退院前日、主治医からオペやその後の経過等、全ての説明をしていただいた。CTやアンギオで撮影されたフィルムをライトボードに貼り付け、手術前と後の差をわかりやすく説明してくれた。
一般的な脳出血では、手術はせず点滴薬等を使った内科的治療だけのケースも多く、開頭手術をする場合も、2週間位様子を見るそうだが、私の場合、運ばれてきた時のマヒがひどかったので、日を待たずに緊急開頭手術となった。出血だけだったら、血を吸い取るのみで比較的簡単なのだけど、脳動静脈奇形(10万人に1人という珍しい病気)という、生まれつきの血管奇形が見つかり、そこからの出血だったので、その奇形部分を切り取る必要があった。奇形の場所が脳の表面ではなく、奥の方にあったので、脳の一部をかき分けて(!)摘出するという難しい手術だったそうです。
血管を切る際、切る部分にクリップをしておいて、出血しないようにする技術があるが、今回はクリップを使うことなく奇形を摘出できたそうです。クリップを使う場合、摘出後もクリップを外すことはなく、一生頭にクリップが入ったままとなる。不自由はないと思うけど、なんとなくやだよね…。クリップなしの人生を送れることができて嬉しい。
クリップは間逃れたが、この手術で私の頭の中には、2つの人工的なものが入った。脳の外側には膜があるのだが、その膜の代わりに、アウトドアウェアでおなじみのゴアテックスが使われた。ゴアテックスのジャケットがずっと欲しかったのだけど、まさか頭の
中に入るとは…。もうひとつは、頭蓋骨を外す際にドリルであけた三箇所の穴を、埋めつつ繋いでいるチタン合金の2つだった。
術後の経過は極めて良く、左半身完全マヒだったのが、術後すぐに手足を上下するなど、大きな動きは出来るようになり、すぐに手術にかかったのが良かったのだそうだ。本格的なリハビリ開始も術後2日目と早く、いかに早い時期から適切なリハビリを始められるかも回復に重要なのだとか。これは転院してから、転院先のリハビリ士と話していてわかったのだけど、救急車で運ばれたT病院は、1日で行なうリハビリの時間が他の施設に比べて長かったようだ。OTのメニュー1時間、PTのメニュー1時間を2回、それぞれマンツーマンのリハビリを日に計3時間受けていた。それに比べ、転院先のY病院ではOTのメニュー1時間、PTのメニュー1時間、計2時間のマンツーマンリハと、プラスα自主トレといった具合だった。
また、T病院が、急性期だけでなく、回復期病棟も備えていたのも、非常に良かった。急性期だけの病院では、設備やスタッフが整っていないので簡易的なリハビリしか受けられないが、回復期も備えた病院では、初期の時点で、高度なリハビリが受けられた。
先生の最初の見通しは、東京に戻るころは車椅子、最終的には杖での歩行ができればいいだろうと考えていたのだそうだ。それが、東京に戻る段階ですでに、何も使わずに歩行できるようになったのは、「すごい回復ですよ。」と、先生に強く言われて、改めて感謝の気持ちがこみ上げた。あらゆる偶然がラッキーだった。
この最後の面談で、いままでグレーだったことが、すべてクリアになった。主治医O先生を始め、麻酔医の先生、リハビリ士さん、看護士さん、放射線技師さん、他、T病院スタッフのみなさんには、感謝してもしきれない気持ちです。ICUの婦長さんに、これを書くように言われているので、最後に書きます。「T病院の女性スタッフは、みーんなキレイで、男性は、みーんなステキでした(半分位は本当です)!」
iPhoneからの投稿