観てきました。






初めて早稲田松竹の中へ入ったのですが、天井が高い!劇場内の広さと豪華さにびっくりしました。





本編は、黒い背景に白い文字で無音の中、クレジットから始まる。

そして急な激しい音にタイトルが長めに映し出される。


大島渚監督のナレーションで昭和426月の法務省の統計にて、死刑に反対かどうかのグラフが示され、死刑場の説明があり、今まさに死刑が執行されるところからストーリーが始まります。

しかし15分もすれば脈が止まるところ、主人公のR(アール)は生きている。

そして

Rの肉体は死を拒否した」

と、原稿用紙のような紙に手書きで書かれた題字が入る(その後もストーリーの転換時に手書きの文字が入る)



ここからは、印象に残った場面と台詞をメモのように羅列します。


・「死ぬために生き返らそうとするのか」

・「意識が死を受け入れるか」

・『RRでいることを受け入れない』


・「目を覚ましても、Rの魂じゃない」

・『RRを他者として認識する』


・犯罪の場面を芝居のようにRへ見せたら、自分がRであることを思い出すんじゃないかと、警官達が罪状通りに演技する姿に、人間の滑稽さと登場人物それぞれの性格が現れている。



・『RはRであることに到達する』

・体には限界がある。でも精神に限界はない。

・人を愛して、人を殺した罪と現実を知った。



・『Rは全てのRのために、Rであることを受け入れる』

・国家がある限り僕は無罪で、でも「自分は無罪だ」というその思想があるからこそ死刑。

・「Rであることを引き受けて死ぬ」



(大島渚の声で)この映画を観てくれた人もありがとう。






ここからは感想を。


登場人物の心の動きで話が進んでいく内容なのもあり、じっくりと惹きつけられる映画でした。

内容の柱は「死刑制度」についてですが、

「私とは何か。そもそも私として生きるということは、どういうことか」が描かれていて、とても面白かった。観終わった後はなんだか心がすっきりしました。それは人の心の動きと台詞に嘘がなかったから。初めは自分を偽って生きている人も、段々と本音が出てくる。登場人物全員の本音が聴けた気がして、それが観終わった後に心が軽くなった要因だと思う。


とはいえ、内容の柱は重いから目を伏せたくなる場面もあるけど、「何度でも観たいな」と本気で思う映画でした。

死ぬまでにこの映画を、映画館のスクリーンで観られてよかった。


そしてなにより、白黒映画で観えたのがよかった。1968年公開という時代があるのかもしれないけど、白黒映画でよかった。

だって白と黒しかない場所の話だから。