損と損失の違い
あなたはとあるラーメン屋のオーナーです。あなたが作るラーメンはとても人気で、店の前には昼夜を問わず常に行列ができ、あなたは営業時間中ずっとラーメンを作り続けています。1杯作るのに200円の原価がかかり、あなたはそれを700円で販売しています。あなたが営業時間中に作れるラーメンの数は限りがあり、1日200杯です。ですので、あなたは200杯分の麺を毎日仕入れることにしています。そしてお昼のピークの時に、事件が起きました。配膳の最中に、アルバイトのA君が手を滑らせて、厨房内でラーメンを落としてしまいました。当然作り直さねばなりません。あなたは今、いくら損をしましたか。昔からお金の本質を問う時に、よく出される例題の一つです。損失=会計上、損益計算書に表示される損失額のことで、大きく費用の中の一つです。この時の損失は原価の200円となります。しかしビジネスモデル・企業の状態・顧客との関係性などによって、損失はPL上に表現される金額以上の「損」を企業にもたらす可能性があります。では、戻ります。あなたが受けた損は帳簿に記載された200円でしょうか?正解はあなたは今、700円の損をしたのです。得られるべき700円を得ることができないのに、200円のラーメンを作ってしまっているため、得られなかった700円まるまるが損となります。そう、あなたは今日は199杯しかラーメンを売ることができないのです。ではこれが、元々200杯分ではなく、210杯分の麺を仕入れていた時の「損」はいくらになるでしょうか?正解は0円となります。(スープや具の損失は除くとします)なぜならば、毎日予備で10杯分の麺を仕入れているわけですから、今日捨てるはずだった10個の麺の廃棄が9つとなるだけとなります。ではこれが、今日に限って190人しかお客が入らなければ?ではこれが、ラーメンではなく、BtoBで製品を卸している会社の不良品の話だったら?ではこれが、Net企業でユーザーに情報提供することで売上を上げているモデルだったら?経営企画という部署では「カネ」を扱えないと話になりません。そして損と損失の関係のように、目の前に表現されている数字以上のことを読み解き、経営者などの関係者に伝えていく能力が必須です。上記は一つの例ですが、経営企画として、企業の経営管理・経営企画をどのように実現していくのか、ということを今後つらつらと書くことができればと思っています。