私は子供のころからお喋りだったらしい。
独り言も酷くて、職場で指摘されたくらいだ。
でも、そんな私を母親は人一倍嫌い、「喋るのだったらあっちへ行け」と言われ、側にいることを許されなかった。
父親譲りで地声が大きく、声が通る。
言葉を次々と連射する。
そんな個性が他人には迷惑なのだと分かったのは、妹の真実を知ったからだ。
喋ることが普通以上に好きで得意な私は、メールも使う。
メールだったら、相手が好きな時間に読めるし、返事が欲しかったり急いだりする時には使わないので、私なりに気を使ってのことだった。
でも、このメールのやり取りが、妹に大変な負荷をかけてしまうストレッサーだったと知ることに…
妹は、長文が理解できないのだと言った。
妹は子供のころから何かと行動が遅くて、どん臭かった。
職場でも、活字だらけの文書を見るとフリーズするくらい、らしい。
勉強会などでは、講師の話すスピードに付いていけず、ちんぷんかんぷんで終わることが多いとか。
それらを聞いて、ようやく私は妹のことが理解できた。
他人の言葉を聞いて、自分の頭の中でそれを処理をする。
妹はその処理速度が遅い。
相手の言葉を受け取るだけでも必死なのに、それを返信するとなれば、回路が焼け付いてしまう。
なので彼女にとって、大量の情報が一気に入ってくることは、本当にストレスなのだ。
そういう私だって、一度に複数のことができず、あれもこれもと言われるとパニックよ。
妹は度々「結論だけ言って」と言ってきた。
そう言われる度に私は、妹は私が嫌いだから接触時間を短くしたいのだとばかり思っていたが。
そうじゃないんだ。
私が次々と長々と言葉を投げかけるから、受け取れないだけだったんだ。
これでも私は、私なりに気を使って、妹へのメールはコンパクトにする努力をしていた。
しかし今回、あまりにもメンタルがコントロールできなくて、ネガティブな言葉を垂れ流すように送ってしまったと思う。
友達には気を使ってメールするくせに、妹だからと、つい雑になっていた。
申し訳ないことをしてしまった。
自分には好きで得意なことでも、相手にとっては残酷な仕打ちになることがあるんだ…
それを知る機会となり、コミュニケーションの難しさを学んだ。