先生との最後の面談を終え、充実感に浸っていたのもつかの間、すっかりこの土地が気に入ってしまった私は、家族とは一緒にすごしたいが、東京に帰りたくなくなっていた。そして、久しぶりに夫とケンカした。明朝、夫の運転で東京に帰るので、夫は今夜、近くのホテルに泊まり、夜ご飯を一緒にするつもりだったが、とてもそんな感じじゃなくなってしまった。
結局、山梨最後の夜は、ICUの時に良くしてもらった看護婦のHさんがお供してくれた。病棟の9階にある食堂で夜ご飯を一緒に食べたが、9階からの眺めは最高で、夜は夜景がすばらしい。しかも、食堂には私達だけというゼータクな貸切状態。Hさんが、近くのケーキがおいしいというカフェで買って来てくれてたケーキをいただく。久しぶりのスィーツ、うまくないわけがない!こんなすてきな夜景を眺めながら、ケーキなんて食べてていいんでしょうか?病院の食堂という現実に目をつぶれば、どこぞのホテル?というムード。カクテルでもいきますか?って感じ。
そろそろいい時間になってきて、Hさんを見送りがてら、外に出る。満点の星空じゃない!入院して暗くなってから外に出るのは初めてだった。ちょっと外の空気を吸うだけのつもりだったが、しばしふたりで星空観察をする。Hさんの車が停めてある駐車場まで歩くと、「ついでだから、病院の玄関まで送る」と言われ、フィアットパンダの助手席についた。最後の夜とは言え、まだ入院中の身。家を抜け出しこっそりデートしてる感じで、ワクワクした。これで思い残すことなく東京に帰れそうだ。あくまでも一時帰京のつもりで、数年後には必ず帰ってくるよ!と、感謝の念を込め、山梨最後の夜をくくった。
そういえば、ひとり夜飯をさせてしまった夫は大丈夫だったろうか?
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