あれは・・・(また続き) | 【著者M】

あれは・・・(また続き)

私の決心に反応したように遠くの方からパトカーのサイレンが聞こえてきた。
あの物体を目撃して誰かが通報したのだろうか。
となると、やはり、これはただ事ではないぞ。

でも、待てよ、私はただ見ているだけでいいのか。
今の状況からすると、パトカーより私の方が先に犯人と接触することになる。
何と言葉を発するべきか、そう考えた途端、言葉に出来ない不安が押し寄せてきた。
私の中で正義と悪が交互に現れる。いや、正直に表現すると、悪にもなれない弱虫な自分しかいない。その証拠に膝がガクガクして、立っているのがやっとだ。
このままだと・・・








「お、お、お疲れ様です」
と、深々と頭を下げて逃がしてしまいそうだ。