今日は料理のことを書こうと思います。私の料理歴はまだ7、8年ほど。休みの日の食事を時々つくるようになったのが最初ですね。それ以前も「お好み焼きはお父さん担当」などはありましたが、それはごくたまに、でしたから。

 

6年前芦屋に事務所を開いてからは自身の昼食をほとんど「自炊」するようになりました。そしてその後、奥さんが忙しくなったのを機に、週に2・3回ほど晩ご飯担当を仰せつかるように。これが4年前です。

 

そしてこの2ヶ月間は在宅勤務をしていましたから、晩ご飯担当の日数が奥さんと逆転。奥さんが休みの日以外はすべて私がつくるという状況で、休校で家に居る子どもたちの昼食も含めると、かなりの数をつくるようになりました。まあ日々なんとかこなしています。

 

白状しますと、料理をし始めた元々の動機は「キッチンの設計をするのに役立つから」というものだったんです。確かに自分が動いてみないとわからない細かい「ツボ」があるので大いに役立っていますが、今はそういう面よりも「つくる面白さ」の方が勝っている感じかなあw。

 

私の料理歴のはじまりはパスタからでした。奥さんの晩ご飯は和食中心なので、食べたい時に自分でつくることが出来たら、という気持ちと、割と簡単だというイメージがあって。具をオリーブオイルで炒めて麺を入れたらできる的な素人考えでしたが。

 

さいわい料理には「レシピ」という設計図がありますから、それを色々集めてそのとおりにつくってみる。私の料理は今もだいたいこれです。レパートリーはパスタ→洋食全般→中華→和食と広がってはきていますが、基本レシピに忠実につくりますね。

 

ただ、一番最初からつくっているパスタがらみのメニューに関しては、もうレシピを見なくて済むようになりました。だいたい「こうすればこんな味になる」が身に付いてきた、イメージ出来るようになってきたのでしょう。

 

上の写真は一番最近パスタをつくった時のものです。ご参考までにこの日の諸条件を挙げてみると、こんな感じ。

1.息子の帰りが遅いのがあらかじめわかっていた

2.新玉葱をたくさんいただいた

3.「ラタトゥイユに塩麹」というアイデアを雑誌で読んだ

4.奥さんから「オイルサーディン(と白ワイン)」とのリクエストがあった

 

ここからレシピなしでメニューを組み立て、スパゲティに比べてのびにくいペンネに2種類のソース、うちひとつをラタトゥイユ風トマトソースにしました。新玉葱はいただいた時にお聞きしたポタージュスープ、あとは鶏胸肉のピカタ、オイルサーディンときのこのアヒージョです。

 

中華や和食だとまだ無理ですが、洋食だとこれくらいのことは出来る。まさに経験を積むことで「つくり方→手順→味」というワンセットの数が私の引出しにだいぶ貯まってきたということかと。自画自賛で申し訳ありませんが、あまり失敗しなくなってきた。

 

そこで今日の言いたいことですが、これ、建築の設計と全く同じだと思うんです。料理というものは視覚・嗅覚・味覚を使うもので、建築というのは視覚・触覚・空間感覚。その違いはあれど、「デザインし、つくり、体感する」のは同じですよね。

 

料理と建築に限らず、ものづくりというのは全て同じだとも言えますが、要するに上の3つの行為を繰り返し、失敗からのフィードバックを積み重ねて上達していく、それこそがものづくりの本質なんだと思うんです。

 

私は料理という新しいジャンルに自分なりに取り組んできて、本当に料理と建築(特に住宅)というものの共通点を感じています。日々の暮らしに不可欠なものという意味では「住まい」と「ご飯」は同じ、だとも言えますし。

 

料理はそのものが面白いですが、上記「ものづくりの本質」を手軽に体感できる点でも魅力的だと思う日々です。ちなみにうちの奥さんなどはレシピを一切使わず色んなものをつくるので、自身の経験が増すほどにかなり尊敬するようになって、言わば夫婦関係という面でのそういう利点もありますねw。

 

via やまぐち空間計画
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