引続き薀蓄垂れます(笑
一乗谷遺跡湯殿跡庭園は先の朝倉館より南東へ少し上がった場所にあります。
湯殿とは入浴する場所、湯を沸かしていた施設のあった屋敷。
先の朝倉館が表向(接客)施設群となり、此方は台所、厩、湯殿、蔵などの内向の日常生活施設群と考えられています。
庭園は此方も敷地の南東角に位置しています。
看板にあった平面図の写し。
此方の庭園は大小さまざまな石をふんだんに使った、豪放磊落な第一印象です。
しかし、そこは細かい所に拘り薀蓄を垂れるのだ(爆
基本的な三点セットも揃っており、この時代の庭の形式を踏襲した形で、複雑に入り組んだ汀線と各所に据えられた大小様々な石の配置が、この庭をより立体的に観させる形になっている感じです。
写真の細く一際高い石組みが三尊石組。
滝石組はこぢんまりと一段落としと思われ、その出前には水分石も見ることが出来る。
しかし、ここの作庭者が全部のお庭に共通しているのなら、どうも向って右側の滝副石に大石を持ってくる癖があるように思います。
滝の手前には中島が立てられており、これが亀島になっていると考えられるとの事ですが、モロずんぐりとしたユーモラスな形の亀です(笑
西側にある池尻の大石組が鶴と言う解説でしたが、どうも鶴には見えないと思うのは私見(笑
此方の出島の方が形としては鶴に見立てられるような(笑
で、此方も廻遊式庭園になっており、丁度滝石組の横、直近から登ることが出来るようになっています。
で、ぐるりと廻って見ましたら面白いものを見つけてしまった(笑
丁度中央の立石…影向石でしょうか?
矢鱈と尖った石を、汀近くに後ろから二つの石で無理矢理立たせている感じがします。
通常石を立てる時は、根を張ったようにどっしりと地面に埋め据えるのですが、余程この石の面を表に向けたかったのか?このように無理矢理立たせる据え方は観たことがありませんでした。
逆に余り見せたくも無いような気もするのですが…
もしかしたら廻遊式ではなく、園路と思われる場所は枯滝だったりして(笑
と言うのも導水路の場所には渡れるような石が据えたいなかったから。
永く放置されていた末に逸失してしまったのかも知れませんが、それらしき形跡がなかったので(笑
ただ、亀島さんの上を通っていたようなフシもあります(笑
こういった古庭園の遺構は何をどういう風に見立てていたのか、謎の部分が多い一方、勝手に解釈して色々と想像しながら、様々な解釈が出来る余地があるので好きです(笑
で、全体を観ていて実に豪快な庭であることは間違いないのですが、どうも湯殿と言う館の、それも身内しか見ないような庭にしては豪快すぎるのじゃないか?
風呂に入りながら観ていたかは不明ですが、落ち着く時間に眺めるような庭かな~
…と思った。
と言うのも全体的に立石が多い…多すぎると言っても良いぐらい(笑
一見豪快そうでも実は主眼が定まらなく、どう写真を撮って良いのか迷うぐらいでした。
そこでふと思ったのが、先の朝倉屋敷の増築の際、庭園の池を潰して出た石を此方に持ってきて、全体を再構成するのではなく、そのまま構成上適当な位置に据えたのでは無いでしょうか?
そう考えると、朝倉館の庭の不思議と、先にあった影向石の汀に近すぎる強引な据え方。
鶴石の見立て等不思議と説明が付きます。
一見豪快そうに見える岩も、元々は入浴タイムに眺めるに相応しい落ち着いた庭だったのではないでしょうか?
長い年月の間に個々の石の位置、逸失した石もあるでしょうが、各所に散りばめられた石の嘗ての立ち位置等を想像しながら観てみると、複雑なパズルの中から謎が解けてくる。
そんな浪漫を感じさせる面白い庭でした。












