『古陶磁 みかたのコツ』(昭和63年初版)  冨岡大二 著   淡交社

『古陶百選』(昭和55年)  黒田領治先生喜寿記念出版委員会 編   雄山閣出版

『古陶の真贋 ~やきもの収集体験ルポ』(昭和52年初版)  光芸出版 編   光芸出版

『現代陶藝圖鑑 第1集』(昭和42年初版)  黒田領治 著   光芸出版

 

いつも申し上げている通り、私の趣味は古い器集めです。また元々読書好きということもあって、おのずと古い器に関する図書も手元に集まってくることになります。そして最近は「古陶磁の古書」に目覚めてしまひましたw。

 

冒頭に挙げた四冊は、今月じっくりと愉しんだ古本たち。今日はその内容の他、「古陶磁の古書」の見つけ方や愉しみについて語ろうという、何とも自己満足の文章であります。ご迷惑でない方、よろしくお付き合いのほどを。

 

まず、なぜそういう古本を探すかというと、こういう古陶磁や骨董の器に関する書籍は最近のものがそもそも少ないから。無論、中島誠之助氏の著書などもあり皆無ではありませんが、どうも私の食指が動くものがあまり無い。

 

そうしてAmazonや「日本の古本屋」サイトを渉猟していると、自ずと古い本になっていくんですね。上の四冊では最も新しい『古陶磁みかたのコツ』でも昭和63年、33年前。しかしこれは古い器好きには光り輝く一冊でした。

 

著者は陶磁史の研究者。紙面に凄い密度で展開される陶磁器の知識、そして豊富な図版。古代・平安・鎌倉・室町・桃山・江戸と、写真を交えて時代や産地の特徴を読み解いていくその筆は、揺るぎない自信に溢れています。

 

『古陶百選』は老舗の古美術商である銀座・黒田陶苑の創業者、黒田領治氏の喜寿記念出版物、いわゆる豪華本で定価15,000円、でも私はその1/10で入手しました。古陶磁の古書は、上手くいけば廉価になり得るのも魅力です。

 

本書は一頁一枚の大きな写真で、名品ばかりを見せてくれます。隣には黒田氏による解説、また自身の経験談なども書かれ面白い。このような良質な図録は、ヤフオク派の私に必要な「画像の目利き」を鍛える効果があるはず。

 

四冊中で最も古い『現代陶藝圖鑑』は骨董の本ではありません。でも上の黒田氏の著書で、私の同い年の本。54年前の「現代陶芸」とはどんなものだったのか興味が湧いて入手したもの、今の巨匠がたくさん載っていましたw。

 

『古陶の真贋』は「全国の愛陶家にひろくよびかけ、『私の目ちがい』を寄せてもらい、それだけではボヤキ話に終わってしまうので、それぞれの項目についてベテランの『アドバイス』をつける-という構成になっている。」

 

これは発行者の増村外喜雄氏による前書の抜粋です。骨董蒐集にまつわる失敗談や騙された話、疑問点などが数多く載っており、失礼ながらこれが非常に面白い。そしてアドバイスも具体的になり素人にも理解しやすいのです。

 

以上、やはりご興味の無い方には全くつまらない文章でした、お目汚し申し訳ありません。ちなみに今日のタイトルは、これらの本を読みながら私が思い浮かべていた言葉を使いました。それは建築家・宮脇檀の言葉なんです。

 

「眼を養い、手を練れ」、宮脇氏の著書のタイトルでもありますね。無論これは建築に関しての言葉ですが、私は古い器漁りにも活きると思います。さしずめ今日挙げた良書たちは、眼を養うための大きな糧と言えるでしょう。

 

建築での「手を練る」は、エスキースと呼ばれる手描きスケッチを繰り返し「手が憶える」というような話ですが、器集めの「手を練る」とは即ち、器の肌触りや重量感といったものを手で憶える術に相当するのではないか。

 

いずれにせよ、知識という「頭」、視覚という「眼」、触覚という「手」を総動員して楽しむという点では、三次元美術である建築も彫刻も器も同じですよね。今後もその3つの引出しを更に増やし愉しみたいと願う次第です。

 

via やまぐち空間計画
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