田舎スーパーのバイトを辞めた。
辞めるに至るまでの10日ほどはメンタルが辛かった。
12日、私は神様に願った。
「居心地のいい、私を大事にしてくれる職場で働きたい」と。
神様にはプラスのエネルギーをもらうので願った翌日などは良いことがあるのが多かったけど。
今回は違った。
13日、田舎スーパーにバイトに行くと、売り場に入ると同時に事務所に呼ばれた。
6月の終わりに入った時にレジのミスがあったと、指摘されたのだった。
それも、どう考えても理不尽というか、「それって、私のせいですか?」と訊きたくなるような内容。
レジのシステムの問題では?と思えた。
しかし、その件は「重大なこと」として、みんなへの連絡帳にも書かれてしまった。
納得できない怒りが湧いたが、自分の正当性を訴えるだけの根拠がない。
謝罪を口にするのも悔しかった。
その日は終日、苛立っていた。
昨日神様にお願いしたばかりなのに、なぜ?
まったく分からない。
でも、契約は8月末までだから。
あと少しだけガマンすればいい。
そう自分に言い聞かせて、怒りを抑圧していたのだと思う。
そして20日。
その日は遅番だったので、正午に売り場に入った。
すると、また、事務所に呼ばれた。
思わず「また何か、やらかしたのでしょうか?」と先に訊いたくらいで。
あーあ。また今日も説教か…
大きな金額のミスだった。
なので、始末書を書けと言われた。
しかも2枚。
その始末書には、ミスをしたことの原因と今後の問題解決を書く必要があったが、私は正直言って、どう書いたらいいか迷ったわ。
だって、お金の受け取り、レジの金額入力、お釣りのお返し。
どのタイミングでどう間違えたのか、覚えていない。
いつも一生懸命に作業をしているのだもの、「なのに間違えた」こと自体がショックだし。
さすがに2週間続けてのミスで、事務所に呼ばれて説教されて、最後には始末書で…
周囲の人たちに愚痴ると「みんな、やってるよ」と言う。
しかし…
みんなが経験するミス、みんなが経験する始末書であっても、私は?
その晩は眠れなかった。
21日はバイトのシフトを入れていなかったけれど、この件を引きずったまま、丸1日、何もできなかったのだ。
せっかくの日曜日は台無しだった。
そして考えた。
この状態で8月末まで働けるのか?
このことを相談した人から、「(田舎スーパーのバイトで)何が一番嫌なのか?」と質問された。
私はそこで考えて…
やはり、現金を扱うことへの責任が重すぎると。
平日の派遣の仕事という本業があり、田舎スーパーは土日のバイト。
私テキには、軽く考えていたわけで。
時給も安く、レジ以外の仕事もあり、よほどのことがない限り急に休むこともできない。
途中で60分の昼休憩があるけれど、基本、7時間は立ちっぱなし。
忙しくなれば水さえ飲めず、喉がカラカラのまま、声を出し続けないとならない。
足が痛くて、立ってるだけで精一杯になる。
そしてその晩は湿布を貼っても痛みが治まらず、翌日はほぼ動けない。
それでも、それが仕事だし、みんなもそれに耐えて働いてるわけだし。
なんて、自分におかしな言い訳をしていた。
でも。
他のみんなは、直接雇用の社員とパートじゃないか?
それが本業だ。
みんな、体力がある。
慣れもあるだろうけど。
普段はデスクワークをしている私にとって、7時間の立ち仕事は辛い。
もう、辞めよう。
そう腹を括った。
そして月曜日の午前中に田舎スーパーに電話をして、「今日付けで辞めます」と伝えたのだった。
今週末は土日続けてシフトが入っていたが、たったその2日間すら働けない。
もう、気持ちがそこにないのだもの。
非常識だとは分かっていた。
でも。
このことを相談した人から言われたのだ。
「自分を大事にして」と。
「自分を守れるのは自分だけだよ」と。
私が派遣の仕事を好むのは、責任がないからだ。
責任が全くない、というわけではなくて、責任が軽い、ということ。
仕事の最終チェックは社員がして、私が矢面に立って責任を負うことはない。
急に休んだところで責められもしない。
期待もされてない。
そして、社員にたてつけばクビだ。
派遣先都合でクビになる、軽い存在なのだ。
けど私は、それでいい。
田舎スーパーは、バイトも社員と同じ責任を負わされる。
土日だけのバイトで、雇用保険もかけてもらっていないのに。
もちろん、お金を間違えてスーパーに損失を与えたのだから、始末書は当たり前かもしれない。
しかし。
もう、自分が正しくなくてもいいと思った。
これ以上、耐えられなかった。
人間関係に恵まれている職場だから、と、辞めずに働いてこられた。
けど、お金のミスで始末書を書くことについて、誰かが代わってくれるわけじゃない。
ちょうど、山羊座の満月だった。
「手放し」のタイミングだった。