今日は本エピソードで何でたくさんの事件が連鎖したのかについて。そこでも昨日挙げた①の成歩堂龍一轢逃げ事件は浮いているんだけど、とりあえず宇狩輝夫医院長殺人事件の解決に必要なピースなので時系列順に8つの事件をつなげてみるよ。ものすごい容赦なくネタバレするけど悪しからず。

 

⓪ 本エピソード開始前に被告人北木滝太に、当時担当看護師だった並奈美波が近づき無事婚約。近づいた目的は滝太の家業が地元を牛耳る暴力団だったから。要はお金目的。

 滝太の入院の原因は、団のカチコミの際に負った銃撃の治療。体内に残った銃弾の摘出手術は困難をきわめ、宇狩医院長は諦めた。そのため体内に銃弾が残ることになる。奇跡的に重要な血管を傷つけずとりあえずしばらくは問題なく生きていられる状態。ただ、摘出しなければそう遠くない内に重要な血管に干渉し死に至る状態ともわかっており、美波はそれを知って滝太と結婚すれば裕福な暮らしを手に入れられ、滝太が死ねばお金だけを持って自由気ままに生きられると目論んだ。

 

① 事件当夜、宇狩医院長は滝太の容体が何らかの理由で団の組長にバレたことを知りカルテの隠蔽のため出先から急いで車で病院に帰る際、成歩堂をはねてしまう。まずいと思いつつも隠ぺいを優先し届け出せず帰った。成歩堂はものすごく吹っ飛ばされたが大したケガもしない幸運を発揮。その様子は北木小梅に目撃されていた。

 

② 河津京作がみぬきのマジックショー後にみぬきの得意芸『マジックパンツ』に使用されたパンツを盗み出す。みぬきに見つかり逃亡する最中宇狩医院のガレージに隠れパンツを宇狩の車のマフラーに詰め込み隠す。ついでにタイヤの後輪の進行方向側に携帯電話を落としたが気が付かずみぬきが去ったのを確認し去る。

 

③ 医院に戻りカルテを金庫から取り出したところ、美波にそれを目撃される。美波自身も実はカルテを盗み出し隠蔽しようとしていたため実は利害が一致していたのだが、お互いに事情を話し合うこともなく渡す渡さないでもめだし、美波が団から盗み出した拳銃で発砲し威嚇したため発狂した宇狩は襲い掛かり電源コードを使って絞殺を試みる。威嚇射撃の銃弾は金庫内に残る。

 

④ 度重なる不都合状態に混乱しきった宇狩は倒れた美波の生死を確認する余裕もなく、殺してしまったと思い込んでしまい美波を遺棄しようとガレージに向かう。車は河津がマフラーに詰めたパンツのせいでエンジンがかからない。更に混乱した宇狩は隣の家のやたぶきやの屋台がまだ営業に出ていないことに気が付き、屋台を使って遺棄することを思いつく。

 

⑤ 屋台を無事盗み出すことに成功した宇狩は急いでいたので雑に屋台の備品を医院の玄関に放り出し、美波を積んで人情公園に向かう。川に美波の遺体(実は生きている)を遺棄する目的で。

 

⑥ 人情公園にたどり着き川も目前、というタイミングで北木滝太に遭遇。彼は自身の容体に隠し事があることを美波にほのめかされており問い詰めるためにドスを持って恫喝する。その光景を、パンツ盗難をやり過ごして帰宅中の河津に目撃される。また、恫喝の声に目を覚ました美波は目線の先に無防備にうろたえる宇狩を発見する。

 

⑦ 河津が争いを止めようと「キミたち、やめたまへ!」と叫んだと同時に美波が発砲。宇狩のコメカミに銃弾が当たり宇狩は死亡。何が起きたのかわからず滝田と河津は逃亡。いなくなったのを確認し美波も現場から逃亡。現場は雨でぬかるんでおり、院内スリッパをはいたまま運ばれていたためスリッパの足跡の痕跡を現場に残すことになった。

 

 

 といった事件の連鎖が起きた。作中描写だとそれぞれの発覚事情が王泥喜くんの中で未消化な部分が多々あり、真相到達は多分にプレイヤーの考察が必要な上、牙琉霧人の弟であり検事の牙琉響也のサポート…というか、検事としての矜持に助けられてひとまず殺人罪について勝訴する流れとなる。

 ただ、滝太の容体とその後の状況的に宇狩を恫喝し刃物を向けた殺人又は傷害未遂については不問になりそうで、多くのプレイヤーは滝太が真っ白に見えずモヤモヤした模様。

 

 ということでここからが本題。私の見解なんだけど、滝太が真っ白であろうとなかろうと複雑な真相をいろんな事件というヒントから導き出す過程、楽しくなかったですか?少なくとも私には色々ヒントのピースが1つの真実の形にポコポコハマっていくのが爽快だったし楽しかったです。

 目の前で繰り広げられている物語の一番の存在理由は何ですか?ゲーム、つまり娯楽ですよ。道徳の授業じゃないし、仮に道徳の教育が目的で作られたゲームだとしたって、むしろ滝太が真っ白じゃない方が北木常勝組長の組のこれからを想った真っ当なお金への取り組みとかそれを受け止め自身を顧みる滝太という描写も相まって人情的で非常に考えさせられるものじゃなかったですか?

 だから王泥喜くんのキャラクター造形とも非常にマッチした結末に私は満足いきました。なるほどくんが1話で偽物の証拠品を用意したのをはじめ、逆転裁判4の被告人たちは皆何らかの犯罪に加担している、それが嫌だという声もよく聞きます。だけど、全被告人そうなんですけど、こいつ許せねえ!ってなるほど嫌悪感バリバリで助けたくない奴って多分いないと思います。少なくとも逆転裁判2の王都楼真吾のような嫌悪の感情を抱くほどの悪人は絶対にいないと言えます。

 それは何故でしょう?私の見解はこうです。逆転裁判4はそういう被告人を許し守れる情を王泥喜くんというキャラクターを通して体験するゲームに設計された、これが答えだと思っています。

 被告人を信じぬく中で真実を見つけ出し真実に基づいて正しく裁く123のゲーム性とコンセプトを意図的に変えて制作されたということです。だから、王泥喜くんが主人公でないといけないし、対立する牙琉響也検事は真実を見つけることにこだわるキャラクター性じゃないとダメなんです。

 少なくないツッコミどころや完全無罪と言い切れないところを抱えた被告人を、真実事実に照らして正当に裁くのが目的ではなく、許し諭し反省させ情と愛をもって正す、それがこのゲームでやりたかった・表現したかったことなんです。

 まあ、それが単純なゲームの面白さの部分を犠牲にしてまでやる必要あったのか?と問われればまた別の話というか必要あったように思えないと、こんだけつらつら書いといていうのもなんだけど私に全くないとも言い切れないです。

 唯一はっきり言えるのは、でもこのゲームで遊べて私は幸せで楽しかったですよということ。

 

 さて、この連投最終回にしていいんじゃないかってくらいめちゃ語ってしまったけど、もう1個2話で書きたい内容あるので次回はそれについて書きます。つまり、まだ2話の話は終わりません(笑)

 

 明日もいい日でありますように。