うちは庶民だ。たとえば子育てをしていた頃、回転ずしで「絵皿の寿司は毒入りだ」と子供たちに教えていた。当時の回転ずしは皿の柄で値段が分かれていて、絵皿は高かったのだ。
そんな庶民が年に一度だけ、爪に灯を点すように貯めたお金で、妻の大好きな東京ディズニーランドに家族4人で行った。清水の舞台から飛び降りる覚悟でオフィシャルホテルにも泊まった。
夏には家族をせっせとキャンプに連れて行った。キャンプは安上がりなレジャーだ。初めてのキャンプで行った麻那姫湖は、当時たったの500円で泊まれた。それにキャンプは知識が必要なので、お父さんとしてはイイ格好ができる。すなわち、セロトニン(非日常)・オキシトシン(家族)に加えてドーパミン(イイ格好)と、全部の幸せホルモンを得られる素敵なレジャーだ。
そんなぼくも50歳を過ぎるまでには昇格も果たし、それなりの給料をもらえるようになった。でも庶民のメンタリティはそのままだったので、貯金はできていた。
仕事では、自動車部品開発をしながら海外出張も経験していたので、左ハンドルには慣れていたし、海外のテーブルサービスのレストランも経験していたし、何と言っても海外へ行くというハードルが下がった。ANAのスーパーフライヤーズカード(SFC)も取得していたから、空港でラウンジに入れるステータスもあった。ただ、TOEIC600点・年1回の海外出張レベルでは、大した英語コミュニケーションはできなかった。(詳細は前のブログにて)
そんなぼくに、勤続30年記念で1週間の休みがもらえた。ハワイに行くしかない。ぼくの尺度では、自分にとってハードルが高くない海外で、左ハンドルのレンタカーを乗り回し、日本語もまあまあ通じるからぼくの英語力でも十分、テーブルサービスのレストランだってなんのその…ぼくとしては家族にイイ格好ができるからうってつけだし、何と言っても会社員人生の経験値を最大限に活かせるからこれまた特別感がある。日本から近いし、アウラニディズニーもあるし…ハワイしかない。
いざ出発。成田でSFCの恩恵を活かしてANAラウンジとUAラウンジ(ユナイテッドクラブ)をはしご。搭乗前にラウンジでシャワーも浴びた。
エコノミーだけど優先チェックイン・優先搭乗で家族は大満足。ハワイでのレンタカーはKIAの大衆車だったけど、日本にはないので特別感いっぱいだし、FMラジオからは80年代のアメリカのロック、気分は上々。ホテルは、前半はワイキキの安めのコンドミニアム、後半をアウラニに。アウラニの宿泊費は高かった。デラックススタジオという簡易キッチンのついたワンルームタイプの部屋だったけど、円高の当時で3泊で30万円くらいしたんじゃなかったかな。
アウラニのレストラン・アマアマでお酒を呑みながらサンセットを眺めて旅の終わりを惜しんだ。
旅費は優に100万円を超えて、こんな高額な旅行は初めてだったがすごく楽しかった。中でもアウラニの存在感は特別だった。
ディズニー好きだというだけでも理由は十分だ。帰国後、ディズニーバケーションクラブ(DVC)を購入することを妻に提案し、進めた。DVCは、アウラニの不動産を、大枚をはたいて部分的に購入することで、毎年一定のポイントがもらえて、それを使って宿泊するシステムだ。
さて、買ったからにはほぼ毎年ハワイでのんびりできるわけだが、飛行機だってただじゃないしDVCの管理費だって必要。先立つものをどうするか、という大きな問題がのしかかる。貯金はそこそこあるが、やがて定年を迎えたとき、貯金を取り崩しながらやっていくのか?そんなじり貧はいやだから資産運用しながらできないか?戦略はまだ何もなかった。ネットで”資産を年利5%で運用することは難しい話ではない”というFPの話を読んではうなづいている日々だった。ネットとは、具体的に知りたいことがあれば滝のように情報を得られるが、どうしたらいいかわからない人にはなかなか情報が下りてこないのだ。
そんなもどかしい状態だったが、無謀にも庶民のわが家がDVCを購入した。
先立つものをどうしたかは次の話で書こうと思う。



