ラグビーのワールドカップが行われている。

日本開催だが、スポーツ好きな私も正直なところラグビーにはあまり関心がない。

それでも昨夜の試合には興味があり、前半の途中までテレビ観戦した。

イングランド対アメリカ

元大英帝国の盟主とそのつながりの深い新大陸の国との戦い、という構図が興味深かった。

大英帝国と言えば、今大会にイギリスという国家から4つのくに(ネーションというのだろうか)が参加している。
イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズ
そればかりではない。陽の沈まぬ国大英帝国が領有、占領、植民地化した国は他に、アメリカ合衆国、カナダ、南アフリカ共和国、オーストラリア、ニュージーランド、サモア、フィジー、トンガもラグビーワールドカップにでているぞ!なんと20チーム中12チーム。
ラグビーの“ワールドカップ”と言っても、英連邦の大会に日本やロシアが招待されているといった構図に見える。

サッカーでも各ネーションが単独で参加していると認識する。

他のスポーツ競技はイギリス連邦が代表を送り出していると思われるので、ラグビーやサッカーは英国人にとっては特別な思いの詰まったスポーツだろうといたく理解している。

サッカーもラグビーもイギリス発祥の競技であり歴史が深い。

大勢の男どもが蹴ったり、手を使って運んだりしながら一つのボールを追って「まち」や「むら」の覇権争いをしていたのが“football”の起源だと聞く…

そのうち、競技方法やルールを定め公正公平性を保証して始められた経緯を持ち、その折、ボールを手で扱うのか足で扱うのかで、ラグビーとサッカーに分かれていったと概略する。

地域の人々が祭りや肉体的競技を通してその絆を強くしたり、近隣と覇権を争ったりするものはどの国、どの地域にもある。

イギリスの場合はボールを扱った競技(つまり球技)がそのひとつで、ネーション同士の覇権争いと深い関わりをもって競技し続けられてきたのだろう。

国技をまとう選手としての誇りとネーションの威信とを背負って闘う彼らの気概は、想像を絶するものがあると思う。

イギリス発祥のスポーツとして他にテニスやバドミントンがある。
サッカーにしてもラグビーにしても長方形の競技場でひとり(あるいはひとつのチーム)と雌雄を決する構図が似ている。

いずれもこちら側から相手の“陣地”に攻め込むという形態の競技であり、それはネーション同士の戦を連想する。
ラグビーのトライやサッカーのゴールはまさしく相手陣地(領地)の奪取に他ならない。


当の試合は、イングランドがアメリカを圧倒して終了した。

試合を見てて、躍動するイングランド選手の赤いジャージーと左胸の赤い薔薇のエンブレムがかっこよく印象的だった。

赤薔薇を見てかつてイギリスであったバラ戦争を連想しその歴史を紐解いてみた。
フランスとの百年戦争(1338~1453年)によってイギリス国内の王家王族及び特権階級の力が弱まり、統一が乱れた。
百年戦争中にプランタジネット朝が断絶し(1399年)、ランカスター家とヨーク家の間に王位争いが続いた。
バラ戦争とは、ランカスター家が赤バラ、ヨーク家が白バラを記章として、ヘンリー6世、エドワード4,5世、リチャード3世の30年間に渡って繰り広げられた戦いである。
1485年、ランカスター家の一派ヘンリー7世がヨーク家のリチャード3世を破って王位に就き、チューダー朝を開いた。
薔薇とは無縁の血なまぐさい戦いが展開したと思う。


明日、日本代表はランク2位のアイルランド戦

外国選手が日本の柔道家を破るよりもはるかに難しいだろう…