていますが、その中でも特に音楽に心を惹かれてきました。

今も足繁く音楽会やコンサートに通っていますし、聴くだけでなく、チェロやリコーダー、尺八などの楽器や合唱など、自らする音楽も深く愛しています。

 そういった個人的な関心が出発にあるのは確かですが、政治家として私が文化政策を重要視しているのは、ボーダーレス時代に協調し、かつ日本人としての自立性を忘れないために、文化政策が果たす役割が極めて大きいと思っているからです。

 私が衆議院議員に初当選して真っ先に加入した議員連盟が「音楽議員連盟」でした。

音議連は、超党派議連の老舗中に老舗と言ってもよい存在です。
なにしろ初代の会長はすでに伝説の世界になってしまった前尾繁三郎先生。

総理経験者か議長経験者がおおよそ会長になり、この国の文化政策全般を議員立法でカバーしてきたという歴史も実績もある議員連盟です。

著作権法の改正、音楽文化振興法、文化芸術振興基本法など、この国の重要な文化政策の基本法は、ほとんど音議連による議員立法です。

なぜそうなったかといえば、一国の文化政策はできるだけ政党間の対立抗争のテーマにすべきではないという高い理想に基づいたものであり、この国の政治の歴史の中で誇るべき数少ない政治文化だと思っています。

 私の文化政策は、今まで見過ごされてきた

①国家戦略としての文化政策
②経済戦略の見地からの文化政策

という二つの見地に立った、未来志向のものです。

 日本は多様な個性を持つ多くの地域から成り立っています。

それらの地域には、地域ごとの多様な文化があります。
その地域にしかない民俗芸能や文化財、独特な景観や歴史があります。

それらを実演し表現する劇場・音楽堂・美術館・博物館などもあります。
そうした活動の中からその地域の独自な新しい文化も育ってくるでしょう。

そうした文化はその地域の人々に、潤いと豊かな生活をもたらす重要な要素であり、まちづくりの中核となるべきものです。


2001年に制定された文化芸術振興基本法には「地方公共団体は、基本理念にのっとり、文化芸術の振興に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と明記されています。

文化政策こそ、その主体は地域であるべきだと思います。

 しかし2010年の時点で、文化政策の基本条例(文化振興条例)をもつ都道府県は24、市区町村はわずかに76に留まります。

地域の独自な文化の振興を、自治体が主体的・積極的に取り組むためには、まず文化政策実施の基礎となる条例の整備が重要です。

地域の人々の豊かな生活はもちろん、次世代を担う子どもたちの教育、地域の魅力の発進や観光、地域活性化やまちづくりのためにも、地域文化の振興は不可欠です。

そのためにも日本の全自治体に速やかな文化振興条例制定を求めていきたいと思います。
今の日本の文化関係の予算は(少し古い資料ですが)、予算全体のわずか0.11%。一方、フランス 0.86%、韓国 0.79%、ドイツ 0.39%、イギリス 0.21%、などと、日本は少し低すぎます。そこで予算全体の1%といかないまでも、まずは0.5%を目指したいものです。

日本の中心的・総合的な課題を担うのが「文化省」といえます。
文化省の設置は、まさに時代の要請だと、私は思っております。


$やなせ進 前栃木県参議院議員 オフィシャルブログ