江東マンション神隠し殺人事件 

この事件は、2008年4月18日東京都の江東区にあるマンションで住人の若い女性がまるで神隠しにでも遭ったかのように忽然と姿を消すことから始まりました。
後に、ただの神隠しではなく残酷極まりない殺人・死体損壊遺棄が発覚したバラバラ殺人事件となり、その犯人の異常な性癖が当時のメディアを賑わし日本中の国民を震撼させています。

事件の発覚
江東マンション神隠し殺人事件とは2008年4月18日の夜、マンションの住人である東城瑠理香さん(当時23歳)が同住民である星島貴徳被告に拉致されたことから始まっています。
当時、被害者の瑠理香さんは同マンションの9階に姉と二人で暮らしていました。
瑠理香さんは普通のOLで、その日も午後7時21分にはマンションに着いたというメールを姉に送っています。午後8時半過ぎに帰宅した姉は妹の瑠理香さんの姿が見えないことを不審に思い電話やメールをしますが返事はなく外に探しに行くも見つかりませんでした。
もう一度、自室を確かめてみると玄関には瑠理香さんの物と思われるピアスの留め具や落ちていた雑誌に血痕があることに気づき警察に通報しています。
その後、何らかの事件に巻き込まれた可能性があるとして捜査が始まりました。

なぜ神隠し殺人事件なのか
この事件の注目すべき点は、瑠理香さんはマンションに着いたというメールがあったにも関わらず忽然と姿を消してしまったことにあります。
マンションはエレベーター前に防犯カメラが設置されていて9階に住む瑠理香さんは朝の出社時とメールにあった帰宅時の姿がしっかりと写し出されていたのです。
ところが、その後の防犯カメラには瑠理香さんがマンションから出た形跡や怪しい人物などの映像は残されていません。
ということは、瑠理香さんはマンション内にいるはず。それなのに姿が見えないことから「神隠し事件」としてマスコミが連日騒ぎ立て世間を賑わしたのです。

捜査開始時と犯行時
防犯カメラに瑠理香さんがマンションから出た形跡が写ってないことから警察は、瑠理香さんはマンション内にいるのではないかと推定しマンション住民すべてに事情聴取が行われることになります。が、しかし、この時は既に星島貴徳による残忍な犯行が行われている真っ最中だったことは誰にも知る由はありません。

犯行の動機と手口
そもそもこの事件の犯人である星島貴徳は異常な性癖の持ち主のようで、若い女性を性の奴隷にしたいと考え犯行に臨んだようです。しかも、犯行実行日を金曜日と決めていて、その理由があまりにもお粗末なのでいかに短絡的な性格なのかが伺えます。まず、金曜日の夜に拉致し仕事が休みである週末に性的快楽を与え続ければ自分に対して従順な女性になるであろうと勝手に予想していたのです。また、星島は性の奴隷にするのは若く太っていない女性なら誰でもいいと考えていて当初、星島が狙っていたのは姉のほうだったと後に供述しています。しかも、その女性が姉妹で暮していることは知らず、瑠理香さんを姉だと思い込んで襲っているのです。
しかし、星島は9階には自室と女性の部屋しか入居者がいないこと、女性の部屋は自室の2つ隣りだということは下調べしていました。
星島は犯行を成功させるために拉致するまでをシュミレーションしていたようです。
毎日、女性が帰宅して鍵を開ける音を自室で聞きわけていたのです。そして、ついに犯行の日となる4月18日金曜日の夜7時30分頃瑠理香さんの帰宅を確認します。
「今がチャンスだ!」と思ったのでしょう、自室の玄関でドアに耳を充てて飛び出す準備をしていた星島は瑠理香さんがドアを閉めようとしたその瞬間にドアの隙間に手を差し込み玄関侵入に成功します。
いきなり知らない男が侵入してきて瑠理香さんは驚き悲鳴を上げ、男を追い出そうと抵抗します。
抵抗されることを予想しなかったのか星島は瑠理香さんをおとなしくさせるため顔を殴りつけています。瑠理香さんは痛みと恐ろしさでぐったりしてしまったようです。
その後、瑠理香さんの部屋に入り拘束するための道具を物色、衣服で拘束しキッチンにあった包丁で脅しながら自室へと連れ込みます。

性の奴隷にできないまま殺害
拉致に成功した星島は目的通りに瑠理香さんを犯そうとします。ところが、抵抗されて殴ってしまったため瑠理香さんの顏には傷ができています。それを見て勃起できなくなったため瑠理香さんの顏の傷を手当てし、パソコンでAVを見ながら勃起を試みます。
一方、瑠理香さんがマンション内にいると確信した警察はマンションの住人に事情聴取、当然、星島の部屋にもやってきます。
星島は「知らない」と白を切りますが、この時警察が踏み込んでいればまだ瑠理香さんは助かっていたのです。星島は事件の発覚が早いことに焦り、瑠理香さんを性の奴隷にする計画から殺す計画に変更。
警察がマンション内で捜査を続けているためマンションから外に遺棄するのは不可能だと考え瑠理香さんの部屋から持ち出した包丁で瑠理香さんの首を刺し殺害、死体を包丁やノコギリで細かく切断してトイレに流すという残忍で冷酷な方法で事をやり遂げています。
また、トイレに流しきれなかった肉片や骨はゴミとしてマンションやコンビニのゴミ置き場に捨てていたようです。
星島は女を拉致して性の奴隷にしようという計画立てたようですが、その計画に抵抗されるという発想はなかったのでしょうか。
実際、事件の発覚が早かったのは星島が瑠理香さんを殴りつけた際に出た血痕が玄関に残っていたためだとされています。
そしてもうひとつ、星島は女性が姉妹で暮らしていることを知らずに犯行に及んでいることも事件の発覚を早めました。
警察は星島の部屋を数回訪ねていますが、星島を犯人と特定する証拠が見つからず星島が逮捕されるまでに1ヶ月かかっています。

星島貴徳の生い立ち
女を性の奴隷にしたいいう異常な性癖を持つ犯人、星島貴徳の生い立ちを追ってみました。
星島貴徳は1975年(昭和50年)1月5日に岡山県で生まれています。家族構成は父親と母親、4人兄弟の長男でした。
星島の歪んだ性格の大元となった事件が1歳の時に起こります。まだ幼い星島は猫を追いかけて遊んでいて熱湯が入った浴槽の蓋に乗ってしまいます。その瞬間、蓋が開き浴槽に落ちて足に大火傷を負ってしまったのです。
生命の危険には及びませんでしたが、足には火傷の痕が残ってしまいました。
その痕のせいで小学校ではいじめを受けることもあり、父親に相談するも躾の厳しい父親の口から優しい言葉を聞くことはできませんでした。
星島の父親はむしろ「人は見かけではない」という理由でわざと半ズボンを履かせて学校に行かせますが、これがいじめの原因になったのではないかと思われます。
星島は父親に相談しても怒られるだけなので母親に相談を持ち掛けますが、母親の口から父親に伝わってしまい、結局は叱られるので両親ともに信頼できなくなってしまったようです。
そうは言え、小学生時代は普通の子ども同様、ゲームにハマっていました。好きなゲームは決して猟奇的なものではなくドラクエやファイナルファンタジーなどのごく普通のゲームだったそうです。
高校ではゲーム好きを生かし情報処理科を選択、卒業後は大手ゲームメーカーにも就職を果たしています。
ところが、配属されたのは高校で勉強したプログラミング系ではなくゲームセンターの店長だったのです。せっかく勉強した技術が生かせないためか4年ほどで退職してしまいます。

事件当時の職業
好きな仕事ができなかった星島は今度こそは好きな仕事をしようと考えたのかソフトウエア会社に派遣社員として働き始めます。やっと勉強した技術が生かせる職業に就けた星島は職場での評判も高く順調に生活していたように思えます。
また、派遣社員としての雇用形態が請負だったのか、実質、個人事業主として契約していて報酬は50万円ほどだったとか。もちろん、個人事業主なので社会保険等は個人で納めることになりますが50万円の報酬のほとんどを浪費していたようです。
例えば、出勤はタクシーを使い、運賃2,500円に対し3,000円を差し出しおつりを受け取らないなど、タクシーの運転手にはとても評判だったとか。
幼い頃のみじめな思いをこのような優越感で満たしていたようです。

異常な性癖
ここまでを見るとどこにでもいそうな若者に見える星島ですが、いったいいつから異常とも思える性癖を身に着けてしまったのでしょう。
星島にはプログラマーという技術があり、パソコン操作は得意だったのでしょう、犯行前はmixiをやっていました。
mixiのプロフィールに記載されていたのは「だるま、ダルマ、達磨、四肢切断」という不気味且つ意味不明な言葉でした。特に、四肢切断という言葉には執着していたようで女性の四肢切断したアニメをアップロードしたり同人誌を制作しています。
これこそが星島の性癖、猟奇的とも思える四肢切断の女性に対して異常な執着心を持つことです。
火傷の痕で普通の恋愛はできないと思い込み四肢切断された女性なら自分に従順になると考えていたのでしょうか。
幼い頃に受けた劣等感がトラウマとなり異常な性癖を身に着けてしまったようです。
江東マンション神隠し事件の犯人、星島貴徳は事件発覚からおよそ1ヶ月後の5月25日に被害者女性宅への不法侵入容疑で逮捕、その後も次々と死体損傷、遺棄、殺人で再逮捕されています。