生活必需品と生活充実品 | 不動産屋のひとりごと

生活必需品と生活充実品

 「衣 食 住」 人間が生きていくための必要3要素のうちの一つに当社は関わっている。これらは必要不可欠であるがために「生活必需品」との捉え方が主流です。

 もともと、人間は生きていくために、狩猟、漁、農業をして、雨風と外敵から身を守る家を造り、寒さを防ぐ服を着てきました。

 現代は、文明が進化して、安全が確保されて少しずつ、生きるための「衣 食 住」の意味合いが薄れてきています。

 しかしながら、「衣 食」については、「生活を充実させるための」と意識が広がり、商品もあふれていますが、「住」については、まだまだ立ち遅れている気がします。

 「生活必需品」と言う考え方だと食事は3食(昔は2食でしたが)、服は最低限で良く(夏物、冬物 週7着)と言う考えになりますが、「生活充実品」と言う考え方だとおやつ、フルーツもあればお祝いのご飯、おもてなしの食事、ダイエットフード、イタリアン、フレンチ、中華、和食と無限に広がります。服も用途、出かける場所で色々なものが広がります。

 それなのに家だけはなぜ1つ、生活のためのものと言う考えが変わらないのでしょうか?

 最大の理由は、他の2つに比べて格段にお金がかかり、せいぜい自宅とリゾートマンション、別荘ぐらいです。これは、解決のしようのないことかもしれません。

 もう1つの大きな理由は、今まで家はハードの部分にばかり論点があって、「衣」「食」に比べてソフト面の生活提案、具体的に「家」を使ってこんな風に生活が充実すると言うイメージ作りがなされていなかった事が原因だと思います。こちらは変えていくことができる理由です。

 「家は、自分の人生、時間を充実させ、楽しむために活用するもの」と言う視点で捉えれば、かなり可能性が広がり、面白いものになると思います。

 もちろん、単に寝るためのものであってもいい、人と集まる場所、絵を書く場所、音楽を聞く場所、身体を動かす場所、映画を見る場所、楽器を引く場所、お酒をもむ場所、本を読む場所、発想が貧困で的確に浮かびませんが、色んな可能性を広げられると思います。

 お金の問題はありますが、「家」は1つじゃなくていい、都会にあったり、田舎にあったり、広かったり、狭かったり、家具があったり、なかったり、防音設備があったり、なかったり、60階だったり、1階に庭付きだったり、ライフスタイルとTPОに応じて選んで使うもの。「生活充実品」という視点で捉えた方が面白い。当社は、この視点に立って住宅を人々が生活を充実させるための道具として提案していきたいと思います。