こんな表現だとワインのようだけど、そうではありません。

19 世紀末期、同時代に生きた二人の画家がいました。

赤と白は僕の印象です。

 

19世紀末期からフランス・パリは芸術の都として世界中の才能が集まったのです。

スペインのピカソもその一人。

中でも二人のフランス人画家がとても対照的で興味深いのです。

 

一人は「アンリ・マティス」(1869~1954年) 

強烈な色彩表現から、色彩の魔術師と呼ばれた画家です。

強烈な色彩と荒々しいタッチ、人物や風景画なんだけど、

事物をそのまま描くのではなく、好きな色で個性的に表現する。

どちらかというと平面的で

ピカソのキュビスム(対象を幾何学的な形に分解し立体的に構成している)と

対照的な激しい色彩です。

 

アンリ・マティスはフランスのノール県で裕福な穀物商人の長男として生まれ、

父親から法律を学ぶためパリに出ましたが、

盲腸炎で療養中に母親から画材を贈られ絵画の道に進みました。

パリの美術学校で学び、後にモローの指導も受けていたそうです。

ゴッホやゴーギャンの影響もあり、次第に大胆な色彩の作品を描きました。

 

      ‘赤のハーモニー 1908年 油彩’

 

テーマは日常生活。

テーブルと壁の境目が分かりにくいのですが、

テーブルには沢山の果実が並べられている。

窓外と対照的に室内は赤一色。

しかも極めて鮮明な赤。

 

制作当初は室内を緑で描かれ、

その後、青に変更、最後は赤一色に修正されたそうです。

強烈な個性の色で表現していますが、

人物などは平面的で窓外の緑があることで鮮やかな赤が際立っているように感じました。

ダイニングの落ち着きの趣きはなく、激しい情熱の色彩。なるほど個性的です。

 

         ‘ダンスⅡ 1910年 油彩’

 

5人のダンスの姿はとても躍動感がある。

なぜ裸なのかは置いといて、

大きく三つの色彩で表現していますね。

この作品は幅3.9メートル、縦2.6メートルととても大きな作品。

本物を見ていないので繊細な印象はわかりませんが、

人の躍動感を大きくシンプルに表現している。マティスの代表作でしょうね。

 

      ‘小さな聖体拝受者’1912年 油彩

 

もう一人は「モーリス・ユトリロ」(1883~1955年)生粋のフランス人。

彼の作品はマティスと対照的です。

彼には大きく分けて四つの時代がありました。

私は特に印象的なのは「白の時代」です。

1908年から1914年頃です。

 

パリ、モンマルトルに生まれたユトリロ。

母はもともと画家ですが父は不明です。

恋多き母親でユトリロは母の愛情に恵まれませんでした。

悲劇は10歳のころからユトリロがアル中を起こして治療を受けていたのです。

そのことで母親はユトリロに絵を描くことを勧めます。

最初は印象派の影響を受けますが、次第に自身の画風を確立したそうです。

 

2013年に函館で行われた絵画展で初めてユトリロを観ました。

その印象はとても静寂で寒く、日常が感じられないものでした。

勿論、作品にはほかの色彩も含まれますが

私は白の印象が強くかった。その時一番印象的だったのが上の教会の作品でした。

 

 

‘パリのサン=セヴラン教会 1910年 油彩’

 

ユトリロはほとんど風景画です。

教会や小路、建物を中心に身近な風景を描きます。

その画風はなんだろう?

情緒的というか詩情的というか、

映画の一シーンを見ているように

フランスの美しさを表現しています。
一言でいうと、「静寂さの美しさ」。

 

幼いころから母の愛情に欠けていて、

10歳でアル中治療。

病的であり生活も決して幸福ではなかった。

彼はとても孤独だったのです。

ある意味マティスと正反対の境遇だったのではないだろうか。

同じフランスの時代を生きた二人の画家。

その心情の発露が全く相違している。

 

どちらが良いということでは無く、

見るときのこちらの心情で印象が変わってしまうもの。

絵画の事を歴史や背景など知らないことが多く、

触れれば触れるほど、夢が広がるんです。

知りたいという欲求が。

 

 

映画「アメリ」の舞台となったナイトクラブ、ムーランルージュ。

フランス語で赤い風車という意味だそうで、

歌と踊りのゴージャスな衣装をまとったフレンチカンカンは圧巻とも。

 

ピカソやルノワールも住んだテルトル広場も行ってみたい。

ユトリロが育ったフランス・モンマルトルはどんな街なんだろう。

パリの郊外の一角ですが、旅行ガイドブックでは

モンマルトルの丘の上の白亜のサクレ・クール寺院は象徴的です。

 

 

偉大な画家を輩出したモンマルトル。

どんどん夢が広がる絵画の世界観。

いつかモンマルトルに行きその空気を感じてみたい。

 

死ぬまでに行ってみたい。

そう思っている。

 

※リブログ

~おわり~